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覇道戦記  作者: ガンマニ
10/12

第九話 最終決戦

カースキラー襲来に備え

アルケミアの兵隊全員が国の前で武器を構える

しかし・・・

「敵襲!敵襲!」

一人の兵が敵の進軍を察知する

「行けぇ!恐れるな!」

うおおおおお、と士気を挙げる

そしてぶつかり合う

ある者は魔法、ある者は鍛え抜かれた体と武器を駆使して戦う

カースキラーの兵士達はそれに応戦するかのように戦う


「始まったな」

「あぁ、楽しみな戦だ」

グラドとシーヴィがその場に立ち武器を構える

「さて、俺等も行くか」

「そうさせてもらおう」


「第一ギルド構成部隊は先手に出て!第二の本部隊で一気にケリをつける!」

シオンは長という事で部隊長を任せられている

シオンの指示の元、兵達は突き進む

「本部隊は様子を見ながら出ます!今の内に英気を養っておいてください!」

大量の食事が運ばれ兵士達はそれを食べる

「縁起でもないけど、これが最後の食事にならないかな」

「何を弱音を吐いとるんじゃラキ姉!」

「そうですよ、今は頑張るしかありません」

「・・・そうだよね!ここで弱気になったら女が廃るよ」

クーディオット、ラキ、シズカも今の内に出来るだけ栄養補給をしていた

「お主等は確か、ダンの友人の・・・」

「貴方はSランクの地帝・・・」

「ここで会ったのも何かの縁、絶対に生き残ろうぞ!」

「はい!」

「勿論です!」

「絶対生き抜きましょう!」


一方・・・

「何故です父上!私にも行かせて下さい!」

城の中で対峙する息子と父親

息子の名をキエラ・メキレル

何時の日か、ダンに敗北し自分を見つめ直す意味も込めて修行に取り組んでいた少年である

「駄目だ!お前はこの国の王となるやもしれん男だ、争いごとに巻き込まれて死にたいのか?」

「ですが、今は一人でも多く戦力が必要とされる状態です!」

「これだけ言っても分からんか!」

「・・・私はこの為に力を付けたのです!」

「何処へ行くキエラ!」

「私は私の意志で行動させていただきます。干渉手助け一切無用です!」

「くぅ~この親不孝者がぁ!」

「(ダン、今お前は何をしている?・・・お前の事だから、きっと何かと戦っているのだろう)」

キエラは剣を鞘から抜き戦場へと向かう

「私は守る!その為にも、今ここで戦う!」


「・・・騒がしいな」

ダンは龍の谷から龍の翼で移動している途中であった

「もしかして、アルケミアに何かあったのか・・・」

都の危機を感じ、ダンは更にスピードを上げた


「っはっはぁ!ほれほれ死に曝せ!」

グラドも戦況に交わり、アルケミアの兵を片っ端から撃破していく

「なんとも温い、これが王都が誇る兵の力か?」

シーヴィもその場にて兵達を圧倒している

「ひぃ~お助けをぉ!」

兵士の情けない命乞いにシーヴィはウンザリする

「・・・私は貴様のような奴を見ると殺したくなるのだ」

「・・・いやああああああああ!!!」

兵士が剣で貫かれる瞬間・・・

「土属性形成術『創造土製術(ランド・アート)』!!!」

「風属性体術『風魔・疾風(はやて)』!」

「水属性幻術『アクア・ドラグーン』!」

「火属性我流『ダイナマイトラリアット』!!!」

「闇属性影術『シャドーシザース』」

Sランクの面々による強烈な技がグラドとシーヴィに繰り出される

「ちっ!」

「ぬっ!」

ヨシナガの土で構成されたゴーレムの腕と

シガラの風を操るような素早い風の衝撃波をグラドが避けながら受け止め

ハルナの幻術で創造される水の龍、ガロンの腕に巻かれる業火

そして、カリン闇属性による影の鎌がシーヴィに向かって放たれる

「へっ!複数相手か・・・」

「ま、これくらいではないと面白みは無いが」

「御主等はここで終わりじゃ」

「・・・ここで潰す」

「あんた達のやった事の代償はデカいよ!」

「ここで貴様等を食い止める」

「覚悟して」

何も無い平野にて、両者の強き力がぶつかり合う


一体どうなってんだこりゃ・・・

ダンはこの状況を見て困惑する

「畜生、あいつ等の仕業か!」

