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ヘンテコな集団⑯



 マリアの心の叫びなど露知らず、クラウスはさらに追及するために問いかけた。


「それで、ガルムと一緒にいた経緯、教えてくださいませんか? いつ頃からご一緒に?」


「えーと、確か……」


 私は断片的に事実を口にしながら、記憶を遡る。



$$$



 何とかしてクラウスの剣を岩から引き抜くことに成功したが、その剣が自らの意志を持っているみたいにすぐさま飛んで行ってしまって、私は呆然と見送った。


 もうやるべきことも、する気力も底をついたマリアは、ごろんと寝っ転がって休憩することにした。

 

 視界を閉じた。

 背中に触れる草の感触が、何とも心地よかったのだけ鮮明に覚えている。

 

 しばらくすると、葉の擦れ合う音がした。かなり近くで。

 風は吹いていない。となれば、それが自然な音であるはずがなかった。

 

 私は弾かれたように上体を起こし、周りを見渡す。

 

 

 人だ。人がいる。

 

 視界に入ったその影に、マリアの背筋はざわざわと嫌な焦燥感が走った。

 このままでは、まずい。私が見ても、味方と敵の判別がつかない。

 

 今の状態で、敵だった場合、逃げ切れる自信が全くない。

 せめて味方であれ!!


 マリアはじりじりと距離を詰めてくる人影から、目を逸らさずに見据える。

 いざとなったら投げつけて隙を作るため、そこら辺にあった小石をぎゅっと握りしめる。

 

 その時、頭上から場違いなほど、朗らかな声が降ってきた。


「うーん? 誰かと思えば、こんなところに子供がいるではないか!」


 そこにいたのは、見上げなければいけないほどの、大男がいた。

 

 視線をちょっと下に落とせば、クラウスと同じ、黒い甲冑を纏っていた。


「お嬢さん、どこから来たんだい? 見たところ、貴族のお嬢さんだろう?」


 穏やかな物言いだが、奇妙な威圧感が空気を震わせた。

 男は親しげに目を細めているが、その奥にある本心は読めない。


「もし、『そうだ』と私が返答したならば、貴方は私をどうするつもりなのかしら?」

 

 私は握りしめた小石の感触を確かめながら、大男の目を真っ向から見据えて言い放った。

 

 途端、男の地響きのような笑い声が、周囲の木々を震わせた。


「ははっ!! 質問を質問で返すか。お嬢さんにしては、威勢がいいねぇ!」


「…………貴方は、グラツィア公爵家の騎士、そうですわよね?」


「ああ、勿論だとも」


 男は隠す風でもなく、当然のことのように深く頷いた。

 彼が嘘を言っていない様子に、マリアは肺の中の空気をすべて吐き出すように、深く深く息をついた。

 ひとまず、彼のことを信用してみよう。


「では、クラウスの事をご存知かしら?」


「うむ? クラウスか…………。どうしてお嬢さんがそんなことを?」


 男の目がわずかに細まり、先ほどとは違う、鋭い知性が顔を覗かせた。

 答えを一つ間違えれば、即座に切り裂かれる。

 

 ――本能が、そう告げている。


 さっきまでの穏やかな空気は霧散し、剥き出しの殺気が私の肌をチリチリと焼き焦がすような錯覚を覚えた。




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