11 竜の大きさ
夏休みが終わり、魔法学校で少年は勉強をします。
「竜はどのくらい成長するのかな?」
子猫ぐらいだったウィニーは、今では猫ぐらいまで大きくなりました。
雛竜の時は一日中寝てましたが、チビ竜になって起きている時間も増えたので、ずっと寮の部屋に閉じ込めておくのも可哀想です。
少年は図書室や師匠の本棚から竜について書いてある本を読みあさりました。
「師匠? 犬ぐらいから、納屋ほどの大きさが書いてあります。
犬ぐらいなら部屋で大丈夫だけど……」
師匠も竜について何か師匠の師匠が書いてないか調べましたが、昔のことなので詳しいことは解りません。
「卵の大きさから考えて、納屋ほどの大きさになるとは思えない。
だが、もうアヒルの大きさはとっくに越えているから、卵の大きさで判断も出来ないな」
そう言うと師匠はウィニーに羽根を伸ばさせました。
『わぁ! 大きいね~』
身体は猫ぐらいのウィニーですが、羽根を広げると大人が両手を広げたぐらいになりました。
「竜舍が必要だろうな」
ウィニーと別れるなんて寂しくてたまりません。
「師匠の部屋に住み込もうかな?」
寮とは違い、此処なら納屋ほどにならない限り大丈夫そうだと少年は考えました。
「いや、お前は寮で友達と過ごす時間も必要だ。
それにウィニーには寛げるスペースも大事だよ」
少年にも部屋で窮屈にしているより、空を飛んだり、竜舍で気楽にしている方がウィニーに良いのは理解できました。
でも、やはり寂しく感じます。
ウィニーもきるるるると悲しそうな鳴き声で、少年を見つめます。
「竜舍は必要だから建てよう。
しかし、此処でウィニーと一緒に過ごせるようにしてやろう」
師匠の部屋は大きいので、窓を大きくしたり、外に着地できるテラスなどの補修工事をすることにします。
竜舍も大き目のを建てることになりました。
『大きくなってもウィニーは僕の可愛い竜だよ』
まだ抱き上げて頬ずりできる大きさなので、充分に楽しむ少年とウィニーでした。




