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【台本】勇者は呪われましたっ!➀幼馴染はすぐ裏切る

0:ドガッ

聖女イーシャ:アッ!


勇者マケル:イーシャ!


聖女イーシャ:......


勇者マケル:(イーシャは声掛けに答えず、その場にぐったりと横たわっている……生気せいきを感じないその様子に思わず息を呑む。

僕は、周りを見渡す。魔王の攻撃で、気づけば僕達のパーティーはほぼ壊滅状態になっていた。一人残った僕のHPエイチピーも残りわずか、勝てる見込みは……ないだろう)


魔王イーライ:クックック、他愛もない……いくら私を倒すと粋がったところで所詮人間……勇者パーティーなどこのようなものか


勇者マケル:貴様っグっう!


0:ガッ【魔王が勇者マケルの首を掴み高く掲げた】

魔王イーライ:とはいえ、わざわざ長い道のりを旅し、私を倒すなどと妄言もうげんを吐きに来た、そのくだらぬ労力には、褒美を与えなければならんな


勇者マケル:【首を掴まれて苦しそうに】褒美……だと?


魔王イーライ:そうだな……「裏切られる呪い」というのはどうだ?

クックック、今までお前が守ってきた人間どもに、裏切られ続ける生活、果たしてお前は耐えられるかな?


勇者マケル:何が、裏切られるだ?人間をなめるなよ、僕には信頼できる仲間がいる。

お前を倒し、呪いを解けばいいだけだ。


魔王イーライ:フッ、その威勢いつまで続くかな……呪詛魔法じゅそまほうウラ・ギラレル


0:バシュッ【勇者マケルの身体を体を黒い波動が包む】


勇者マケル:こんなことで、くじけると思うな!

……僕は、いや僕たちは、また何度でも蘇る。次に負けるのはお前だ!魔王イーライッ!


魔王イーライ:フンッ、せいぜい楽しませてもらうとしよう。闇魔法トドメーサスッ!


勇者マケル:ガッ!(内側からのはじけるような衝撃を感じながら、僕の意識は途切れた)




0:チカバーノ教会

0:ズンチャ ズズンチャ ズンチャ ズズンチャ!【リズム感のある音楽】


神父ストレスタ・マッテール:オー勇者マケルよ。死んでしまうとは情けない!この世はなんて世知辛い!Soお前の手元には何もない!


勇者マケル:いや、いきなりひどくない?ここ教会だよね?

生き返ったばっかの人に、何で強めのディス?


0:ポチッ【機械を止めて、リズム感のある音楽を消す】


神父ストレスタ・マッテール:オー失礼、悪気はあるデシタ。

日々の鬱憤うっぷんを晴らすのにちょうどいいやつが来たなと思いマシテ


勇者マケル:いや、悪気あるんかい……あんまそう言うの言わない方がいいですよ。

というか色々ぶちまけ過ぎでは。ディスだけ妙に流暢りゅうちょうだし、あなた本当に神父ですか?


神父ストレスタ・マッテール:言い慣れてるからネ。ちなみにラップは趣味DEATH!


勇者マケル:あ、聞いてないです。

まぁ、いいです。他の人も生き返らせたいんですけど、いくらですか?


神父ストレスタ・マッテール:オー蘇生そせいネ。

オッケーですね。それなら、スグニウラ・ギルさんは10,000G……


勇者マケル:ちょちょちょっとまって?え?今なんて?


神父ストレスタ・マッテール:だから、スグニウラ・ギルさんは10,000G、ギャ……


勇者マケル:いや、平然と同じこと繰り返さないで!?

えっ、僕達まだ15レベルだよ?なんで?先週までせいぜい100ゴールドちょっとだったじゃないですか!


神父ストレスタ・マッテール:ココ、魔王城の近くダカラネ


勇者マケル:いや、ヤヴァイ教会はどこでも一律いちりつ同じお布施ふせで蘇生してくれるはずでしょ?


0:ポチッ ズンチャ ズズンチャ ズンチャ ズズンチャ!【再びリズム感のある音楽が流れる】


神父ストレスタ・マッテール:教会の意向とか関係ない、ここは私の境界内きょうかいない!生と死すらも操る男、ここでは私がルールなんだヨ!


勇者マケル:め、めちゃくちゃだぁ……あの、僕一応勇者としてやらせてもらってるんですけど、世界救うのでどうにかなりませんか?


