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68波_一般通称混乱期の話

 ダンジョン、っていうのが初めて出来た、もしくは、現れたのは、大体3年前だ。その時僕はまだ小学生だったし、その瞬間っていうのは夜中だったから、実際に神様が来た瞬間っていうのは見てない。動画とか写真とか、その瞬間を映した筈の記録は、そこだけ真っ白になって、何も見えないらしい。

 その時の僕は小学生で、しかも夜遅くだったから、眠っていて何が起こったかは分からない。分からないけど、自分のベッドで寝て、昨日までと同じように起きたと思ったら、全然知らない家の、知らない部屋で寝てた。あの時は本当にびっくりした。

 他にも同じような子がいて、しばらくして親が迎えに来てくれた子もいたんだけど……僕に関しては、まぁ、今ここにいるのが答えみたいなものだし……。

 ま、まぁ、ご飯が少ないとかそういう思いはしなかったし、似たような子は結構多かったし、そこで残ってたから籠家さん達にも出会えたって事でもあるから、それについてはもういいんだけど。


「ダンジョンを実装して下さい。と神様に願い、その願いは叶えられた。これは有名な話だけど、その後については混乱が酷いからか、色々話がごちゃついているのよ」

「攻略者ギルドでも、組織立ち上げまでの間の資料は少ないですね」


 神様が何かしたんだろうけど、その理由についてはまだ分かってない。他にやる事がいっぱいあったから。神様に何かを聞いて答えてもらうには、特別な方法か機会が必要。それこそ今回の、御前試合での優勝、とか。

 でも、育扉市の中に、僕は最初からいた。子供だったから、自分から話を聞いたりする事は出来なかったけど、それでもそれなりに色々な話は聞こえてくる。そして、子供だからこそ聞かされる話もある。

 それは例えば、元々いた場所で先生が言っていたような注意。変な人を見かけたら逃げる事。大きな声で助けを求める事。ただその変な人の中に、ダンジョン攻略に子供を利用しようとする人とか、ダンジョンで手に入ったものの実験に子供を利用しようとする人とかが入ってたけど。


「でも有名なのは、オーバーフロウでしょうね。神様が追加したルールで、長時間放っておかれたダンジョンは、外と繋がってモンスターが溢れ出てくる。しかも当時は、頻度は低いとはいえ、育扉市の外にもダンジョンは出現していたわ」

「……酷い被害が出た事件でしたね。神様が引き起こした事なら、災害と呼ぶべきなのかもしれませんけど。もちろん、育扉市の中の被害が少なかった、なんて事は無いんですが」


 ……それもあった。だから一時、少しでもダンジョンの発生頻度が低い育扉市の外へ、避難してた事もあった。そして、その時に、主に育扉市の中で出てきたモンスターの群れを退治(?)して回っていたのが「緋薔薇の魔女」さんだ。

 他にも何人かそういう人はいたみたいだけど、戦い方が派手だからか、単に一番目立っていたからか、それとも綺麗だからか、話に上るのは大体「緋薔薇の魔女」さんだった。

 だから知ってる。良く知ってる。……あ、だから大体同じ時期か、それよりちょっと後に話になった、光の勇者、じゃない。光武さんの事を覚えてないのかな? 結局育扉市に戻る事になったけど、避難生活はそこそこ長かったし。


「そのオーバーフロウが無くなったのは、最初に配られた召喚石でドラゴンを召喚した人が、ひたすらダンジョンを攻略して、モンスターを倒して、それで神様に願ったからなのよ」

「それ、本当だったんですか!? てっきり噂話かと……」

「本当よ。ついでに言えば、扉を観測しないと突入出来ないようにしたのも、パペットに看板を持たせるとモンスターがノンアクティブ化するのも同じ理由よ」

「そうなんですか!?」


 木透さんが驚いてるけど、僕もびっくりだ。そんなすごい人がいたんだ。知らなかった。

 ……。

 あれ? でも、それだと。


「……それは、でも……光武さんでは、ない、ですよね……?」


 籠家さんは、ドラゴンを……今も戦闘を続けている赤いドラゴン、スピネルドラゴンのローズを「とられた」と言っていた。

 あと、やっぱり僕がわたげを召喚した体感的に、ドラゴンは1人1体が限界だと思う。でも光武さんは、5体ドラゴンを召喚して見せた。

 そして、色々剥がれた光武さんを見る限り……悪いんだけど、そんなすごい事をするような人とは、思えない。


「その通りよ。あいつは、顔がいいのと愛想が良いから、ドラゴンを召喚した人達にくっついていただけの雑魚」


 ……僕、そこまでは言ってないよ?


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