「その通りですよ」

「っ!?」

空中で浮かんでいるダンが振り返ると

そこには、首領のルシエルとマオがいた

「ダン君、君にはここで是非朽ち果てていただきたいな」

ルシエルが口を開きそのような事を言う

「それは出来ねぇ、俺はこの戦いを止めなきゃいけねぇ」

「何故だい?、人は戦って死ぬ事で美しく輝く、そんな姿を見ていられるこの状況はとても素晴らしいじゃないか」

「・・・あんた、狂ってるぜ」

「そうかもしれないね、でもね、最後に立っている者が正常だということを証明してあげよう」

「・・・・・・」

「マオ!目を覚ませ!お前は操られてるんだ!」

「無駄だよ、彼に君の言葉は届かない」

「・・・だったら、てめぇぶっ倒してこいつの洗脳を解くだけだ!」

ダンは龍神玉による鎧を装備し、鬼神でルシエルに斬りかかる

だが、その攻撃はかするかのように体をすり抜ける

「なんだと!」

「僕に普通の攻撃は通用しない、諦めなさい」

「・・・なら、こういうのはどうですか?」

言葉が聞こえてすぐにルシエルの肩に弾丸が飛ぶ

何とか避けるが、ルシエルは肩を掠らせる

「・・・誰だ!」

「久しぶりですねルシエル、いえ、元聖帝」

そこにいたのは

白い天使のような羽を生やしたシオンであった

「シオン!」

「ダン君、心配しましたよ、生きてて良かった」

「それより、元聖帝って・・・」

「彼は元、ギルド「セイクリッド」の一員なのですよ」

「貴様、シオンだとぅ」

ルシエルは今までに見せた事の無い位顔を歪ませる

「何故貴方がこの世界を滅ぼそうとしているか大体想像が着きます。今すぐこの愚かな行為を止めなさい」

「出来るわけないだろう、私は世界を変えるのだ・・・貴様のような希望に満ち溢れた不愉快な奴は居たらいけないんだ!」

「シオン!俺はマオを何とかする!・・・シオンは」

「ルシエルの相手ですね?いい判断・・・90点です!」

お互い、相手をする方向へと飛翔する

「貴様の希望と光を全て消し去ってやる!」

「未来に希望を持たず、過去の絶望に焦がれた貴方は危険です。私が引導を渡します!」

「マオ!目を覚まさないってんなら、ぶん殴ってでも目ェ覚まさせてやる!」

「・・・・・・・排除する」

今・・・それぞれの思いが激しくぶつかり合い交差する


「はあぁぁあ!!!」

「ふん!」

「はっはぁ!」

その頃・・・

ヨシナガとシガラはグラドと壮絶な攻防を繰り広げていた

「どしたぁ!二人掛かりでその程度か!」

「こやつ強い!」

「・・・油断できない!」

ヨシナガの創造土製術は威力はあるが遅く

シガラの体術は、速いが火力が無い

故にスピードとパワーが自慢のグラドは二人に対してかなり有利な状況であった

「ノロマ野郎とすばしっこいだけが取り柄のコンビが俺に勝てるかよ!」

グラドは篭手に輝力を込め突っ込む二人に向かって迎撃する

「な!」

「くっ!」

「喰らえ!獣王爆砕爪!」

そのまま輝力を二人に爆発させ、両方同時に勢い良く吹き飛ばす

「まだだ!獣王双爪波!」

篭手を乱雑に振り回し、それにより放たれる真空波で二人に追い討ちを掛ける

「ぐあああああ」

「くっ・・・・」

二人は圧倒的なグラドの戦闘力に徐々に押され始める

「はっはぁ、意外と呆気ねぇな!」

少しして、ヨシナガとシガラは立ち上がる

「・・・どうする」

「・・・方法はある」

「・・・なるほど、あれはなら行けるやもしれん」

「長くは持たない、短期戦で一気にケリをつける」

そういうと、二人は傷だらけになりながらも現れる

「死ぬ覚悟は出来たかよ?」

「それはそちらの事じゃろう?」

「・・・すぐにでも処分する」

「言うじゃねぇか、だが、お前等じゃ俺に勝てるようには見えねぇが?」

「安心せい、すぐにでも本気見せてやるわい」

「・・・行くぞ」

「おう!」


「『創造土製術・鎧拳(アーマーアーツ)』!」


「『風魔・裏奥義・螺旋門・解』!」


二人はそれぞれの輝力と魔力に包まれる

先に動き出したのはヨシナガであった

「・・・・・・」

「はん!またトロくせぇ土攻撃か?」

「はっ!」

「なっ!」

ヨシナガは一気にグラドと距離を詰める

