15 人なんて食べないよ
少年とウィニーは少しずつ飛ぶ距離をのばしていきました。
ある日、少年は遠出をして、休む場所を探します。
竜を人々が怖がるので、人気の無い場所を探しましたが、春なのでどこの畑にも人がいます。
『ウィニー、あの山の草原に降りよう』
今日はちょうどウィニーが一年前に卵から孵った日です。
『小さかった雛竜も可愛かったし、ボール遊びに熱中していたチビ竜の時も可愛かった。
でも、僕を乗せて飛んでくれるウィニーが一番好きだし、可愛いいよ!』
きゅるるっぴ! と嬉しそうにウィニーは少年に頭をこすりつけます。
とても幸せだと、一人と一頭は感じてましたが、春の日差しと朝早く起きたのでうとうとと寝てしまいました。
「竜だぁ~! 食べられる~」
うっかり寝ていた山の草原は、下の村の放牧地だったのです。
牧童の叫び声と、竜に驚いた牛や羊達の逃げ回る鳴き声と、ガランガランと響く首輪の鈴の音で、ウィニーと少年は驚いて空に飛び立ちました。
『人間なんか食べたりしないのに……』
きゅるるるると悲しそうに鳴くウィニーに、少年も悲しくなってしまいました。
『ウィニーはこんなに素直で可愛いのに……』
竜を悪者に書いた人達は、本当に竜を見たことがあるのかと、少年は腹を立てました。
『もしかしたら、ずっとずっと昔の竜で、人間に小さいうちに虐められた仕返しをした竜がいたのかも……』
羽根を地面にたらして、ウィニーはきゅるるるると鳴きます。
『そんなのウィニーには関係無いよ!
僕はウィニーが大好きだもの』
少年は落ち込むウィニーを慰めました。
『皆がウィニーのことを怖がらないようにするよ!』
少年はいつかウィニーと一緒に自由に飛び回れるようになりたいと思いました。
『いつまでも一緒だよ!』
ウィニーは少年の言葉に、くぴくぴと嬉しそうに頷きました。




