16 竜を怖がらないで!
少年はどうやったらウィニーを皆が怖がらないようになるのか、考えました。
魔法学校の中ではウィニーは人気物なのです。
何故なら、魔法使いや、魔法使いの卵の生徒達はウィニーと話せるので、素直で可愛いと知っていたからです。
「ウィニーと話せたら、怖がらないのだろうけど……」
一歳を過ぎたウィニーは、少年だけでなく、二人乗りもできるようになり、乗りたがる友達が多すぎて、順番を決めるのが大変なぐらいです。
師匠は少年がやっと落ち着いて考えるようになったので、少しヒントを出すことにしました。
「竜の本当の姿を知らないから、皆は怖れるのだよ」
少年はヒントを貰っても、何をすれば良いのかわかりませんでした。
友達にも相談しましたが、良い意見はでませんでした。
察しの悪い弟子に、師匠は宿題を出します。
「ウィニーのことを本に書きなさい。
そうすれば、竜が無意味に人を襲ったりしないとわかるだろう」
師匠の言葉に少年は驚きました。
「本なんて無理です! 作文はあまり得意じゃないのです」
ぶるぶる首をふる少年に、師匠は毎日つけさせている『ウィニーの育成日記』を読ませます。
卵がなかなか孵らなかった事や、ヒビが入って濡れた雛が転がり出た瞬間。
餌を一日に何度もやった事や、ウンチの世話。
食後に自分で暖炉の灰の上でウンチをした時の驚き。
ボール遊びをしたがって、可愛くて宿題が出来なかったチビ竜の頃。
期末テストに飛び込んだウィニー!
「こんな下手な文章を読んでくれる人はいないよ」
師匠も下手な文章だと思いましたが、ウィニーへの愛が満ちていると励まします。
少年も読んでいるうちに、小さな雛竜の頃や、遊び盛りのチビ竜、そして空を一緒に飛んだ時の喜びを思い出しました。
「頑張って書いてみるよ!」
少年は『可愛いウィニー』について、書くことにしました。
『竜は理由もなく人を襲ったりしません。
だから、ウィニーを怖がらないで下さい』
これで伝わるのかどうかも解りませんが、ウィニーと一緒に出かけたいから原稿を先生に手直ししてもらいました。
ウィニーと着地した所で、皆がパニックになって逃げ出したり、攻撃をしかけられては、自由に飛ぶのは無理だからです。
ウィニーは『可愛いウィニー』の本を見て、きゅるるっぴ! と喜びました。
『これで一緒に何処へでも行けるの?』
少年はウィニーの首に抱きついて、そうなると良いね! と笑いました。