神父ストレスタ・マッテール:勇者か何だか知んないけどヨ。

レベル15で魔王に挑んでんじゃねぇ!勇気と無謀むぼうを履き違えんなヨ!

毎回蘇生させる、こっちの負担も考えろやカスゥゥゥゥ!!!


勇者マケル:ウッ、急に正論!

……そ、それは。あの~トントン拍子で進んじゃってたので、調子に乗っていたというか、なんというかぁ……あの、はい。反省してます。あのこれ、ちょっとした賄賂わいろですが……【おはぎを差し出す】


神父ストレスタ・マッテール:……チッ


0:パカッ【おはぎを受け取りのぞくき、こし餡なのを視認する】


神父ストレスタ・マッテール:……なかなか分かってますね


0:ポチッ【リズム感のある音楽を消す】


勇者マケル:気に入っていただけたみたいで何よりです。それで、ちょっと相談なんですが~


神父ストレスタ・マッテール:なんデスか?


勇者マケル:ほら、流石に一人で旅するのはつらいので……手元にそんな大金もありませんし。というか、負けちゃってお金落としたので1000Gしかないんですよ。どうにか割引とかしてくれないですかね~旦那~


神父ストレスタ・マッテール:しょうがないネ。ヤヴァイ教会の同胞どうほうとして、聖女のイーシャさんなら特別割引1000Gでいいヨ


勇者マケル:全財産むしり取る気満々じゃないですか!?大体、それでも相場の10倍はありません?


0:スッ【神父が無言で、音楽の機械に手をかける】


勇者マケル:あの!やっぱお願いします!イーシャを生き返らせてください!


勇者マケル:(こうして、僕はわけのわからぬままイーシャを生き返らせて、教会を後にしたのだった)


神父ストレスタ・マッテール:センキューベリーマッチョ!






0:ヒトリス城下町のクナクナール酒場


戦士スグニウラ・ギル:ガハハハッそりゃぁ災難だったなぁマケル!


勇者マケル:いや、ほんと酷い目に合ったよ。賄賂のおはぎが効いたのかも、あっちもこし餡派で良かったよホント。


賢者ルキョウ:まさか、マケルの人に手作りのおはぎを配るクセが役に立つとは……。でも、イーシャが蘇生の魔術を獲得していてよかった。

そうじゃなかったら私とギルは、いまだに棺桶かんおけの中だったでしょう


勇者マケル:ほんと、イーシャ様々だよぉ


戦士スグニウラ・ギル:だよなぁ!

イーシャがいなきゃ、このうまい酒も飲めてないってわけだ!


賢者ルキョウ:お金は私のへそくりから出してるんですよ?

まぁ、とは言え感謝はしてますが


戦士スグニウラ・ギル:だよなぁ!聖女イーシャ様に乾杯だぜ!


聖女イーシャ:エ、エヘヘ〜。そんなことないですよぉ。

ラストダンジョンでたまたま覚えただけで。……でも皆様のお役に立てて嬉しいです!


賢者ルキョウ:フム、その神父の愚行ぐこうについては、後ほど教会に訴えを出して、慰謝料をむしり取るとして……いったい何で急にそんなことを言い出したのか


勇者マケル:いや、それがさっぱり……あっ!


賢者ルキョウ:ん?マケル殿、何か心当たりでも?


勇者マケル:あの、実は……魔王との決戦の最後に……「裏切られる呪い」ってのをかけられたような……


賢者ルキョウ:裏切られる呪い!?まさか、伝説の呪詛魔法ウラ・ギラレル!?


戦士スグニウラ・ギル:え?なんだよ大げさだなぁ、そんなヤバい呪いなのか?


賢者ルキョウ:えぇ、呪詛魔法ウラ・ギラレル。

周りの人々の欲望を最大限に引き出す呪い、呪われた者たちは信じていた周り人たちに裏切られ、じわじわと、やる気を削がれていく恐ろしい呪いとか……


戦士スグニウラ・ギル:そんなつぇえの?

というか対処法とかないのかよ?


聖女イーシャ:わ、私も教会の魔導書に書かれていたのを見たことがあります。

でも、確かそれは強い理性と、術をかけられた人への強い思いがあれば耐えられるとか……とはいえ、応急処置にしかならないと思うので、やはりベストは呪いをかけた相手を倒すのが一番でしょうが


勇者マケル:つまり魔王か……(ついさっき、ボコボコにやられたばっかなのに勝てるかなぁ……)


戦士スグニウラ・ギル:な~んだ!じゃあ大丈夫じゃねぇか!

