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NO1企業

作者: 玉利章悟

正直は携帯電話をいじっていた。途中道でバスに轢かれそうになった。彼は自分のことをマサと呼ぶ。マサはねーというふうに。いつも決まって友人たちもマサと呼んでいた。遊歩道を歩いていると前から警察のチャリが来た。正直は携帯を閉じるとポケットに入れた。警察は何もなかったかのように過ぎ去っていった。正直は宗教に入信していた。いつも朝にお祈りから初めてお祈りで終わるのだ。正直は目が悪かった。いつもコンタクトを付けていた。目が悪いと世界がぼやけて見える。それを逆に利用して妄想の世界に浸ったりした。そして小説を書くようになった。書くときはコンタクトも眼鏡も外して書く。書く内容はホラー

が多かった。目が悪いので世界がぼやけて見えて壁のシミがが幽霊に見えたりするからだ。正直は東京大学を目指していた。東大に入れば官僚にだってなんだってなれるようだからだ。世界と自分の分岐点それは小説だった。正直は小説を書くことによって世界と自分の距離感を測った。それによって正直は心が安心した。そして世界に旅立つ準備が出来た。荒れ地の小説を書いているとき正直は心がすさんでいた。最も大変なことは小説を書いているとき現実が侵入してくることだった。現実が侵入してくると正直はいてもたってもいられなくなった。ひどく動揺し困り果てた。そんな時唯一の救いのなったのが夢日記だった。夢日記を見返すと現実との接点が消えていき妄想の世界に戻れた。夢は突発的でたわいのないものばかりだった。正直は精神鑑定という小説を書いた。事件を犯した犯人がどういう心理状態だったかをみる話だ。すべての根源は宇宙の意志である。それが正直の持論だった。すべては宇宙の意志と関係がある。犯罪を犯したこの小説の犯人もきっとそれと関係がある。犯人は晴れて釈放となったがまだ警察は疑いの目をその犯人に向けていた。小説の中で犯人はよく鉄道に乗った。そして外を良く眺めた。犯人は本当に何もやっていなかった。正直はこのキャラクターをもっと面白くするためにアイデア

ひねり出した。いきなり会社社長になるという話だった。株式投資で成功した金で会社を興したのだった。その会社の名前はライトスタッフだ。1年で従業員100名を越える企業に成長した。正直は運命を感じた。会社の軌道と社会の趨勢がシンクロしていたのだ。紙一重のところで倒産をまぬかれたのも何かの運命なのではないかと思った。自分でも信じられないくらい仕事が出来た。忘れていったこともたくさんあった。自分の過去などだ。そして正直はライトスタッフを日本第二位の企業に押し上げた。問題はそのあとだった。

会社を維持するバランスポイントについて考えた。それをどこに置けばいいのかわからなかった。正直は神社仏閣に参詣してみた。すると不思議なことにアイデアがどんどん出てきた。これで問題なく会社を運営していける。川の側まで来た正直は神社仏閣の恩恵に感謝した。その川は長殿川と言った。長殿川はその本流を大巻川とした。大巻川との合流地点まで正直は行った。たくさんの感謝をした。神は存在する。そうはっきりと正直は認識した。ライトスタッフの従業員の長嶺さと子がいた。彼女は社長の正直に駆け寄るとプレゼントをした。チョコレートだ。正直は美味しそうにそれを食べた。さと子は正直に正直は正直ビックリした。年の差は一つだけだったが人生何が起こるかわからないものだ。2人は付き合うことになった。さと子は正直の家の近くに引っ越して来た。2人はよく往来した。何故か見つけたモデルガン。正直はさと子の部屋でモデルガンを見つけた。正直はそれを撃ってみた。壁に穴が開く勢いだった。正直はさと子の変な趣味に驚いた。だがモデルガンを撃ってるときは気分がよかった。さと子はモデルガンをしまうと夕食の準備をした。夕食はカニのスープご飯だった。正直は美味しくそれを頂いた。さと子は本当を言うと正直の家にずっといたかった。一人の夜が寂しいのだ。別にさびしがりやというわけではなかった。近くにいるのに会えないのがさびしかったのだ。そこでさと子は1週間のうち5日は正直の家にいることにした。正直は5日の間ずっと部屋の隅にいた。さと子は

我が物顔で正直の部屋を動き回った。いつものことだ。TVを付けるとニュースがやっていた。それはなんとライトスタッフの会社に強盗が入ったというニュースだった。二人はビックリして会社に向かった。ドアのガラスが割られて鍵を中から開けられていた。さと子は妙なものを会社で見つけた。カッターナイフだ。それが会社の床に落ちていたのだ。何に使うのだろうか?全く見当がつかなかった。ダンボールでも切るのだろうか?ところがそれが後になって重要なメッセージになるとは思いもしなかった。正直はカッターナイフの使用途を給料の封開けだと考えた。床にもう一つ変なものが落ちていた。イチゴちゃんと書かれた紙だ。それは何を意味しているのか全く分からなかった。ビルの中には他にも荒らされた形跡のあるオフィスがあった。隣の株式会社アウトランダーだ。そこから大量のお金が盗まれていた。イチゴちゃんの謎とカッターナイフが二人の捜索のヒントだった。警察は二人を一度外に出し自分たちで捜索するから待ってくださいと言った。二人はもどかしかったがしょうがなく外に出た。天然のウナギを水槽に入れていたのでそれも心配だった。ウナギは元気にしているだろうか。警察の捜査が終わり二人は中に入った。カッターナイフとイチゴちゃんの謎はまだわからなかった。ところが事態は急展開を見せた。何とカッターナイフはウナギを捌くように用に使われていたのだ。しかもうなぎは調理され食べられていた。少しの骨だけが残っていた。犯人はウナギを食べ現金を奪い逃走したのだ。正直は悪趣味な犯人だと思った。さと子は不思議な犯人だと思った。特にイチゴちゃんが気になった。イチゴちゃんはさと子にとって幸せを意味するのではないかと本人は思い始めていた。その後の展開はこうだ。さと子はイチゴちゃんという会社名で新しい会社を起こしたのだ。正直は正直ビックリした。その会社は順調に成長していき業界第3位の会社にまでなった。イチゴちゃんはイチゴちゃんグッズを販売する会社だった。イチゴちゃんはさと子がデザインした。ライトスタッフの社員も何人かイチゴちゃんに移動してきた。さと子は事件以来正直の家に居座った。2人は共に会社経営者となった。さと子の家はイチゴちゃんグッズの置き場所になった。2社はしばしば共同経営することがあった。それはイチゴちゃんが業務をライトスタッフに委託する形で行われた。2社の業績は業界の中でもトップクラスだった。正直は砂漠に出かけた。鳥取砂丘だ。彼は自分のやっていることが正しい事なのか疑問には持たなかったが何か腑に落ちない点があった。ライトスタッフの社員の給料が低すぎるのではないかという点だった。そこで正直は賃上げをはかった。社員は大喜びした。正直はライトスタッフを世界No1の企業にしたかった。そこで正直は改革に乗り出した。人事異動を繰り返した。そしてライトスタッフは完璧な会社へと変貌を遂げたのだ。正に適材適所。すべての歯車が上手く回った。しかしいっこうに世界No1の企業にはならなかった。良くてNo7だった。正直は正直限界を感じていた。そこから会社は平行線をたどった。



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