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71波_総合決勝戦(決着)

「でも、ある意味すっきりしました。つまりあの自称光の勇者が召喚できるのは、籠家さんのドラゴンだけって事ですね!」

「そういう事よ。そして元々の召喚主が、神様の見ている前で調査を要請して、引っ込めさせないように戦いつつ憑依しているだろうゴーストを追い出しにかかっているという訳なのだけど……あぁ、そろそろね」


 なるほど! と、言葉通りすっきりした顔で納得した木透さん。その木透さんに頷きながら画面に視線を戻した門崎さんに言われて、僕も画面、外向けに配信されている映像を出している方へ顔を戻した。

 そしたら……あぁ、うん。バッキバキに罅割れだらけになっているのはまぁあの大きい攻撃、籠家さん曰く「サンフレア」のせいで、そこは変わってないんだけど。あっちこっち、焦げたり炭になったりしたみたいで、黒い面積が増えてる。

 赤いドラゴン、本来は籠家さんの召喚獣の筈の、ローズって名前のドラゴンは……相変わらず傷だらけ、血塗れ。口を開けて息をしているから、かなりしんどそうだ。それでも動き回ったのか、クレーターからかなり離れた場所にいる。


『ねぇ召喚主、まだ!? やっぱ俺だけでローズさんの相手は荷が重いって! これまだ続ける!?』

『やかましい続けろ文句なら事実確認が遅い神に言え』

『言える訳ないじゃん!!??』


 左手に盾を、右手に抜いた剣を持った、不自然に顔が見えない冒険者みたいな誰か……門崎さんが言うには、ユニーク進化したパペットが、それでも、1対1でドラゴンと戦闘を続けてるみたいだ。

 籠家さんは、って探したら、光武さんの近くにいた。ただ、その……ただでさえ光武さんはボロボロだったのに、身に着けてた靴とか、鞄とか、そういうのが全部外されて、布みたいなものの上で、手足をしっかり縛られていた。

 布もロープも、あちこちに火が残ってて、暑いだろうに、燃える様子は無い。たぶん、燃えない加工がされてるんだと思う。……にしても光武さんは、何であんな、下着みたいな恰好にさせられたんだろう。


「酷い事になってますね。レンタル契約の契約書を隠し持たれていたら厄介どころではないので妥当なんですけど」

「本当にね。むしろ焼けた地面にそのまま転がさないだけ鈴ちゃんは優しいわ」


 ……そういう事だったらしい。まぁ、確かに……神様が確認してくれてるみたいだけど、そういう証拠はあって困る物じゃないし。燃やしたりして無くなったら、契約も無くなるだろうから、それはやらないと思うけど。

 ただそれだと、門崎さんは、何の事を「そろそろ」って言ったんだろう。と思いながら見てたんだけど……。


『――なんって、な。ローズさんが、こんな無様な戦い方を、する訳ないだろうが!?』


 普通の、鉄か何かで出来た剣だと思ってた。でもよく考えたら、籠家さんのパペットがユニーク進化したんだから、その手にあるのは刻印武器の筈だ。

 もちろんもっと別の、性能の良い武器が手に入って、ユニーク進化した召喚獣だから特別に持たせられてる、って可能性も、無くはないんだろうけど。

 どちらにせよ、普通の武器じゃないのは分かり切った事。さっきまでの、お調子者、って感じは盾と一緒に放り投げて、両手で構えて振りかぶられた剣が……強く、一瞬見ている僕らの視界が真っ白になるぐらいに、光った。


『ようやく見つけたぞ! いい加減にしやがれ幽霊野郎!!』


 怒りの声。けど、それ以上に。絶対に逃がさない、って気迫で叫ばれた瞬間、具体的には表現できない、けど悲鳴だって分かる声が響いた。気がした。何というか、すごい爆発音みたいなもので、ほとんどかき消されてたけど。

 ……。幽霊野郎、って事は、籠家さんの推測……憑依能力を鍛えたゴースト系召喚獣を憑依させて、操ってる、っていうのは。正解だった、のかな……?


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