俺達は強い絆で結ばれたパーティーだろ!俺達が裏切るなんてありえないぜ!


賢者ルキョウ:フッ、たまにはギルも、いいことを言うじゃないですか。

そうですね私たちが裏切るなどありえない。魔王も呪いをかける相手を間違えたようだ


聖女イーシャ:わ、私もですよ!マケル様を一生お慕いアワワワ、あのえっと、おそばにいます!

裏切るなんてありえません!


戦士スグニウラ・ギル:それによマケル。俺達はガキの頃、一緒に魔王を倒すって約束しただろ!

忘れたとは言わせねぇぞ!


勇者マケル:あ、ありがとう。ギル、みんな……そうだよな!魔王退治がんばろうな!


0:ポンッ【一人の女性がギルの側に来て肩を叩く】


タブラーカス:ウフフッ、お兄さん、戦士?素敵ね、今晩お暇?


戦士スグニウラ・ギル:へ?あ、ひ、暇です!


勇者マケル:アハハッ、ギル何その顔……ギル?


戦士スグニウラ・ギル:あの、お嬢さん、お名前は?


賢者ルキョウ:急にキリっとした顔をして何をしてるんだギル。

そんなことしたって、いつものアホ面は変わらないぞ……おい、ギル?


聖女イーシャ:なんか、2人の空間ができてますぅ。これ、少女漫画で見たことあるやつ……


タブラーカス:ウフフッ、私の名前は、ダンシ・タブラーカスよ。カッコいいお兄さん❤


戦士スグニウラ・ギル:タブラーカスさん。なんて素敵な名前だ。今夜空いてます。いや、今夜と言わず一生......ね


タブラーカス:まぁ嬉しい!私も貴方を運命の相手だと一目見たときから分かりましたの。

ぜひ、今夜だけと言わず一生そばにいてくださいな!


戦士スグニウラ・ギル:えぇ、もちろんです。じゃあさっそく籍を入れに行きましょう【席を立つ】


タブラーカス:えぇ、嬉しい【ギルに腕を絡ませる】


勇者マケル:いやいや、ちょっと待って!


聖女イーシャ:そうですよ、ギル様何を仰ってるんですか?一生って、魔王退治は……


タブラーカス:……魔王、退治?......えっと、どういうことですの?


戦士スグニウラ・ギル:あっ、今パーティーやめましたから、いつでも大丈夫ですよ


勇者マケル:うぉい!たった今、魔王を倒すって誓いなおしたばっかりだろ!


戦士スグニウラ・ギル:マケル、人間ってのは経験の中で変化していくもんなんだよ


勇者マケル:いや!誓ったの数秒前だから!

人生変わるほどの経験する暇なんかなかったから!


賢者ルキョウ:そうだぞギル!目を覚ませ!

オマエにあるのは、その美人さんへの下心だけだろう!


戦士スグニウラ・ギル:ハハッ、ルキョウ、人は数秒あれば恋に落ちれるんだぜ……オマエらにはまだ分からねぇかもしれないけどな、なぁターブラカスさん【ターブラカスの目をジッと見つめる】


タブラーカス:えぇ、ギル様【ギルを熱い眼差しで見つめ返す】 


賢者ルキョウ:うわーシンプルにムカつきますね……


戦士スグニウラ・ギル:一目見た瞬間わかったのさ


タブラーカス:そう、一目見た瞬間わかったの


勇者マケル:おい、何が始まったんだこれ!ココただの酒場なんですけど!


戦士スグニウラ・ギル:俺たちの出会いは……


タブラーカス:運命だって!


聖女イーシャ:うわぁ~!なんか、まるで取りあいみたいですね。

どちらがギルさんを射止めるかのレースみたいな......私なんだかワクワクしてきました!


賢者ルキョウ:ウッ............レース......大穴狙いとワイド......オッズがあるから総流そうながしもオススメ【頭を抱えてうずくまると、懐から赤鉛筆を取り出し一心不乱に机に書き込みを始める】


勇者マケル:何の呪文!?ちょ、ルキョウ大丈夫か?

......あっ、てか机はだめ!大将に怒られる!


賢者ルキョウ:フフッ、フフフフ


勇者マケル:......え?



0:スッ【ルキョウはどこから取り出したのかマイクを持って、元気よくハキハキと喋り始める】


賢者ルキョウ:さぁ、始まりました。

戦士スグニウラ・ギルはどちらにつくのかステークス!

