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72波_最初からいた3体目

 強い光は、強かったけど、一瞬だった。それに、僕らが今見ているのはカメラ越しの映像。それも育扉市の外からでも見れる動画。そんな映像で放送事故を起こす訳にもいかない、って事なのか、確かに眩しいけど、何も見えなくなる程じゃなかった。

 もちろん画面は真っ白になったけど、光は一瞬だったからすぐ消えたし。光が消えれば、また元通りだ。とはいえ、地面というか床のバキバキはそのままだったし、観客席は、それでもだいぶ避難は済んだのかな。ガラガラになってる。

 で。さっきの……そう言えば、まだ名前を知らないな。たぶん色々な対策で、名前は外では呼ばないようにしてるんだろうけど……ユニーク進化したパペットが言ってた事からして、籠家さんの推測。憑依能力に特化したゴースト系召喚獣が憑依して、無理矢理いう事を聞かせてた、っていうのは、正しかったみたいだけ、ど……。


「あ」


 まず目に入ったのは、光った時と同じ位置にいる大きな赤いドラゴン、ローズ……あれ、本来は籠家さんの召喚獣って事は、師匠の召喚獣になるんだから、同じ(?)宝石竜だしわたげの先輩? さん付けした方がいいかな。いい気がする。うん。ローズさんがうずくまっている。息は荒いままだけど、無理に戦おうとはしてないみたいだ。

 で、その正面にユニーク進化したパペットが……いない。どこだろう、と探したら、ローズさんの後ろに回り込んでるみたいだった。いつの間に。あの光ってる間かな。1秒も無かったと思うんだけど。

 ただその、たぶんさっきの強い光で隠蔽を解いたとか、本来の力を開放したとか、そういう感じになるんだろう。白い光を固めたみたいな見た目になってる剣で、バキバキにひび割れてちょっとした壁みたいになってるところに、何かを縫い付けていた。


「あらー。あらあらー。なんて事かしら。ただのシャドウだわ。ゴースト種の中でも特に弱いと評判の。憑依能力は強かった筈だけど、その憑依能力は封印された筈だから、あんまりにも弱すぎるって事でもう召喚出来ないって聞いたわね。逆に希少よ?」

「でもどうやら見た感じレベルだけは高そうですね! あれは色の濃さからそのままレベルの推測が出来ますから! 進化もせずにレベルだけ上がるっていうのはそれこそレベル上限の低いパペットですら起こらない超レアケースなんですけどね! 不思議ですねー!」


 うん。その。……白々しいって、こういう事なんだなって。

 ともかく。ユニーク進化したパペットが、光の剣、みたいな装備で縫い付けて動きを封じ込めているのは、真っ黒いスライムみたいな何かだった。ただスライムと違って、ジタバタしてる感じの端っこが透けてるし、気のせいかこう、熱々のフライパンで目玉焼きを焼くときみたいな音がしてるような……。

 もちろん光の剣(?)から逃げようとしてるんだろうけど、顔の見えない冒険者、って感じの格好をした、ユニーク進化したパペットががっちり光の剣(?)を押さえているから、逃げられないみたいだ。


『はっはー逃がす訳がねーだろこの卑怯者。お前はこのまま神様に怒られるまで日の光と剣の光で炙られてろ』

『ゴーストは召喚獣だ。その方法を良しとする教育を施したのはこいつだから、ある意味そいつも被害者だぞ』

『わー召喚主やさしーい。でもこいつわざとローズさんの体を傷つける戦い方をしてそれを楽しんでたから俺的にはアウト』

『そうだったのか。じゃあ遠慮はいらんな』


 ……なんだか、こう、とても酷い会話が聞こえた気がする。話してる人が、じゃなくて、話になってる相手が、って意味で……。


「ちなみに鈴木君に解説しておきますと! 実は召喚獣はスキルを使ってもレベルが上がるのですが、進化の為には戦闘してレベルを上げる必要があるのです!」

「そうなんですか?」

「そうなんです! まあもっとも? スキルを使って上がるレベルというか経験値なんて微々たるものなので、普通は圧倒的に戦闘で手に入る経験値の方が多く! そんなこと気にしなくてもまず間違いなく戦闘でレベルアップするんですけどね!」

「そうね。当たり前すぎて探索者ギルドでも注意どころか説明する事も無いぐらいのレアケースよ。というか、私もそこそこ長く装備を作る事で召喚獣と接して来ているけど、お店に来てくれた人の召喚獣では一度も見た事ないわね」


 あ、はい。

 それでさっきの白々しい、えっと、わざとらしい、その……すっごく、説明っぽいなぁ、って、棒読みの驚きセリフになるんだ。


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