表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覇道戦記  作者: ガンマニ
9/12

第八話 龍の魂

「・・・・・・・」

カースキラー 研究室

「どうですか皆さん?」

薄暗い部屋にルシエルが現れ、研究員に訊ねる

そこには、謎の透明な液体に浸され眠っているマオの姿があった

「ええ、素晴らしいエネルギーですよこいつの力は・・・しかし」

「どうかしました?」

「いえ、戦闘の力については問題ないのですが・・・」

「・・・精神的な物ですか」

「ええ、このままではカプセルから出してもまともに起動しません」

「それは大変です、どれ・・・私から彼に問題を聞きましょう」

「お願いします」

ルシエルは目を閉じると、意識をマオの中へと滑り込ませる


「ダン・・・・・・」

「何をしているのですマオ君?あんまり言う事を聞いてくれないと私は悲しくなります」

「・・・・・・誰だお前は?」

「貴方の憎む・・・いえ、今は貴方の同志です」

「・・・・・・そうか」

「この世界が憎いでしょう?貴方の心は既に美しく花咲いている。今更世界の事など・・・」

「ダン・・・・・・」

「・・・あの男の事ですか?」

「・・・俺の仲間・・・唯一心を開ける・・・大切な」

「なるほど、貴方の心残りはあの男ですか?」

それを聞き、ルシエルはマオの意識から消える


「どうでしたでしょう首領」

「・・・ちょっとね、ねえ、セイクリッドから仕入れた堕ちた戦士の調整は完成してるのかい?」

「・・・雷帝の事ですか?」

「ええ、彼にちょっとお遣いを頼みたくてね」

「どういうことでしょう?」

「彼の力は制御が利きにくい分殲滅する場合にもってこいです。彼に後始末をさせましょう・・・」


「たっはー!、龍人族の飯うんめー!」

一方・・・

ダンはヴァジュラの家で食事を満喫していた

「そうかそうか、有り合せで作ったスープなんだが、口にあってよかった」

「すんげーうめーよコレ!何か痛みとか消えちまいそうな味だ」

「薬草を少し混ぜてあるからな、自然治癒能力を活性化させる成分が入っている」

「・・・そんな大事なもんを」

「いいんだよ、人間界じゃよく仕入れられる物だ、大した価値はない」

「・・・いい人達だな、ここの人たちは」

家の周りを挨拶していて分かる

姿形は違えど、彼らは等しく生きる人間なんだ、と

「ああ、辛い分だけみんな協力して頑張れる。これも全てお前の両親のおかげだ」

「・・・そっか」

何故か照れくさくなり、ダンは少し笑う

「さあ、傷の完治を急ぐんだろ?今はたっぷり寝ておけ」

「あぁ、すまないな」

「なぁに、それに・・・お前が俺達と両親の意思を継いでくれるなら、これほど嬉しい事は無いしな」

「・・・あぁ」


戻って・・・

カースキラーの研究室

そこの「実験体保管室」

だが、実際は危険な猛獣や犯罪を犯した者が牢獄にて投獄されている留置所のような物であった

その部屋にルシエルと研究員の一人が入る

歩いていると聞こえる猛獣や犯罪者達の叫び声

やがて、一つの檻の前に止まる

「・・・元Sランクハンターライガ・ギアンバルゴ」

「・・・あぁん?」

そこには、一度マオと決闘し破れ、ギルドの研究室に連行されたライガの姿があった

「僕だよ?分かるかい?」

「あぁ?」

ドクン!

「ぐ・・・ぁぁあ・・・てめぇ・・・俺になんかしやがったな!?」

急に胸を押さえながら苦しむライガ、本人は原因が何なのかはある程度察しているらしい

「別に?ただ、君をあんな所から連れ出してあげたのだから・・・ちょっと、ね♪」

「フザけんな!俺をこっから出しやがれ!」

「勿論そのつもりさ、しかし・・・条件がある」

「あん?条件だぁ」

「どうせあのギルドにいても負け犬のような人生を送るだけだ、だったら、倍返しにしてから朽ち果てるのも美しいと思わないか?」


数日が過ぎたある日

ダンは谷底の生活に慣れ、今ではヴァジュラや近所の龍人の手伝いをしていた

「おうアンちゃん、もう怪我は大丈夫なのか?」

谷の拡張作業をしていた龍人がダンに話しかける

「ういっす!もう大丈夫っす!あっ俺も手伝います」

そうかい?悪いね~、と龍人はダンを手伝わせる

「(・・・ダン、お前はあの人たちのように優しく強い、だからこそ託したい)」

ヴァジュラがそう考えているとダンが近寄る

「ふぅ~もう昼時だからってさ、どうする?」

「ああ、取り合えず食事にでも・・・っ!」

「・・・どした?」

「ダン!今すぐ宝玉と剣の下へ行くんだ!」

「どうしたんだよ、凄い剣幕で」

「何か嫌な何かを感じる・・・お前は急いで宝玉の下へ行け!」

「・・・だったら俺もここにいる!」

「お前は行くんだ!両親と俺達の魂を継ぐんだろ!」

「・・・分かった!でも、絶対に無茶すんなよ!

