5-1.
泥の様な眠気から目が覚める。
芽衣は椅子に座らされており、あたり一面は真っ暗闇だ。
「……どこ。」
芽衣は声に違和感を覚えながらも、そこでふと、とあることに気づく。
呼吸が楽だ。
芽衣はすかさず自分の顔を触る。
火傷が治っている。
何故かと寝起きの頭で考えていると、誰かの足音が近づいてきた。
「……おはよう。調子はどう?」
その声の主は、芽衣に目線を合わせるようにしゃがんだ。
彼女は芽衣よりも幾分か大人で、艶のある長い白髪を伸ばしている女性だった。
「……だれ、ですか?」
「えー?忘れたの?私だよ、湖白。」
「こ、はく……。湖白?あの?」
芽衣の言葉に湖白は頷く。その様子に芽衣は大きく目を目開いた。
「……大人っぽくなったね。」
「でしょ?私、本来の力を取り戻したから。」
「……やっぱり、湖白って普通の人じゃないんだね。」
「そうだよ。私、神様だから。」
そう言って、湖白は微笑んだ。
「神様……。ああ、あそこは元々神社だったね。湖白、そこに住んでたんだ。」
芽衣の言葉に湖白は頷くと、立ち上がり、くるくると回り出した。
「私、今のことについて沢山勉強したよ。服装も今風に変えたの。ほら、おしゃれでしょ?まあ、便利さは着物に劣るけどね。」
湖白はそう言い、ニッと笑う。
「……湖白のそういうところ、変わんないね。なんていうか……頑張り屋なところ?」
「なにそれ。」
芽衣の発言に湖白はけらけらと笑う。その様子に芽衣は微笑んでいた。
「……ねぇ、ここはどう?安心する?」
湖白の突然の発言に、芽衣は目を見開く。
その後に、ふっ、と目を細めた。
「安心するよ。湖白がいるからね。」
その返答に湖白は安心するが、それと同時に、芽衣の顔がどこか浮かばれないことに気づく。
そりゃそうだ。芽衣は友達に裏切られたのだから。
だから、一緒に――。
「……そう、安心した。でも、問題はまだ終わってない。」
「……え?」
驚く芽衣を横目に、湖白は続けた。
「……もういいよ。私、死んでるも同然だし。生き返ったって……、顔が、なくなってるし。」
「なら、尚更だよ。アイツらを野放しにしていいの?」
そういう湖白の発言に、芽衣は声を詰まらせる。そんな状況の中、湖白は続けた。
「私、許せないの。最初だって、ただの嫉妬で、その後冤罪をかけられて、友達にも裏切られて、その挙げ句顔も燃やされて……。許せるの?許せないと思わない?」
「……どうするつもりなの?」
「もちろん殺す。一人たりとも逃さない。」
その発言に、芽衣は言葉を詰まらす。
「……お願い、結奈達は殺さないで。」
「なんで?」
「あの子達は友達なの!それに、私を裏切ったことも、悪気なんてないはず……。お願い。」
懇願する様な目を前に、湖白はうんうん悩み、わかったと答えた。
「でも、報復はするよ。安心して、殺しはしない。」
「……報復って?」
「うーん……。」
考えてなかったのか、湖白はうんうんと悩み出す。
「……あ、いいこと思いついた。芽衣、聞いてくれる?芽衣の助けが欲しいの。」
「私の?」
「うん。うまくいけば一年間は普通の生活を過ごせるし、あの子達ともまた会える。どう?」
「……詳しく聞かせて。」
意思を固めた様に芽衣はそういう。
湖白はうっとりと笑い、芽衣に計画を話した。
全てを話し終わった後、芽衣は少し考え、頷いた。
「……わかった。その条件のむよ。だから、みんなに酷いことしないでね?」




