12 風に乗って飛ぶウィニー
冬になるとウィニーの世話をしてくれる竜舍の係も決まりました。
猫ぐらいだったウィニーは中型犬ぐらいに成長しています。
朝、少年はウィニーの為に窓を全開にするのが日課です。
窓枠に器用に飛び乗ると、そこでは羽根を広げられないので、いったんは外に蹴りでてから飛び始めます。
少年が魔法学校で勉強している間は、ウィニーは竜舍で過ごすことが多くなっていました。
狭い部屋で少年の帰りを待っているより、広い空を飛んでいる方がウィニーの為になるからです。
空を飛ぶウィニーは気持ちよさそうで、少年は一緒に飛べたら最高だろうなぁと溜め息をつきながら、授業を受けます。
昼からの師匠との魔法修行の時間は、ウィニーも一緒です。
ウィニーは風の魔法体系に属しているので、少年と一緒に修行します。
『ウィニーはすぐに魔法の技を覚えるなぁ』
『くぴくぴ』とウィニーは喜びます。
すぐに魔法の技ができるウィニーを真似して、少年も頑張らなければいけません。
師匠と少年は竜舍の係と相談して、ウィニーを少しずつ長い時間飛ばす計画をたてました。
魔法学校の人達はウィニーの飛行をうっとりと眺めますが、まだまだ竜は悪い生き物だと誤解されています。
「人々がウィニーを怖がらなくなれば良いのに……」
少しずつ見慣れて貰うのも、ウィニーを飛行させる目的の一つです。
ウィニーはどんどん大きくなり、少年の部屋では羽根も伸ばせなくなりました。
身体は大型犬ぐらいになり、羽根は片方だけで大人が両手を広げたほどになったからです。
『きゅるるるる……』
ウィニーは雛竜の時からずっと少年と一緒だったので、竜舍で寝るのが寂しく感じます。
『毎日、ウィニーと会いに行くよ』
それは信じましたが、ウィニーはもっと少年と一緒にいたかったのです。
『乗せて飛べるよ!』
まだ大型犬ぐらいのウィニーが自分を乗せて飛べるのか? 少年は少し考えて師匠に相談することにしました。
なぜなら、少年もウィニーともっと一緒にいたかったからです。




