第十七話 ミッドウェー上陸戦2 撤退作戦
1942年6月5日午前4時頃 ミッドウェー島
塹壕に入り込んできた日本兵は近くで銃を構えていた兵士に銃剣を突き刺した。
「何をやっている!早く撃て!」
と先輩から怒声が飛ぶ。
生き残りたいとの一心で塹壕に近付いた敵兵にウィンチェスターM1907半自動小銃の銃口を向け、引き金を引く。
弾倉内に入っていた弾丸に日本兵は一瞬怯んだものの、余っていた8発の弾丸は1発も当たらなかった。
日本兵はすぐに銃剣を突き上げて走り始めた。
慌てて弾倉を交換しようとした時、日本兵が足を滑らせた。
どうやら先輩の撃った弾丸が足に当たった様だ。
「早く撃て!」
咄嗟に出て来た声と共に日本兵の体に何十発もの弾丸が突き刺さる。
周りを見渡すと、塹壕に入ってきた他の日本兵も米兵によって撃たれて倒れていた。
しかし、今の騒ぎのうちに遠くにいた日本兵も塹壕に近づいてきており、新しい日本兵も何人か塹壕に辿り着き、入ってくる者も現れ始める。
暫くすると自分の近くにも兵が入ってきた。
日本兵と判断し、銃口を向け…そして銃口を下げた。
「先輩⁉︎なんであっちから入ってきたんですか?」
入ってきたのは先程一緒に船に武器を取りに行った先輩であった。
「悪い。向こうに転がっていたハンディトーキーを取りに行ってた。」
先輩はハンディトーキー等と呼ばれているマニファクチィング社製のSCR-536無線機を自分に見せながら言った。
「成る程…他の部隊と通信するんですか?」
「ああ、さっき向こうにある資材の裏で使ってみたがイースタン島…滑走路しか無い方の島は北と西から攻められてるそうだ。司令部の残ってた人員がそこの部隊を南から撤退させてこっちのサンド島に向かわせる事を決めたとかで今イースタン島からこっちに来てるらしい。」
「じゃあ増援が来るんですね。」
「いや、日本兵はこっちのサンド島の北のビーチと北東の港から上陸しているらしい。こっちの空港はまだ取られて無いからそこに立て篭もる事になった様だ。イースタン島の部隊はそこに向かうから増援はこない。俺らも今から撤退するぞ。」
「成る程…でもどうやって…?この状況で撤退したら後ろから撃たれてみんな死んじゃいますよ?」
「ああ…どうしたものか…」
先輩と話し合っていると先任曹長の階級章を付けた兵士がやって来た。
「そういえば榴弾砲はどうなってるんだ?」
「一応聞いてみましたがまだ残ってるらしいです。」
「なら、榴弾砲に撃ってもらってるうちに撤退すれば良いのでは無いですか?」
自分では良い考えだと思ったが先輩に
「いや、榴弾砲じゃそこまでの効果は無いだろう…」
と否定される。だが、先任曹長の階級をつけた兵士が
「港の船に攻撃して貰ったら良いんじゃないか?」
「なんでそんな所に…」
質問すると先任曹長は
「確かあの船にはまだ弾薬等が残ってた筈だ。あれに誘爆させて日本兵の気を引いてるうちに撤退すれば良いんじゃないか?」
先輩は納得したかの様に頷いて通信機で他の部隊と何やら話している。
十数秒経つと先輩は同じ塹壕の兵士達が聞こえる様に大声で作戦を叫んだ。
他の兵士と同じ様に再度塹壕に向けてやってくる日本兵にウィンチェスターM1907半自動小銃を撃ってると暫くすると港にあった2隻の船が爆発する。
「今だ!走れ!」
先輩の声と共に塹壕から飛び出し空港のある西南の方向に向けて走り出す。
日本兵も一瞬立ち止まったものの俺たちに向けて銃を撃ってくる。
30分以上の時間をかけて艦砲射撃の着弾痕から着弾痕へ移動し、偶に日本兵のいる方向に向けてウィンチェスターM1907半自動小銃を撃っていると空港の入り口から30m程度の距離にまで近づく事が出来た。
覚悟を決め入口まで走り出す。
そして空港のロビーに入る事が出来た。1km弱の距離を移動しただけでここまでの爽快感を覚えたのは初めてだろう。
安全な場所に着くと落ち着いて周りを確認する事が出来た。
(日本兵の銃…ここまで届いてないな…)
そういえばこの作品、視点の移り変わりが多い気がするんですけど視点統一した方が良いんですかね…?




