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覇道戦記  作者: ガンマニ
8/12

第七話 希望の龍

その頃・・・

ダンは渓谷の川で釣りをしていた

「~~~♪・・・おっ!来た来たぁ!」

勢い良く竿を揚げると、生きの良い川魚が針を加えてピチピチと跳ねていた

「っへへ、うんまそぅ」

焼き魚にして食べようかなぁ、とダンが考えていると

ドカァーーーーッン!!!

耳を押さえるほどの激しい轟音にダンも釣れた魚すらも驚く

因みに、驚いた魚はその反動で針から逃げ川へと戻る

「っ!あ~~~俺の魚ぁ!」

一体何だよ、とふて腐れていると、方角にいる仲間の安否を気にし始める

「あっちには確か・・・っ!マオが危ねぇ!」

ダンは道具一式を放り投げ自分の寝る場所であるテントへと向かう


「さあ二人共、マオ君を連れて帰還しましょう」

「は!」

「了解!」

「待てやぁ!ゴラぁ!」

マオを連れていく二人を止めるかのように叫ぶダン

「誰だお前は?」

グラドの問いかけにも答えず、ダンは刀を構える

「うっせぇ!いいからそいつ置いて帰れこのボンクラ!」

「奴は?・・・」

「・・・どうやらマオ君の幸せの根源であるのが彼らしいね」

「奴が?」

「彼からは・・・不快だねぇ・・・希望の波動が伝わってくる」

「不快ですか?」

「えぇ、私は、他人の幸福と希望ほど醜い物は無いと思うよ・・・だって

・・・こんなにも私は不愉快なのだから」

「首領も不機嫌だ・・・痛い目に遭いたくなかったらとっとと消えろ!」

グラドの篭手がダンを捉えて攻撃する

しかし・・・

「じゃあかしぃ!」

ダンの刀が篭手を受け止める

「ははぁ!いいねぇ!中々楽しめそうだな!」

「うるせぇ!いいからとっととそいつを置いてけ!」

「断る!こいつには重要な役目がある!だからその頼みは死んでも聞けねぇ!」

「意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇ!」

激しくぶつかり合う両者の武器

凄まじい動きに力強い力のぶつかり合い

だが、それも時間の問題であった・・・

「くそっ!あいつならまだしも・・・こいつにも遅れを取る訳にはぁ!」

「これで終わりだぁ!」

ダンの一撃が入ろうとした次の瞬間・・・

「・・・何をしているグラド、お前ともあろう奴が」

間に飛ぶ黒い剣

「シーヴィ・・・手出しすんじゃねぇよ」

「グラド、首領は今不愉快だ、あんまり手間を掛けさせるな」

「ちっ・・・分かったよ」

「待て!」

二人が攻撃しようとした瞬間

ルシエルは座っていた岩から腰を上げる

「楽しい事を思いついた、二人は下がってていいよ」

「しかし首領、首領自ら出ずとも!」

「そうだぜ、こいつくらい俺等で!」

「・・・下がれと言ったのが聞こえないのか?」

一瞬・・・

ほんの一瞬の出来事

ルシエルから放たれる圧倒的なまでの力の奔流

その場にいた者はこれを感じ、その場に震えて動けなくなる

「・・・ふふふ、良い子だね二人共♪」

「・・・しかし、一体何を?」

シーヴィが聞くと同時に

その場に放置されていたマオの体が浮き出す

「っ!てんめぇ何をするつもりだ!」

「何を?・・・これから君の希望を消し去るのですよ♪」

すると・・・

なんと、ルシエルはマオの体に手をねじ込むように入れる

実際には、マオの呪具となった「絶望ノ誘惑」がルシエルの力によってこじ開けられ

それにより、マオの肉体に異変が起きる

「ぐ・・あああ・・・ああああああ!!!」

「マオおおおおおお!!!!!

