エピローグ
覇道戦記より一ヶ月
狂った組織による戦闘が終わり
アルケミアの戦士達は休息に入っていた
そして・・・
アルケミア中央病院
「マオ君、差し入れ持って来ましたよ♪」
満開の笑顔でシオンが病室に入る
白色が基調の部屋のベッドの上にマオが頭の後ろに手を組んで寝ていた
「シオン、ありがとう。美味しそうな果物だな」
そこには、呪いに憑かれていない清々しい笑顔のマオがいた
「貴方が元気になってくれて安心しました。ちょっと待っててください、すぐに果物の皮を・・・」
シオンは果物の入った籠から赤い木の実を取り出し宙にポーンと投げる
「えい」
シオンが手を振ると、置いてあった皿に六つに分かれた木の実がボトボトと落ちる
「どうぞ♪」
「・・・シオン、少し吹っ切れた?」
そう言うと、シオンは地面に両手と膝を着いて崩れる
「うう、私は最早、男性に女性として見られないのでしょうか・・・」
「そんな事は無いと思うが・・・」
「うう、マオ君は優しいです」
二人が喋っていると・・・
もう一度病室のドアが開く
「お兄ちゃん!元気!?」
元気良く入ってきた少女はユーナ・アマツ
正真正銘マオの妹である
先日、力を失い倒れている所をセイクリッドのハンターに保護され
覇道戦記の時は、兄の為に自ら出向いた少女である
「ユーナ、俺は元気だよ」
「わ~、お兄ちゃん!」
そういい、ベッドに近付きマオの胸に飛び込むユーナ
「よしよし・・・なんだよ?」
シオンの視線が気になりそう問いかける
「いえ、マオ君って普通にお兄ちゃんなんだなって♪」
「ふっ・・・なんだそれ」
など、他愛も無い会話をしていると・・・
「ねぇマオ君!暇だからみんなで南蛮の国で流行ってるゲームしない!?」
「マオ、久しぶりに御主と世間話でも嗜みたいのじゃが!」
「・・・いいのが入ってる、いかがわしい本」
「・・・マオ、久しぶりにお話したい」
「マオ!体は無事か!なんなら俺のプロテインをくれてやってもいいぞ!」
先に傷を完治したSランクの面々により、病室は一気に騒がしくなる
「皆さん!ここは病院ですよ!ハンターとして生きる者なら社会のマナーを守って行動してください!」
「何よ~シオンちゃんだけマオ君に構って~」
「そうじゃぞ、長だけズルイのじゃ」
「・・・不公平、そしてこのいかがわしい本の内容について」
「・・・シオン」
「はっはっはっは、みんなそれよりこの前の筋トレの時の話だが!」
聞いてねぇよ、と全員の批判を喰らうガロン
それを見たマオは、自然と顔が綻んだ
「ところでダンはどうしたんだ?」
「気になりますか?」
「まあな・・・」
「彼は少し大事な用があるといって今日の御見舞いを欠席しました」
「大事な用?・・・一体なんだろう」
「でもさ、ダン君もちょっと酷いよね、折角マオ君が元気になってきてるっていうのに」
「まあハルナ、人にはそれぞれの事情があるんじゃ」
「それもそうだな、なぁにアイツならその内顔を出すさ」
「・・・そっか」
みんなが病院にいる頃
ダンは見晴らしの良い峠の小さい墓の前に花束を置く
墓石には「龍人族とその英雄が眠る場所」と書いてあった
「よっみんな、約束通り世界の闇と戦ってきたぜ」
墓の前に花束の他にスープの入った深めの皿を置く
「真似て作ってみたんだ、隠し味に薬草を使ってるからって、お前が言ってたの忘れてないぜ」
それは、龍人族のヴァジュラに助けてもらい、治療の一環として食事に出された薬草のスープであった
「やっぱこれ美味かったよ、近所のバアちゃんが結構料理にうるさくてさ、その人も美味いって言ってくれたぜ?」
そう言うと、ダンは胡坐で地面に座りスープを口の中に入れる
「・・・美味い!」
「じゃあ、俺行くぜ?」
ダンは立ち上がり、振り返った先にある墓石にそう言う
「悪いな、仲間が待ってるんだ、また来るからよ」
その場から立ち去った後
ダンは振り返ると不思議な光景が目に入る
「・・・ヴァジュラ?」
そこには、笑顔でダンに微笑むヴァジュラがいた
「・・・やっぱ、いい顔してんなお前」
勿論、ヴァジュラは死んでいるとは分かっている
しかし、その時見たヴァジュラの姿は
確かに・・・本物だったような気がした
数ヵ月後・・・
「・・・ちくそ~」
久しぶりに実家の武器屋を再開したにも関わらず
一向に来ない客にダンは店のテーブルに顔を突っ伏していた
「・・・これじゃこの店潰れちまうよ、誰か仕事の依頼持ってきてくれないかな」
「なんじゃダン、お前ん所は閑古鳥でも鳴きそうな勢いだな」
「うせぇ!自分の仕事やれ配達のおっちゃん!」
「へいへい」
「あら、ダン君、店まだやってるの?」
「おばさん、俺がこの店手放す訳ないでしょう?」
「それもそっか・・・あら、あの男良いじゃない♪」
近所のおばさんはこちらに近付いてくる男に目が行く
「立ち話はいいから、買い物の途中なんだろ?」
「あら、それもそうねウフフ」
「はあ・・・もう誰も古臭い武器屋に興味は無いのかな~」
はぁ~、と溜め息を漏らすダン
しかし、そこに・・・
一人の男の姿が・・・
「すいませ~ん」
「・・・どちらのようで~?」
「・・・武器の依頼についてお願いしたいのですが」
「っ!マジっすか!・・・って」
「・・・素材はある、この店の傑作を頼む」
「・・・OK、最高の武器を提供してやるぜ・・・相棒」
「頼むぜ・・・相棒」
~end~




