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【犬猫画像つき】八重山諸島の犬猫の話  作者: BIRD


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初めて見た優しい世界「アクル」「エルサ」

 挿絵(By みてみん)


 もしもし?

 君、猫背どこへやった?!


 って言いたくなるくらい、背筋ピーンとしながら、隣のケージを見つめている仔猫は「アクル」。

 彼はとあるホテルの敷地内で生まれ、TNR用のトラップにかかってしまった子。

 トラップに捕まった直後、音に驚いて突進したようで、顔面をすりむいていた。


 挿絵(By みてみん)


 アクルに見つめられているのは、隣のケージにいる「エルサ」。

 自治会TNR猫で、リリース後に隣の集落へ移動して、貸別荘の庭に居着いていた猫。

 別荘の主がベテラン猫ボラさんに相談、ベテラン猫ボラさんの家に保護され、耳カットがあることからこちらに話が回ってきた。

 元は自治会内にあったダイビングショップで餌をもらっていた猫。

 その店は野良猫の群れを置き去りに転居していなくなっている。


 挿絵(By みてみん)

 挿絵(By みてみん)


 アクルには「ミモザ」という仮名をつけた姉妹がいる。

 ミモザは1回目の譲渡会ですぐもらわれていった。

 アクルは残されて寂しかったのか、他の猫に甘えて寄って行こうとするようになった。

 最初に寄って行った相手は、人間大好き猫大嫌いのアンナ。

 子育て経験ある成猫だけど、よその子には辛辣だった。


 挿絵(By みてみん)


 甘えて鳴きながら近寄るアクルを、容赦なくパンチするアンナ。

 隣接させない方がいいなと思い、アクルのケージを移動させた。

 次にお隣さんになったのが、アンナの姉妹のエルサ。

 エルサはアクルを見た途端、じっと座って見つめ合った。


 挿絵(By みてみん)


 その見つめ合いが何を意味するのか、試しにアクルをエルサのケージに入れてみた。

 エルサのケージの床にあった爪とぎ板をバリバリし始めるアクル。

 この子、気になってたのはそっちか?

 一方、エルサはスッとアクルに近づく。

 そうして何をするのかと思えば、初対面のアクルの毛づくろいをし始めた。


 挿絵(By みてみん)


 おとなしく毛づくろいされるアクル。

 まるで母子のような光景。

 でも、彼らは今初めて会ったばかり。

 その優しい世界は今も、ガラケーで撮影した動画で残っている。

 さらにその夜、保護部屋の様子を見に行くと、アクルがエルサの乳を吸っているのを目撃。

 君たち、今日会ったばかりだよね?

 なにその今までずっと一緒に暮らしてたみたいな雰囲気は。

 親子と間違われそうなくらいに、2匹は初日から仲良く寄り添っていた。


 挿絵(By みてみん)


 2匹はもう引き離すのが惜しいくらいの仲良しコンビとなり、次の譲渡会では1つのケージに入れて参加させた。


「仲良しなので2匹一緒にお願いします」


 石垣島では、ペア譲渡はなかなか声がかからない。

 ましてエルサは成猫で、もらい手がつきにくい。

 誰からも声がかからないかと思っていたら、若いご夫婦が声をかけてくれた。


「ふたりの仲良しぶりが気に入りました」


 そう言ってくれた里親さんは、トライアルを経て2匹を家族として迎えてくれた。

 新たに与えられた名前は、海産物系。

 エルサは「ほたて」、アクルは「たらちゃん」。


 挿絵(By みてみん)


 今は里親さんに連れられて島外へ引っ越していった2匹。

 後に3匹目が迎えられ、エルサはお母さんのように、アクルは優しいお兄ちゃんになっていると報告をもらった。

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