馬鹿な、とグラドは度肝を抜かれる

「だが、こんな近くに来ちゃただの的だ!」

「砕けろおおおおおおおおおおおお!!!」

ぶつかりあったグラドの篭手とヨシナガの拳

次の瞬間・・・

「・・・嘘だろ、俺の篭手が砕けただと!」

右手の篭手を完膚なきまでに砕かれたグラドは動揺を隠せなかった

「ワシの鎧拳は、造られるゴーレムの怪力をトレースして戦う事ができる」

つまり、と続けながらも拳を構えるヨシナガ

「ワシの拳は貴様が鈍いと言ったゴーレムの一撃と一緒じゃ!」

再び腹部に拳を受けたグラドは、ダメージで一瞬動けなくなる

「行けシガラぁ!」

「御意・・・ふん!」

シガラは熱波のような赤い風に包まれ体を限界まで熱くさせる

「・・・・・殺す」

シガラがボソリと呟いた時

その場には何も無かった

そして・・・

「・・・お前、なんて動きしやがる」

グラドの背後に既に忍び込んでいたシガラは超高速の動きで一気に攻撃を浴びせる

「だが、この程度・・・くっ」

攻撃された箇所から大量に血を流す

何があったと言わんばかりにグラドはシガラを見る

「・・・打撃で与えられないなら・・・斬るまで」

「シガラの螺旋門は解かれる事によって体のバイタリティーを限界以上まで上げる。それはつまり、己の限界を超え続ける動きが可能という意味じゃ」

「限界を超え続ける・・・だぁ?」

グラドの篭手は全て破壊され、グラドは奮える

「フザけんなよ、俺はこんなところで死ぬタマじゃねんだよ!」

グラドは体からドス黒い波動を漂わせる

「使いたくはねぇが使うぜ、「獣ノホンノウ」発動!」

すると、漂っていた波動はグラドを包み

やがて、巨大な爪と牙を持った黒い狼と化す

「こうなったらお前等を生かして返さんぞ!」

力任せに振り下ろされる爪

しかし、今の二人にはその状態は逆に不利であった

「確かにタフになってパワーも増すが、そのデカい図体で追えるかな?」

「うるせぇぇぇ!てめえ等全員殺してやる!」

「自分を見失ったか・・・勝機!」

シガラは一気に最大までスピードを上げ無数の攻撃を浴びせる

シガラが地面に足をつけて動きを止める頃にはグラドの巨体の動きも鈍っていた

「くそっ・・・なんで俺がこんな・・・まだ!」

「終わりじゃああああ!!!」

ヨシナガの全力の一撃を顎に受け、グラドは空高く吹き飛ぶ

同時に、変身が解かれ呪いの副作用である「力の逆流」が始まる

「ひぎゃああああああああああ!!!!!」

見るも無残に退化していく姿はやがて塵となって消滅した

「やったのかの?」

「・・・体が動かない」

「ああ、情けないことにワシもじゃ、やっぱりゴーレムの負荷を受けるのは辛いの」

「・・・余り無理したくない」


「楽しいなぁ!やはり命のやりとりはこうでなければ!」

ヨシナガたちが戦っている間

ハルナ、ガロン、カリンもシーヴィと応戦していた

「くっこの女強い!」

「ああ、だが負けねぇ!」

「二人とも頑張ってください!」

「弱いな狩人、貴様等は所詮その程度なのか!」

「うっさい!あんたは私達が倒す!」

「いいだろう、ならば私の全力を見せてやる!」

シーヴィは呪具の黒い波動によって身を包む

「出でよ!『切リ刻ム者』!」

現れたのはサソリのような見た目の生物が現れ

しかし、足や尻尾は刃物で出来

シーヴィ自身が上半身を覗かせていた

「私の力は斬る為にある。さあ、貴様等の体を切り裂かせろ!」

「悪趣味な女!」

「油断は禁物だな・・・」

「気をつけて」

「死ねぇ!」

あらゆる所から刃の攻撃

三人は攻撃を避けるが、避けたところに更に攻撃が入る為、反撃することが出来ない

「くそっ!どうすれば!」

「ちっ!」

「二人とも!私に任せて!」

カリンは距離を取って地面に手を付け魔法の詠唱に入る

「(これが決まれば一気に攻めに転じることが出来る・・・それまで耐えて!)」

「逃がすかよおおお!」

シーヴィは尻尾から棘を飛ばしカリンを狙う

「(駄目!動けない!)」

棘がカリンに届くと思われた

しかし・・・

「てりゃあ!」

「おうらぁ!」

「何・・・」

「・・・二人とも!」