「さあ、生まれますよ・・・新たな絶望の誕生です!」

そして・・・

動き出したマオ

しかし、その目には何の光も無く

まるで、全てのものに意味を成さないと言わんばかりに絶望する生物の目であった

「・・・・・・・」

「どうしたんだよ、どうしたってんだよ!マオ!」

「・・・やりなさいマオ」

「・・・・・・・!」

すると、マオは天照を取り出し

その場周辺に黒い瘴気を撒き散らしながらダンの元へと飛翔する

「マオ!何やってるんだ!」

何とか受け止めるダン

しかし・・・

「・・・・・・・死ね」

受け止めてもその勢いが止まる事は無く

力任せに押されてダンは後ろの岩壁に叩きつけられる

「ぐはぁ!」

「・・・・・・・」

「いいですよマオ、貴方の姿は今輝いて見えますよ」

「マオ、いい加減に・・・しろ!」

押し返そうとしても、ダンは今まで対峙した事の無いような強力な力に太刀打ち出来ずにいた

「鈍く、薄暗く、濁ったその輝きは・・・この世界の何よりも美しく見える・・・あぁ、興奮しますよ」

ルシエルの言葉と相反して

ダンはマオに叫び続ける

「マオ!なんでだ!お前は今の現状を変える為に戦ってるんじゃねぇのか!」

「彼は生物として生きる物の中の頂点にいます。君のような下賤な輩の言う事など・・・」

「お前は強くて優しい奴だ!そんな奴にどうこうされてんじゃねぇよ!」

「・・・無駄です。今の彼には人間の言葉など」

「お前は人間だ!誰よりも人間で!誰よりも優しいから、自分の呪いすら受け止めて生きると決めた!」

「彼にとって呪いとは進化、人間にとって災いをもたらし、私に溢れんばかりの快楽を与える・・・」

「そんな訳ねぇ!お前は・・・お前には・・・見捨てる事の出来ない大切な物があるんだろ!」

ダンとルシエルの言葉に、マオが静かに口を開く

「・・・ダ・・・て・・・れ」

「っ!?」

「・・・まさか!?」

「ダン・・・助けて・・・くれ」

マオの精一杯の力を振り絞った言葉にダンは安堵する

「・・・最初っからそう言え、この見栄っ張りが」

「くっ!・・・二人とも!即刻あの男何処か目に付かない場所へ!」

マオの力が抜け開放されたダンをグラドとシーヴィが追撃する

「これで・・・」

「消えろぉぉぉ!」

「くっ!・・・」

さっきまでマオの相手をして疲労したダンに

二人の攻撃を止める術は無かった

「「獣人十文字斬!」」

二人の大技により、ダンは渓谷の谷底に落とされる

「・・・っ!うわああああああああああああああ!!!」

やがて、ダンの声が聞こえなくなった

「やったか・・・」

「ああ、例え生きていたとしても、この深さから落ちればダメージは大きい」

「やりましたね二人とも、まだまだ改良が必要なようですね・・・マオ君♪」

「・・・・・・・・・・」

再び無口になったマオは、ルシエルの催眠の下連れ去られてしまった


その後・・・

谷底に落とされたダンは意識を一時的に取り戻す

「(やべぇな・・・体・・・いってぇ)」

落下した事により体に甚大な被害を受けたダン

普通の人間なら即死だが

ダンの悪運と体の頑丈さが一命を取り留めたのだ

しかし、そのままの状態では最悪出血多量で命を落とす程の状態になっていた

「(ここで・・・死ぬのかな・・・ごめんよ母ちゃん父ちゃん)」

そこに・・・


おい、こいつ死に掛けてるぞ

なんだ?人が振ってくるとは珍しいな

ってか、普通人が落ちてきたらこの高さなら死ぬぞ

じゃあこいつ人間じゃない?

龍人だとでもいうのか?

でも、尻尾も羽も無いぞ?

取り合えず手当てだ、まだ助かりそうだしな


・・・こいつら・・・誰?


「おう、気が付いたな」

「・・・んん?」

起きたら藁の上で寝てた

んんん・・・ん?

「ああああああああああああ!!!!!」

「んおわぁ!ビックリした!」

俺はさっきの一連の流れを思い出し颯爽と準備しその家から飛び出す

「待ってろマオ!今すぐ助けに体がうねる程に痛いぃぃぃぃぃい!!!!」

「無理すんじゃねぇ!死にかけてたんだぞ!」

「えっ!マジで!助かった~・・・あり・・・がとう?」

ダンは声の主に向かって振り返るとある異変に気づく

あれ?この人・・・

・・・尻尾?羽?

