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ヘンテコな集団⑤


少し回復した両目をあちこちに移動させ、彼女はクラウスが持っていたはずの剣を探す。


すると、先程までいたであろう場所に、剣が岩の真ん中に突き刺さったままぽつんと放置されていた。

それを目撃した彼女は一瞬思考停止してしまったが、とりあえずその現場まで近づいて確認することを決めた。

その姿は何だか寂しそうに見えてしまったせいか、思わずマリアは早足で、その剣の側まで駆け寄った。


……わぁー、思っていたよりも大きい岩だわ?どんな戦い方をしていたらこんな所に刺さるのかしら?

少なくとも普段通りに戦っていれば岩に突き刺さるような威力で剣が刺さることはないだろう。

剣が降り飛ばされたから?それとも態と自分の手で岩に突き刺した、とかは…まさかないよね?


マリアは目の前の異様な光景に目が遠くなりそうになりながらも、頭の中では様々なバトル考察を巡らせていた。

流石、戦闘狂。………取り合えず落ち着け?



一先ず、彼女はクラウスの剣をどうやって救出するかを考えた。

一つ、物理。剣を腕力で抜くか、岩自体を破壊する。

二つ、誰か手助けを呼ぶ。

三つ、魔法。岩の破壊


……………もしかして、これ。かなり高難易度では?


一つ目はそもそも無理だ。例えこれが大人の私であったとしても無理難題に違いない。

そう思いながら、ちらりと突き刺さった剣を横目で見やる。

そうだね?大人の私……だんだん私、脳筋になっているかもしれない。

“それは元々だから問題ないよー”、と何処からか幻聴が聞こえた気がした。気の所為だろう。


二つ目は出来なくはないが、少々時間がかかってしまう。

運がよければ人が通りかかる可能性がゼロではないが、それが敵か味方なのかは私には判別がつかない。賭けの代償が余りにも…これはリスクが高い。


三つ目も可能性がゼロではない。全くないというわけではないが……魔法自体を私になってから試したことがないため不安点が多すぎる。

だがしかし、未知数な部分を含めると、少なくとも他の選択肢よりも可能性があることだろう。

ここまで整理すると3番目以外の選択肢は論外だ。


——はぁー、じゃあ、やるしかないのでは?魔法使ってパッパッと解決が一番なのでは?魔法はイマジネーション!!腹をくくれマリア・グラツィア(わたくし)!!!


少々、自棄になりながらも早速行動に移すために先程使っていたヒヒヒ爺さんやクラウスの魔法を思い浮かべる。

クラウスの魔法はあの特殊な牢屋の時に使用していた、あの長文詠唱だ。あれは流石に実現不可能だろう。それに岩を壊すための目的にも役には立ちそうにない。でもそれとは別に後であの呪文について詳しくじっくり聞いてみたいものだ。


さすれば、もう一つの…ヒヒヒ爺さんの方であればどうだろうか?

変な人ではあったが、魔法初心者からみても魔法の腕が立つように感じた。

容易ではないが、真似するならば、今回は彼の方であろう。


先程観察している最中、遠くにいたので魔法自体がはっきりと思い出せないが、多少なりともイメージのしやすさは変わるはずだ。

お手本があるか、ないか、だと大分違う。


それでも不安は残るため、もう一度、例の現場の情報を集めてみたほうがいいだろう。

新たな方法がワンチャン生まれるかもしれないし。


そうと決まれば、テキパキと彼女は行動を開始し、その小さな両手を岩に突き刺さった剣へと手を掛けた。

マリアは、少しひんやりとした剣を力の限り引っ張ったが、当然のようにびくともしない。

分かりきっていたことだが、少しばかり悲しくなる。


「こればかりは仕方がないと分かってはいるけど、改めて事実として確認するとさらに胸のあたりが虚しくなりそうだわ……ふぅ、頭を次に切り替えなきゃ。…他の方法を考えましょう」


魔法を使うのならば、剣を壊してはいけない…だから岩だけを壊す方法を考えなければならないわね。


急募、岩を壊す方法  マリア・グラツィア(五歳)


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