表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熱血ヒーラー、世界を癒す旅に出る  作者: 今晩葉ミチル
アステロイドの動乱
46/62

三つの神域

 シルバーは安堵の溜め息を吐いた。

「さすがブレイブですわ。予めメリッサと打ち合わせをしていましたのね」

 床で寝ているダークを横目に、メリッサは首を横に振る。

「打ち合わせはありませんでした。蛍の光を出したのは一か八かです」

「え? ブレイブは考えがあるとおっしゃっていましたのに」

 シルバーが首を傾げると、ブレイブは両手を腰に当てて胸を張った。

「ダークをうまく説得できれば大丈夫だと思ったよ」

「どう説得するつもりでしたの?」

「頑張って説得するつもりだったよ」

「それは考えがあるとは言いませんわ」

 シルバーは額の冷や汗を拭った。


「結果的に穏便に収まりましたけど、危ない所でしたわ」


「みんな生き残って良かった」


 ブレイブが深々と頷く。

 シルバーは溜め息を吐いた。

「全員が生きているとは限りませんけど」

「安心してよ。みんなにヒーリングを掛けておいたから」

 ブレイブは微笑んで周囲を見渡す。

「元気になった人は店内を片付けよう」

 喫茶店内は悲惨な有り様だ。テーブルはひっくり返り、調度品が散在し、大量の血痕がある。誰も命を落としていないのが不思議なほど凄惨な光景であった。

 ルルワが立ち上がって、ダークを指さす。

「気持ちはありがたいけど、この危険人物をなんとかして欲しいよ」

「メリッサのアイテム・ボックスに入れるのはどうだろう?」

 ブレイブが問いかけると、メリッサは両腕を組んでうめいた。

「閉じ込めるのは難しいと思います。たぶん空間転移で脱出されます」

「アイテムボックスの中には数多くの武器も収容されています。持っていかれたら危険が増してしまいます」

 アリアが口を挟んだ。

 ブレイブは顎に片手を置いた。

「別の所に運ぶか?」

 ブレイブが提案すると、ルルワはカインに視線を送る。

 カインは苦笑する。

「別所に置いても、また襲ってくるだろう。縛り上げておきたい」

「それは可哀想だ。僕が見張るから、彼をこれ以上いじめないでくれ」

「いじめているつもりは無かったけどね……君の言いたい事は分かる。しばらく様子を見るよ」

 ブレイブの視線が鋭くなるのを感じ取り、カインは数歩後退した。

 ブレイブはダークのもとに歩み寄る。しゃがんで手を伸ばす。

 その手を、シルバーが掴んだ。

「いけませんわ。あなたが近づくのは」

「なんでだ? 寝ているから大丈夫だよ」

「闇の眷属には決して触れてはいけない三つの神域がありますの。神域に触れた人間は命を落としてもおかしくないのですわ」


 シルバーの眼差しは真剣だ。息を吞むブレイブに向けて、ゆっくりと口を開く。


「無言で佇むルドルフ皇帝、妙に上機嫌なローズベル様、薬を盛られたダーク・スカイ、次点に熟睡しているダーク・スカイですわ」

「次点なら問題ないよね」

「いいえ、お聞きなさい。熟睡しているダーク・スカイは、敵と認識している人間が近づくと恐るべき速さで切りつけますの。急所を突かれたら、ひとたまりもありませんわ」

「僕は切りつけられる恐れがあるのか」

 ブレイブの返答に、シルバーは頷いた。


「ご理解いただけたのなら良かったですわ」


「でも、彼を安全に運べる人間がこの場にいるのか?」


 ブレイブの指摘に、シルバーは口ごもった。

 ブレイブは微笑みかける。

「切りつけられたら急いで離れるよ」

「お、お待ちなさい危険すぎますわ……!」

 シルバーが止める間もなく、ブレイブはダークを肩に担いでいた。


「身長差のせいで足を引きづってしまうな。メリッサも手伝ってくれ」


「はい?」


 メリッサは両目をパチクリした。

「私で大丈夫でしょうか?」

「君じゃないと切りつけられる恐れが高いだろう。僕が肩を持つから、足を持ってくれ」

「は、はい」

 ブレイブとメリッサでダークを運ぶ。ルルワに仮眠室へ誘導されていった。アリアもついていった。

 シルバーは呆けていた。


「……あの男はブレイブに気を許していましたの?」


 信じられないと感じていた。

 カインは怪しく笑う。

「意外とそうかもね。何かに利用できないかな」

「もう下手な小細工はおやめなさい」

 シルバーに釘を刺されて、カインは肩を落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