解説はルキョウ、特別開設席には恋愛に詳しいイーシャさんに来ていただいております!

イーシャさん、今日の酒場さかばはどうでしょうか?


聖女イーシャ:ちょい、重馬場おもばばですねぇ。

マケルさんが幼馴染とは言え、運命の愛は強いですからねぇ。少女漫画でも定番です!


勇者マケル:そう言うこと言わないで。良馬場りょうばばだから。

めっちゃ快晴つづき!......魔王には負けたけど......って少女マンガってなに!?

イーシャまで、何してんの!


賢者ルキョウ:さぁ、それぞれの思いをいだき今、スタート!


戦士スグニウラ・ギル:クッ、俺には使命がある。

仲間との絆がある……悪しき魔王を倒さなければ……


賢者ルキョウ:おっと、ギル選手少し体がよれました。

どうやらマケル選手との思い出が頭をよぎるようです


聖女イーシャ:一応、0歳の頃から今まで18年、幼馴染おさななじみとして育ってきてますからね


勇者マケル:そうだ、そうだぞギル。いいぞその調子だ!

思い出せ、ハジマリ村で幼い頃から一緒に育ってきただろ?


タブラーカス:そう、私の愛しい人には途方もない使命があった。

あぁ、心配で胸が張り裂けそうだわ【ギルにしなだれかかる】


賢者ルキョウ:お~っと、タブラーカス選手アタックを仕掛けたぁ!

捨て身です!捨て身タックルです!


聖女イーシャ:豊満なボディから繰り出されるタックルは強いですよぉ


賢者ルキョウ:おっと、ここで情報が入ってきました。なんとタブラーカス選手、この日の為にスタイルに磨きをかけてきたそうです!


勇者マケル:何の情報?そんなこと言ったら、僕だって筋トレして5㎏増えましたけど?バキバキですけど!?


聖女イーシャ:正確には4.57㎏ですね!

とはいえ、両者しあげてきたようです。さぁギル選手どうでるか!


戦士スグニウラ・ギル:でも、そんなもの捨てよう!

君のためなら仲間も使命も、全て!


勇者マケル:捨てないで!?そんなものじゃないよ!

僕らの18年間、この数秒に負けるの!?


聖女イーシャ:秒でしたね~名前がマケルですもんねぇ~


賢者ルキョウ:おっとここで情報が入ってきました。

どうやらマケル選手、魔王により「周りに裏切られる」呪いがかかっているようです。


聖女イーシャ:それは、大きなデバフですね~


勇者マケル:いや、それさっき言ったし!

それでも大丈夫って言ってたやつがこのザマなんですけど!?


賢者ルキョウ:加えて、最近ギル選手は、飲むたび彼女が欲しい欲しいと言ってましたからねぇ


聖女イーシャ:ですね、正直、最近は聞くのが面倒になってきてはいましたよね。

100回目を超えたあたりから数えるの止めましたし、最近はそういう鳴き声だと思っていました。


勇者マケル:いや、100回も数えてたの?

あと鳴き声はひどいよ、それは僕にもダメージ入るよ......


賢者ルキョウ:ギル選手のひいおばあちゃんにも、ひ孫を見せろと毎年のように裏拳をかまされているそうですからね。


勇者マケル:ウッ、ケンカマスばっちゃん。懐かしい~。元気だろうなあの人は。


戦士スグニウラ・ギル:だよな。お互い良く叱られてたもんな。でもその後にくれるおはぎが美味うまかったよなぁ


勇者マケル:わかる。美味しかったよな。あの人のおはぎ、また食べた……

タブラーカス:【遮って】まぁ、私も空手も習ってたので、ひいおばあ様とも仲良くなれそうですわ!


勇者マケル:いや、スゴイな!今、結構入りにくい話だったよ!?



タブラーカス:【マケルをガン無視して】あぁ、もう貴方と一時も離れたくない!

あと、私も、おはぎ作るの得意です!


戦士スグニウラ・ギル:な、おはぎまで!?

あぁ、オレもオマエと出会う前には戻れない!


勇者マケル:なんで2人ともその温度感でいけるの?あってまだ1分足ってないよ?

あと、おはぎは僕も作れるよ!?

なんなら、給料おはぎで払ってもいいくらい作りまくるよ!