ダンが行ったと安心するヴァジュラの後ろに這い寄る影

「・・・へっへっへ、まさかこんな所があるとはなぁ?」

そこには、力を増しダンを殺しに来たライガがいた

「誰だ貴様は、何か悪しき波動を感じるが」

「・・・そりゃそうさ、おい!」

「・・・・・・」

「ダン・バスティーを出せ、そうすればここにいる龍人は死ななくて済むぞ!」

「それは出来ない相談だ、民を殺すのも、ましてやアイツを差し出すなんぞ・・・首が取れようがそれだけは阻止する!」

ヴァジュラの声と共に、武器を持った龍人達がライガの前に集まる

「グルルルルルル・・・」

「ガアアアアアア・・・」

「ほう、やるつもりか?新たに強化された俺の雷に・・・」

「行くぞ民達よ!我等の敵はコイツだ!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

「・・・上等、精々ウォーミングアップくらいにはなってくれよ?」


「・・・(ゴクリ)」

ダンは石台の前で唾を飲む

「・・・・・・答えてくれ、龍神玉!」

そういうとダンはおもむろに宝玉を掴む

すると・・・

「な・・・なんだ・・・」

宝玉は割れ、ダンの元へと吸収されていく

「これで・・・いいのか?」

ダンは龍神剣を見つめる

「こんなデカいのどうやって・・・え?」

ダンの頭で不思議なイメージが流れる

大きさを自由に変えることの出来る巨大な龍の剣・・・

「まさか・・・な」

ダンは剣に触れると、先程のイメージ通りに小さくなるように念じる

そうすると、みるみる龍神剣は小さくなり、最終的にはピアスくらいの大きさになる

「・・・便利だなコレ」

大きさを変えて使えるのか~、とダンは感心する

「そうだ!みんなが危ないんだった!」

ダンは小さくなった龍神剣を取り合えず耳にでも掛けてヴァジュラ達の下へと急ぐ


「・・・なんだよ・・・コレ」

ダンが戻ってきた頃には、谷底の村は燃えていた

急いでヴァジュラを探しているとダンはヴァジュラを見つける

「おい!ヴァジュラ!しっかりしろ!」

「・・・あぁ、ダン・・・どうだった」

「・・・使えたよ」

「そうか・・・なら・・・グハッ!」

喋っているヴァジュラの口から赤い液体・・・血が吐き出される

「ヴァジュラぁ!」

「ダン・・・聞け」

「いい!もう喋るな!」

「聞くんだ・・・」

ヴァジュラはダンに悟るように言う

「お前は希望になるんだ、例え世界を覆う闇が現れても、お前が希望になるなら、その光で闇とも戦える」

「けど・・・お前は!」

「俺は・・・嬉しかった、あの人の生き写しみたいなお前に逢えて」

「でも・・・でもよぅ・・・死んじまったらもう逢えねぇじゃねぇか!」

「・・・ダン」

ヴァジュラは龍のような皮膚の手でダンの顔に触れる

「大切な物を守れ、お前ならそれが出来る・・・」

「ヴァジュラ・・・ふざけんなよ・・・死ぬな馬鹿野郎!」

ダンの顔には既に大粒の涙が零れていた

「最後に・・・お前と・・・民と・・・人間界で・・・共に・・・生きた・・・か・・・た」

力を振り絞って出した言葉により、ヴァジュラの腕は地面に着いた

人間を憎まず、全てを受け入れてきた戦士の最後は・・・

「・・・笑ってる・・・いい顔してんじゃねぇか」

ダンは感情に体が震え、抱えたヴァジュラの顔に涙を落とす

「・・・ちくしょう・・・つれぇぞ・・・つれぇぞ、こんちくしょう」


「おうおうおうおう!何か良いムードになってるなオイ!別れってのは残酷だなぁ」

ダンを見つけたライガはそのような下衆な言葉を吐き捨てる

「・・・お前がやったんだな」

「あぁん?そうとしか考えられないだろ?馬鹿かおめぇ!」

「・・・憎んだりはしない」

「知らねぇよ!別にテメェに憎まれても毛程も怖くねぇしなぁ!ひゃっはっはっは!」

「なんでだ?」

「あぁん?」

「なんでこの人達が死ななきゃいけない、この人たちは十分辛い目に遭った筈だ」

静かに問いかけるダンの姿にライガが笑い出す

「は~?知るかってんだよ!そいつらは世界にとって邪魔って見なされただけだろうが!」

「・・・・・・」

「邪魔なモノは殲滅する。それがルシエル様、カースキラーの行動目的だ」

そういい、ライガは右の手の甲に彫られた髑髏を出す

「そうか、お前も最早、人じゃないんだな」

「・・・今から死ぬ奴にこれ以上グダるのも面倒だ、とっとと死ね」

ライガの手から放たれた雷をダンは受け止める

「・・・はっはっはっは、マジかよ一撃ぃ?話にならねぇぎゃっはっはっは!」


「お前の絶望を・・・俺が壊す」


