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79波_応急対処と最適対処

 まぁその。

 ……非常事態って、色々省略したり、例外にしたりっていう事が、あるよね。

 という感じで、僕と籠家さんの年齢の話は、それ以降誰もしなくなった。うん。僕も今改めて考えてみて、今の僕より年下……? って思ったから。これ以上は何も言わないでおこうと思う。

 で。僕らで出来る範囲で移動したし、避難誘導やダンジョンの探索もしたけど、それでも、育扉市は人の足で回るには、ちょっと広すぎる。そしてこういう時に動く事がお仕事なのは、育扉市のあちこちにある、探索者ギルドだ。


「ギルドから連絡来た! 一旦一番近くの支部に顔出してくれって!」

「ようやくか」

「これで集団行動できるな」


 育扉市にも普通に電波は来ているし、電話も繋がる。だからどこに居ても連絡は取れるんだけど、それでも一緒に要救助者を探したりしている人達がほっとしたのは、探索者ギルドは全部のダンジョンの情報を把握してるからだ。

 オーバーフロウで外に出てきたモンスターは、元のダンジョンを攻略したら消える。今までは、どこに問題のダンジョンがあるか分からなかったから、とりあえず避難誘導をしていたんだけど、ダンジョンさえ分かれば、そっちを攻略する方が早い。

 それでも、それなりに時間がかかったのは、探索者ギルドだって、そんな突然言われても困る、って事だろう。そもそも、避難所になってるところもあるし。それが一区切りついたか、どこかが落ち着いて確認が終わったかで、ようやくオーバーフロウを起こす条件を満たしたダンジョンが分かったんだと思う。


「あ、それじゃ僕、別行動しますね」

「え?」

「あー、まぁそれはそうか」

「せやな。鈴木君元気やもんな」

「まぁレベル5を1人で攻略出来るのは見たけど」


 で。実際近くの探索者ギルドの支部に行ってみたら、ちょっと数が足りないけど……たぶん、クリアストーンを3個って条件の分だと思う……オーバーフロウを起こす条件、レベル5以上のダンジョンが6か月以上放置される、っていうのに当たるダンジョンの場所を教えてもらえた。

 だからそこに行って、そのダンジョンを攻略する事をお願いされたんだけど。そのほとんどというか、少なくとも、今いる探索者ギルド支部の近くにあるのは、全部レベル5だった。

 何でレベル5のダンジョンがこんなに放置……観測されて、けど攻略されずにそのままだったかっていうのは、レベル5になると、難易度がぐっと上がるから、いけるかな、と思って挑戦して、無理だった、って人が多いから、らしい。


「道中送るぐらいはするぞ?」

「ギルドの人が、送ってくれるみたいなので、大丈夫です」

「そっかー」

「まぁ手分けは大事か。気ぃつけてな」


 ただまぁ。レベル5なら、僕は1人の方が良い。だって、わたげを召喚できるし、わたげなら、まぁ、レベル5なら、なんというか……普通にさくっとクリア出来るから。

 もちろん、パペットだけで攻略する練習もしてるし。ダンジョンの中の構造次第だと、パペットの方が攻略しやすいって事もあるんだけど。それでも、無理そうならわたげを召喚できる、っていうのは、安心だし。

 それに。オーバーフロウを起こしているダンジョンは、モンスターが外に出てる。つまり、中にいるモンスターの数が、ぐっと少なくなってる。つまり、難易度が下がってるって事。まぁ、その広さとか、分かれ道とか、迷路とか、罠とか。時間がかかるのは、そうなんだけど。


「探索だけなら、パペットは得意ですから」

「それはもうめっちゃ納得した」

「あの「緋薔薇の魔女」もパペットあれだけ使えてたしな」

「合間に鍛えてもいいかもしれないぐらいは思ってる」


 パペットなら。数を召喚して、いくつもの道を、一度に探索できるなら。モンスターの数が少ないなら、いつもよりずっと早く攻略できる。

 その分、ダンジョンに辿り着くまでが大変にはなってるんだけど……探索者ギルドの人には、探索者からギルド職員に転向した人が、結構いるみたいで。その人に送ってもらえるって事だったから、大丈夫だと思う。

 ……強い人には、ギルド職員になりませんか、ってお誘いが来るらしいって話は、籠家さんから聞いてたし。そういう強い人は、本当にどうしようもない時に備えなきゃいけないって事で、あんまり動けないらしい、っていう話も聞いてる。

 だからきっと、送ってもらえるだけでも、探索者ギルドとしては頑張って動いてる、って、事になるんだと思うんだ。


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