「カリンちゃん、なんか策があるんでしょ?私達で何とかするからここはよろしくね!」

「お前に命を預ける、だから、お前も俺達に命を預けろ!」

「・・・分かった、頼りにしてますよ!」

二人が注意を引き付ける間、カリンは魔法の詠唱を続ける

「なんだいなんだい!アンタ等二人で私を止めようってかい!」

「そうよ!あんたなんて私ら二人で十分だよ!」

「むしろ俺だけでもいいくらいだ!」

「あんまり舐められると機嫌が悪くなるぞ!」

まるで、嵐のように降る斬撃に二人は攻撃するチャンスが伺えない

「これで終わらせる!」

シーヴィは巨大な鋏を大きく開きハルナとガロンを捉える

「死ねぇ!」

「くっ・・・っ!」

ハルナが目を閉じた瞬間に思った

「(ここで死ぬのか、悔しいな・・・)」

だが、痛みは襲ってこない

「・・・ガロン!」

「ちっ男が庇ったか」

ガロンは受け止めた両腕から大量に血を流す

「昔から・・・男が女を守る物って決まってるだろ」

「馬鹿が、だったらお前が私を倒してみせろ」

「生憎、それが出来たら苦労はしない」

「だけど、それが出来る準備は整いました」

カリンは詠唱を終え二人の間に立つ

「お待たせしました、これでオーケーです」

「貴様、一体!?」

シーヴィは自分の体に起きている異変に気づく

「これは、バインド!?しかも、かなり複雑な術式!」

「凄いやるじゃないカリン!」

「これで、心置きなくお前を退治できるな」

「くっ!」

「じゃあ、トドメは私がやるわ!」

「ふん、だが所詮バインド、解かれれば何の意味も」

「心配しないで、解かれる前に一撃で決めるから」

「なっ!」

「幻術『八岐大蛇(やまたのおろち)』」

ハルナの技により

水による構成が始まる

「・・・なんだこれは!」

「これさ、こうやって使うんだよ?」

そういい、八岐大蛇は再び水となってシーヴィを包み込む

すると・・・

「なんだ、・・・いやああああああああ!!!」

「なんだ、どうなっている?」

ガロンの問いにハルナは笑顔で答える

「私ってさ、直接攻撃する方法あんまり無いけどさ、こうやって精神的に追いやる方法なら結構知ってるんだ♪今のは一番キツい奴なんだよ☆」

「・・・どんな幻を見ているの?」

「う~ん、具体的には知らないけど、自分の恐れる物に包まれたりとか?」

やがて、シーヴィは副作用の「精神痛覚」により変身が解けその場に倒れる

「ま、私に逆らったらこうなるって分かったと思うよ♪」

ハルナの言動に若干怯える二人

「「(絶対コイツ(ハルナ)を怒らせた駄目だ(です))」」

「・・・ハルナ、そちらも上手くいったようじゃな」

「ヨシナガ君!、シガラも・・・」

「敵は倒した、だがこちらはほとんど力を使い果たした」

「こっちもだ、まともに戦えそうに無い」

「・・・Sランクはギルド長だけか」

「いえ」

カリンはそう呟く

「・・・近くに感じたことのある輝力、ダン君が来ています」

その言葉に全員が安堵する

「無事じゃったか!」

「無事で何より・・・」

「よかったぁ・・・」

「やはり生きていたか!」

「・・・シオンと一緒」

「きっと、一緒に戦っておるんじゃな」

「ダン・・・」

「ダン君なら大丈夫だよね?」

「ああ」

全員がダンに希望を委ねていたその時

一匹の馬に乗った人影が見える

「・・・みなさん」

一人の小柄な少女が馬に降りてくる

「・・・お主は!?」

ヨシナガはその少女が何故ここにいるか分からないといった表情で驚く

「・・・皆さんにお願いがあります」


「うおおおおおお!!!」

「くっ・・・」

現在、ダンとマオは交戦中で

徐々にダンがマオを押しつつあった

「おりゃあああ!!!」

「・・・ふん!」

更にマオから力が溢れダンは気圧される

「まだ強くなるなんて、何て奴だ」

「・・・・排除」

「でも、それでもお前を止める!」

「・・・・」

「待ってろマオ、今お前との約束を果たす!」


第九話 完



次の話で最終回です。

今まで読んでくれた方々是非最終回もよろしくお願いします

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