ダンは立っていた

後ろにいるヴァジュラの体を守るために

避けれたのにも関わらず・・・

避けなかった・・・

「ぎゃっはっはっは、カッコわりー!気持ちワルイんだよそんな奴等に肩入れしてよぅ!」

「お前みたいな奴に・・・こいつらを悪く言う資格はねぇ!」

「うるせぇ野郎だ、いいから死ねってんだよ!」

再び襲い掛かる雷撃

この瞬間、燃え盛る谷底で

古代最強の力が

復 活 す る


「俺に答えてくれ!龍神玉!」


赤く光り輝く波動

これこそ正しく古代最強の種族、龍人の英雄(ヴァジュラ)の輝きであった

赤く染まる肉体

どこまでも羽ばたける雄々しき紅蓮の翼

何よりも熱く燃え滾る「希望」の心に

それは宿る


「なんなんだ、なんなんだその姿はぁ!」

ライガは変わったダンの姿に驚きを隠せず動揺していた

「これが、全てを照らす龍の光だ」

ダンは一気にライガとの距離を詰める

その速度は、正しく「神速」の域にあった

「馬鹿な!雷属性の俺がスピードに反応出来ないだとぅ!」

「・・・砕けろ」

ダンの進化した龍人最強の腕が、ライガの体に炸裂する

その勢いによって、ライガ谷の岩壁に叩きつけられる

「・・・くっそがああああああああああ!!!」

ライガは一瞬で上空に飛び、そのまま魔方陣を出す

「喰らえ!パワーアップした俺の『最終雷撃砲(メテオライガ)ああああああああ!!!!!」

ライガの強大な雷撃の閃光は、地上にぶつかれば谷ごと村が吹き飛ぶ威力である

「はーっはっはっは!最後に笑うのは・・・この俺だぁ!」

「・・・力を貸して貰うぜ、龍神剣!」

ダンは、耳に引っ掛けておいた龍神の尻尾によって作られた剣を巨大化、大体15m程のサイズの巨大な剣にして両手で大きく構える

「どりゃあああああああああああああ!!!」

上空に横薙ぎで振った龍神剣は、最終雷撃砲をそのままライガへと打ち返した

「っ!馬鹿な・・・この俺が・・・二度も負けるだとおおおおお」

最終雷撃砲はそのままライガを消滅させ、上空へと向かって飛んでいく

「・・・やったぜヴァジュラ、俺・・・この村を守れたんだ」

ヴァジュラの方へ振り返ると、幻想のような声が聞こえる

『・・・ありがとうな』

「・・・礼には及ばねぇよ、だからよ、俺は・・・行くぜ」

『・・・あぁ』


その頃・・・

王都アルケミアでは・・・

アルケミア城

「大変です国王!」

「なんじゃ!どうかしたのか!」

王のいる場所に一人の兵が慌てて入ってくる

「先日から大量殺人を行っていたという集団がアルケミアに近付いております!」

「なん・・・だと」


「聞いての通りです」

ギルド「セイクリッド」

そこではいつもの陽気な雰囲気は無く、まるで戦場に臨む軍隊のような空気が漂っていた

先頭にたって作戦の内容を説明をするギルド長シオン・エリュシオン

「もうすぐ、私達は戦場での一部隊として戦う事になります。私達の総てを持って大量殺戮集団の行動を阻止するのです」

「「「「おおおおおおおおおお!!!」」」」

そこには不安そうな表情をするSランクの面々がいた

「・・・・・・・」

「・・・ヨシナガ、もうすぐ戦闘、気を抜くな」

「シガラは心配ではないのか?」

「二人の事?・・・心配じゃないとでも?」

「そうは言っておらん、しかし・・・」

「大丈夫」

「えっ?」

意外にも、その言葉を発したのは大人しい性格のカリンだった

「これはダンさんの口癖、そして、マオ君はとても強い」

「そうだよ」

「ハルナ・・・」

「あの二人は今じゃウチの最強コンビだよ?そう簡単に死ぬタマじゃないし、きっと戻ってくるよ」

「そうだな、今は奴等を信じて待ち、戦うのみだ!」

「ガロン・・・すまなかった、少々情けないところを見せてしまったぞい」

「・・・大丈夫、みんな不安、だからこそお互い協力し合う」

そこにシオンの声が入る

「みんな一緒に戦いましょう!私達の明日を作る為にも!」


「ほう、案の定、都は大騒ぎだな」

遠くから望遠鏡で覗くグラド

「これから何人切り刻むことが出来るかと考えると・・・ゾクゾクするな」

剣を構え恍惚な表情を浮かべるシーヴィ

「今、世界が終わる。そして始まるのです、無から創造される美しい新世界が!」

ルシエルの言葉により、カースキラーの戦闘員が一斉に都に向かって進軍する

そして・・・

「・・・・・・・」

言葉を発しない黒き狂戦士もその翼を羽ばたかせる


第八話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