5-2.
芽衣が病院に運ばれてから、毎日が目まぐるしかった。しかし、その騒ぎも簡単に収まった。芽衣は顔だけでなく、呼吸器もやられ、機械なしでは生きられない体になってしまった。
普通の日常に戻ろうとしたある日、いじめっ子の一人が死んだ。原型も留めないほど酷い姿だったらしい。その次の日も、次の日も、いじめっ子が死んだ。
取り巻きがいなくなった時、誰かの怒りを買っていたのか、いじめっ子のリーダーに対する悪口が広まっていった。その主犯格の地位が下がった後、彼女も殺された。
「……何かできたかもって、後悔してるんだ。」
智樹が一人こぼした。
結奈たち三人は、芽衣がいる病院にいた。お見舞いの帰りだった。
全てが終わった後、彼らは罪滅ぼしのためにお見舞いへと向かったが、芽衣の悲惨な状況に息を呑んでしまう。
「……芽衣さ、すぐ結奈のマスク外そうとするじゃん。だから、それがモヤってて……。でも、アイツ、ずっと僕らのこと褒めてたじゃん。本当は、空気をよくしてたんだなって。」
「だろ。あいつ、俺らのこと好きなんだよ。いや、俺らだけじゃない。みんなのことも……。なんで気が付かなかったんだろうな。」
大和の発言の後、少しだけ沈黙する。その沈黙を破ったのは結奈だった。
「……もし、もしも。やり直せるなら、やり直したいよ。」
その発言に、二人は頷いた。
その時だった。
「……へぇ、やり直したいんだ。」
ふと、何処かから声が聞こえる。
三人がキョロキョロと辺りを見渡していると、そこにいた。
彼女は艶のある白髪を伸ばし、神聖な雰囲気を醸し出している女性だった。
「……誰、ですか?」
「私の名前は湖白。よろしくね。」
「湖白……?もしかして、芽衣が言ってた……。」
「そうだね。よく知ってるね。」
そう言って、彼女は微笑む。
その様子は何処か圧があり、その場から動けないほどだった。
そのまま止まっていると、湖白が三人に問いかけた。
「……ねぇ、なんで芽衣を見殺しにしたの?」
「は?」
「だから、なんで見殺しにしたの?」
「なんでって……。」
三人が黙りこくっていると、湖白ははぁ、とため息をついた。
「まあ、いいけど……。でも、やり直したいんでしょ?できるよ、やり直し。」
そう言って、湖白は笑った。
「冗談、ですよね?」
結奈がぎこちなく笑うと、湖白はあら、とびっくりした。
「……まあ、信じてくれないのも無理ないか。じゃあ、これはどう?」
湖白はそういうと、手をかざし、そのまま空を切った。
すると、結奈が二の腕を掴み、蹲る。
「いっ……!」
「結奈!」
智樹が駆け寄ると湖白は指を鳴らした。すると、結奈は何事もなかったかの様に起き上がる。
「……痛くない。」
「血も出てない。」
「……どういうことですか?」
大和が聞くと、うーん、と湖白は唸った。
「切って治しただけだよ。この力が戻ったのも芽衣のおかげだね。」
「あなたは、何者なんですか?」
「神様だよ。なんでもできる、ね?」
そう言って、湖白はにっこりと笑った。
「……ああ、芽衣を助けたいんだよね?協力するよ。」
そう言って、湖白は話し始めた。
「……やり方は簡単だよ。私が芽衣を生き返らせるの。いじめっ子達がいない今なら、大丈夫でしょ?でも、条件があるの。絶対に、いじめられていたことは思い出させないで。もちろん、私のことも。その時にお呪いは解けちゃうからね。……できるでしょ?」
三人は頷く。彼女の真意も知らずに。




