ヘンテコな集団⑬
「ちなみに情報というのは、あれじゃよ!あれ!!騎士さんが知りたそうな情報をてんこ盛りで教えてあげるのじゃ!!そして、今ならなんと、このワシが直々に手伝ってあげよう!!!ワシ、とっても役に立つぞ。こう見えても、かなーり優秀なのじゃよ?」
笑顔をはりつけたまま、レイヴンの声はどんどんと高くなっていく。
彼が焦り始めているのは明らかだった。
彼はさらに早口で、まくしたてる勢いで話を続けた。
「いいのかなぁ〜?いいのかなぁ〜?こんなにも有能な人材でもある、このワシを殺しちゃても、本当にいいのかなぁ〜?」
どこかわざとらしく、それでいて挑発的にいうレイヴン。
その反応に対し、自身から出た言葉は思いのほか、冷静であった。
「…………分かりました」
「おっ!流石、騎士さんじゃ!!ワシの需要性をきちんと理解してくれたのか。嬉しi…『これで何の迷いもなく、殺せそうです』……………………あれ?」
俺の言葉に、レイヴンはピシリと動きを止めた。
「何故じゃ!?何故なのじゃ!?騎士さんにとっても、凄くいい取引のはずだろう!!それなのに、何故?何処が駄目だったのじゃ?」
「…………あんたの言う通り、レイヴンのような『有能な人材』は、確かに利用価値がある。ですが、それと同時に敵として生かしておくリスクの方が大きい。なので、生け捕りは諦めることにしました」
「なるほど。ワシの魅力度が高かったせいなのか……」
クラウスは、敵の呑気な言葉に反応しそうになった体を、ぐっと抑え込んだ。
ここで感情的になれば相手の思う壺だ。
俺はあえてゆっくりと、言葉を選びながら話した。
「……何より一番の理由は、あんたのふざけた態度も、そのぺらぺらと回る口も、もう二度と見なくて済むこと、それが俺にとっては最大のメリットです……つまり、あんたの命を絶つことで得られる俺の利益の方が大きい」
「うんうん。成程……………ん?」
そう言って、俺はにっこりと笑みを浮かべた。
迷いが完全に消え去った、清々しいほどの笑顔だった。
おそらく、ここ最近で一番いい笑顔を浮かべていたことだろう。
その笑顔を見たレイヴンは、先ほどまでのふざけた態度を一変させ、顔を引き攣らせた。
もはや、躊躇も、交渉の余地もなくなったのだ。
彼の笑顔は、この場ですべてを終わらせるという、静かな覚悟に満ちていた。
怒りや憎しみといった激情ではなく、為すべきことを為すという決意。
この男を殺す理由は、彼自身の言葉によって完全に揃ってしまったのだ。
静かな殺意を込めたクラウスの笑顔は、どんな怒号よりも雄弁に物語っていた。
「待て話せば――」
言葉を遮り、俺は剣に力を込めた。
その瞬間、側面から伸びてきたもう一つの剣が、俺の剣を受け止めた。
クラウスもレイヴンも驚きで目を見開く。
「見事な太刀筋だ。だが悪いな、クラウスよ。その剣はいったん収めてほしい」




