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88/100

88波_数VS質

 10分に1回の召喚。僕は順調に100万体ずつ召喚を重ねて行ったけど、1体ずつしか召喚出来ない角井さんはというと、次の召喚からは、御前試合でも見た、取り巻き召喚が出来る召喚獣を出して来た。

 まぁ、そうだよね。ハイオーガがいくら単体で強くても、数の暴力って言葉があるぐらいだもんね。結局、囲んで叩けば勝てたから。とはいえ、角井さん自身が小手調べだって言ってたから、弱い方だったんだろうけど。

 とはいえ、僕はちゃんと同じ数のパペットを追加した。そして自分より格下の召喚獣を召喚できると言ったって、それも魔力を使う。つまり、乱発は出来ない。それに、一度に召喚できるのだって十数体だ。せめてパペットの数の、百分の1ぐらいはいないと。


「というか、パペットだって100対1ならそこそこ戦えるからなぁ……それこそ、取り巻き召喚をする大元がそれぐらいはいないと……」


 時間がかかるとそうなる可能性があるから、僕も絶対に10分で1体、格上で戦闘に慣れた召喚獣を倒さなきゃいけないんだけど。まぁでも、取り巻きとして出てきた相手は持ち上げて運んで、ちょっと離れたところで囲んで叩けばいいんだけど。

 角井さんは指示を出して密集陣形を取らせようとしてたみたいだけど、させないよ。だってそれをやられたら困るからね。上からジャンプして降ってくるのを含めて、全方向から攻めて、攻めて、反撃された所から引き離して各個撃破する。

 この服と杖を作ってもらってから、短い間だったけど、1人でダンジョン攻略はしてた。それに僕は、籠家さんが基本の「職業」以外のパペットを召喚できるって事を、御前試合の時に初めて知った。つまり、僕にお手本を見せる時、籠家さんは普通のパペットと、基本の「職業」のパペットだけで攻略していた。


「……神様が審判をしているし、召喚する数を増やす事は出来ない。筈。召喚しなきゃいけないとは言ってないから、休む事は出来るけど」


 だから、見ていた。レベルが高いダンジョンを、パペットで攻略していく様子を。ちゃんと見ていたから、覚えてる。大きくて強くて硬くて回復する相手に、どうやってパペットで勝つのか。

 ゲームみたいだけど、ゲームじゃない。防御力がいくら高くて、攻撃力がいくら低くても、ダメージが絶対に通らないって事にはならない。弱いところはある。攻撃が通るところはある。そこを狙って、時にはこじ開けて、攻撃を通す。簡単だけど難しい、「たったそれだけの事」。


「各個撃破は、数の力を生かす基本。だから、相手が数を揃える前に、各個撃破出来る内に、倒しておかないと……油断は、良くないから」


 忘れちゃダメだ。勘違いしちゃダメだ。パペットはどうしたって弱い。角井さんの召喚獣は、どう頑張ったって強い。数の力で身動きを封じて、一方的に攻撃できる状態に持って行っても、倒すまでにはそれなりに時間がかかってる。

 召喚獣が召喚した召喚獣。これを引き剥がして倒すのに、やっぱりちょっと時間がかかってるんだよね。実際、本体を倒し切るのは10分じゃちょっと間に合ってない。完全に囲んで、合流させないようにしてるから、各個撃破出来てるけど。

 召喚獣の数に応じて内部の空間が広がるようになってて、助かったのはたぶん僕だろうな。普通の決闘フィールドだと、そもそも最初の数をもっと押さえなきゃいけなかっただろうし。何とか各個撃破出来てると言っても、1体倒している間にパペットが何体倒されてるかはもう分かんないし。


「連携されると、近寄る事も出来なくなるだろうし。近寄れなくなったら、攻撃が通らなくなるし。うん。やっぱりこのまま、角井さんが召喚する端から順番に、1体漏らさず削り切るしか、僕の勝ち目はない、よね」


 流石に半分になってるって事は無いだろうけど、それでも角井さんの召喚獣を1体倒す間に、1万体ぐらいは倒されてるんじゃないかな。

 ……100万体はやり過ぎたかなぁ。でも、数を指定する言い方だと、桁を一つ下げると嚙みそうになっちゃうんだよね。はんどれっとさうざんど、になるから。みりおん、の方が簡単。

 おっと、油断は良くない、良くない。パペットの数も増えてきて、維持する魔力もたくさんになってきてるから、もしかしたら次……の次の次ぐらいには、僕の魔力の方が厳しくなるかもしれない。だからせめて、今出てきてる、召喚能力がある召喚獣は、しっかり倒しておかないと。


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