しのたまわく
学生が教師に聞いた
「先生、間違った信仰というものはあるのでしょうか?」
「いや、無いと私は考えている、君がいかに間違っていると考えていてもある人が正しいと思えば、その信仰心を間違っているということはできないからだ」
「では神はいるのでしょうか?」
「君はどう思うのだね?」
「わかりません」
「私にはいるよ、その神はどこでもない私の頭の中にだけ在る、今は君に対して誠実であるように、嘘をつかぬようにと願うのだ、それ故に私は私に恥じぬように毎日生きたいと考えている、時に間違うことだってある、中々に難しい」
「・・・先生、ありがとうございました」
その生徒の深々とお辞儀をして踵を返し歩いていく様が少し軽やかに見えた。
作者注意・・・この文章における神は特定の宗教を示してはいません。
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