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説得


「……?…なんでしょうか?」


「侵入者の捜索に私も同行したい」


「……!?」


クラウスは両目をギョッとさせ、こちらを見てくる。

その目は”どうして”と問いかけていたがそれを彼が口にすることはなかった。


……これは、ワンチャンスあるかもしれない。

あのほんの僅かな時間。クラウスは確実に動揺していていたはずだ。

断言するにはクラウスと共にいた居た時間があまりにも短すぎる。

お調子者に見えるが、仲間を見捨てるような人ではない、はずだ。

これは私の願望だ。


まぁ、そこを理由にして上手いこと丸め込まないと、今回の説得は難しいか…。


せめて、さっきの動揺したままだと説得しやすかったのにな…。

一瞬でいつもの雰囲気に戻ってしまったのは流石というべきか…。



さぁ、クラウス。貴方は良い騎士なはずだ。素直に私に説得されてしまいなさい。



「だってクラウス、よく考えてみてよ。この距離から宿舎まで応援を呼んだとしても時間が圧倒的に足りないわ…このままではさっと侵入者には逃げられて…しかも確実に負傷者がでてしまうわ…だけど、貴方がいればそれらも防ぐことが可能なのではないのかしら?」


「……流石に、全部を防ぐことはできないですよ。精々、応援までの時間稼ぎしかできないと思います。お嬢、信じてくれるのは嬉しいですけど、俺に対して過大評価が過ぎるっす…それに、お嬢まで危険な目に合わせるのは…」


「…つまり私を守りながらでも時間稼ぎはできるのよね?どうあがいても私は完全にお荷物でしかならないけど…それでも…貴方ができると判断したなら…お願い…」


「………」


「………っ…」


私の拙い語彙力で説得されてちょうだい。

さもないと、公爵家のお嬢様とやらの秘技・膝蹴りを繰り出すわよ。


クラウスにはばれない様に自身の裾を掴んで一歩を足を後ろに引く。

結局、物理解決しようとしているマリア。

それよりも早くに、彼の閉ざされた口が開いた。


「……それ…どっちかっていうと俺のセリフっすよね」


「………」


「……お嬢がそんな顔しなくても大丈夫ですよ。公爵家のお嬢様にここまで言われて動かなければ黒騎士の名が廃るっす」


「じゃあ!!」


クラウスは出会ったときと同じように片膝をついて言葉を紡いだ。


「黒騎士クラウス・フォルマ―、騎士の名に懸けてマリア嬢を守ることを誓います。ですのでお嬢、どうか俺と一緒に…」


「勿論!時間は有限よ、早速いきましょう!!」


「え…お嬢!?最後まで言わせてほしい…ちょっ、そんなに引っ張らなくても…」


そんなことを言っている場合ではなくてよ!!

クラウスの了承がとれたと同時に彼の手を掴んで引っ張る。


マリアたちの先程までの雰囲気は一切なくなっていた。

二人が見据えている方向は未来のみ。


「…さぁ、出発!アルベルトもエリックも行ってしまったわよ。私たちはどちらの方角にいけばいいのかしら?」


「…そうですね…団長たちはバラバラの三人の方へ向かったようですし、俺らは五人の団体さんのところに…」


「あっ、あの二人の黒騎士さんたちは?大丈夫なの!?」


「お嬢、ちょいと失礼します。少し走りますよ。舌は噛まないようお口はチャックで」


「え………っ………」


駄々こねる気はないけど言っても宜しくて?

——まさか、また、コレをやるのかい?



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