「人間じゃない!」

「・・・あのぅ、気づくのも遅いし、あの状況で生きてるお前も人間としてはどうかと」

「アンタ達は一体・・・」

「俺達は龍人族という種族だ」

「・・・龍人?」

「ああ、今はこんな所でひっそり生活してるけど、昔は最強の種族として有名だったんだぞ」

「アンタ名前は?俺はダン・バスティーだ」

「ヴァジュラってんだ、一応英雄の家系でよ、結構偉いんだぜ」

ん~?、とヴァジュラは考え込む

「バスティー?なんか聞いた事あるな~・・・」

「ん?なんかあった「ああああああああ!!!」・・・声がでけぇよ」

ヴァジュラは大げさな動きをしダンを指差す

「お前・・・レオさんとミレさんの息子かぁ!」

「・・・なんで母ちゃんと父ちゃんの名前を?」

「ダン、付いて来なさい」

「え・・・お、おう」

ダンはヴァジュラの跡を付いてゆく


谷の底に住んでいる龍人達に一通り挨拶を済ませ

ダンはヴァジュラの跡を着いて行くと、ある洞窟へと辿り着く

「ここは俺等が『アナグラ』と呼んでいる場所だ」

進んでいくと、やがて広い場所に出る

そして・・・

「こ・・・こりゃ一体!」

洞窟の中の広間に出たダンの目の前にあった物

それは、巨大な赤い龍の尻尾と石で出来た台に置かれた赤い宝玉であった

「これは・・・」

「これは、お前の母さんと父さんが作り上げた物だ」

「っ!父ちゃんと母ちゃんが!」

「話は少し昔になる」


十数年前・・・

龍人が最強の種族として生息していた時代

しかし、その強さゆえに

人間からはその存在を良しとされず

邪魔がられ

果てには、龍人達を危険というだけの理由で、深い谷底へと追いやった

龍人達は、人間のしてきた行為に怒りもせず静かに過ごしていた

だが、衰弱していく龍人族は

やがて、絶滅の危機にまで追いやられていた

その時であった

「あなた!しっかりしてあなた!」

「・・・ぐ・・・安心」

「あなたぁ!」

「・・・大丈夫じゃあなさそうだ、ウチに連れて行こう」

「・・・あなたは?」

「ふぉっふぉっふぉ、今は力無き龍人族の老人ですじゃ」

「・・・感謝します!」

それから、龍人族の老人は二人の夫婦を助けた

「感謝してもしきれません。本当にありがとうございます」

「いやいや、人間で私達を怖がらないとは・・・変わった人じゃ」

「そんな事、助けてもらってそんな失礼な事・・・」

「ふぉっふぉっふぉ、この見た目じゃ怖がられるのは致し方ありませんじゃ」

龍人の老人はせきを漏らす

「ごほっごほっ・・・じゃが、ワシ等も長くは持たないかも知れぬのぅ」

「一体・・・」

「このような谷で住み人間からも忌み嫌われとる、物資も少なく民は衰弱していく一方ですじゃ」

老人の言葉に傷だらけの男が起き上がる

「だったら・・・俺達の荷物にある物を使ってくれ」

「あなた!気がついたのね!」

「ああ、心配を掛けたな」

「・・・荷物とな?」

「ああ、俺達はアンタを探してたんだよ、龍人族の英雄・・・ヴァジュラ」

「・・・どういう事じゃ?」

「俺達はあんたの境遇が嫌でね、人間の勝手な理由で追いやられて絶滅なんてたまったもんじゃねぇ!」

「ですが、この状況はどうにも・・・」

「だから、俺が何とかする。俺達は今ここで助け合うんだ」

「・・・あんた・・・名前は?」

「レオ・・・レオ・バスティー」

「・・・いい名じゃ」

それから、俺達の生活は変わっていった

人間の知恵と磨きぬかれた技術を持ったレオの力によって

俺達は絶滅の危機から救われた

あの人達は・・・

俺達の・・・英雄であり救世主・・・希望だった


「そっか、父ちゃんと母ちゃんが・・・」

「お前は両親に何を教わった?」

「あんまり家に帰ってこなかったけどさ、武器作る事に誇り持ってる父ちゃんと

それを支える母ちゃんを見てて、色々学んだよ」

「・・・良い答えだ、お前は間違いなくあの人達の子供だ」

「でも、あんたヴァジュラって・・・」

「代々受け継がれる名前でね、俺はその二代目だ」

「これは・・・」

「これは先代が残した尾と魂だ」

「それって・・・」

「先代は、死ぬ前にお前の両親に託したんだ。俺達の魂を」

「そうだったのか」

「しかし、これを扱うのは俺ではなかった」

「え?」

「これを使うものは、まず、この『龍神玉』に適合されなければいけない」

「・・・ヴァジュラは駄目だったのか?」

「残念ながらな、先代の意思を継げないのは残念だよ」

でも、とヴァジュラはダンに向き直る

「お前なら、両親と先代と龍人族の魂を受け継ぐお前なら・・・」

「だから、ここに・・・」

「世界に危機が近付いている。それを止めるのはこの龍神剣を操る者だけだ」

「・・・俺がそれを受け継ぐ」

「・・・何故だ」

「それが、父ちゃんと母ちゃん、そして、龍人族の思いなら、俺はそれを受け継ぎたい」

「・・・・・・」

「何より、そう言ってるような気がすんだ」

「・・・誰がだ?」

「・・・母ちゃんと父ちゃん、そんで・・・一番大切な仲間達(ヤツら)が」

「・・・はっはっはっはっは!」

バシッ、とヴァジュラはダンの背中を叩く

「やはり、血は争えんなぁ!お前は・・・俺達の希望だ」

「・・・なんか嬉しいぜ、ここに来れた事がさ!」

「・・・そう言ってくれるのは幸せだ。怪我も完治していない、しばらくここで休んで行け」

「悪いな、そうさせてもらうよ」

今はちょっとすぐには行けないな・・・

でも、必ずお前を取り返しに行くからな・・・マオ!


第七話 完

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