聖女イーシャ:それは普通に嫌ですね~


賢者ルキョウ:マケル選手果敢に突っ込んでいく、しかし戦況せんきょうは厳しいか!


聖女イーシャ:おはぎを給料にしようとしてますからね。狂気の沙汰です。


タブラーカス:ギル様、お慕い申し上げてもよろしいですか?


戦士スグニウラ・ギル:もちろんです。オレも……愛してます!


勇者マケル:2人ともキメ顔やめて!数秒で愛もクソもないよ!


戦士スグニウラ・ギル:じゃあ、マケルそういうことだから。今まで世話になったな


賢者ルキョウ:お~っと、ここでフィニッシュだぁ!


0:タッタッタッ【2人は軽やかな足取りで酒場をでていく。マケルはその背中に叫ぶ】


勇者マケル:なんでだよぉ!おはぎぐらい僕も作れるよ~!


賢者ルキョウ:勇者マケルの検討違いの咆哮ほうこうが酒場に悲しく響きます。いや~意外な結果でしたね


聖女イーシャ:やはり、愛の力は偉大ということですね~、あと、おはぎは関係ないでしょうね。


勇者マケル:ウソ……だろ?……【勇者マケルは目の前が真っ暗になった】


賢者ルキョウ:【我に返って】ハッ!マケル!

アイツ酒代を踏み倒していきやがりましたよ!許せん!


聖女イーシャ:ハッ!……私たちはいったいなにを、……ル、ルキョウ様!それどころではありません!マケル様が!


賢者ルキョウ:なっ!大丈夫ですかマケル!







0:宿屋

勇者マケル:はっ!……なんだ、夢か……


賢者ルキョウ:ようやく正気に戻ったか……夢ではないぞ、マケル


勇者マケル:えっ……?


聖女イーシャ:あの、いまさら言いにくいのですが、私、あんこは粒あん派です。


勇者マケル:えっ?(気づくと、僕の前には見渡す限りの、こし餡おはぎと、お腹をパンパンにさせた2人が座っていた)


勇者マケル:そっかぁ……そっか、ゴメン。ギルも粒あん派だったのかな……


賢者ルキョウ:いや、関係ないと思いますよ。アイツは何でも食べますから。前、スライムをめんつゆでいったら旨そうだよなとか言ってましたし。


勇者マケル:だよね!じゃあもうちょっと作ろうかな!


聖女イーシャ:ま、まぁまぁ、少し休んでください!マケル様3日間もおはぎ作りっぱなしだったんですから!


賢者ルキョウ:ですね!私、お茶入れてきますから!

おはぎをおやつに作戦会議でもしましょう。


勇者マケル:そう……そうだよね。ギルもいない分、フォーメーションも変わるし


賢者ルキョウ:そうです、そうです。そうしましょう!……とりあえず、手でも洗ってきては?

ほら、あんこでベタベタですよ!


勇者マケル:あっ、そうだね。ちょっと行ってくる。


賢者ルキョウ:あの、外でおはぎ作ったらだめですよ?……ついていきましょうか?


勇者マケル:いや。大丈夫!流石に、人のあんこでおはぎ作るほど子どもじゃないから!


賢者ルキョウ:えっ、子どもの時は作ってたんですか?


勇者マケル:……


0:バタンッ【ルキョウの質問に答えることなく、笑顔でマケルが部屋から去って行く。彼のその手は、まだ見ぬおはぎを握っているかのようだった】


聖女イーシャ:マケル様、本当に大丈夫でしょうか?


賢者ルキョウ:わかりません。……しかし……あの呪い、本人にも有効なんでしょうか……落ち込んだらおはぎを作る癖があるのは知ってましたが。今回は、ちょっと量がヤバすぎです【部屋いっぱいのおはぎを見て】


聖女イーシャ:そ、そうですね。システムにない動きを……きっと、ギルさんはパーティの中でも古参こさんでしたし、何よりマケルさんの幼馴染おさななじみ、ショックもあって、殊更ことさらおはぎに逃げているのかもしれません


賢者ルキョウ:......イーシャ私たちは、彼のことを裏切らないようにしましょう。彼の為にも、私達の為にも……


聖女イーシャ:もちろんです!

賢者ルキョウ:次回「められないまらない!ギャンブ・ルキョウがお金を持ち逃げ!」絶対に見てくださいね!【いい声で】


勇者マケル:ドヤ顔でいう事じゃなくない!?

聖女イーシャ:つづきます!


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