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59波_総合決勝戦(進行)

 召喚している間は、攻撃してはいけない。それに自爆戦法を警戒してか、籠家さんは相手の召喚獣から徹底的に距離を取らせていた。近づかれたり、根っこが地中から襲い掛かってきたりしても、しっかり逃げて袋叩きにしたり、ノックバックっていうんだっけ。そういう攻撃で遠くへ吹き飛ばしたりしてた。

 ……それで正解というか、そうなった先で、大きな爆発が起こったりしてたから、観客席からも悲鳴が上がってるみたいだった。しっかり結界が、分厚い透明な壁が設置されてたから、大丈夫だったみたいだけど。

 手段を択ばないなぁ……って感じだったんだけど、まぁ、でも、勝てないよね。だってそんな手段を取ってくるって、もう籠家さんも、パペットも、知ってるんだから。


「いかに鈴ちゃんを舐めていたかが良く分かる結果になったわね」

「というかあの、自爆を食らったパペット達って通常の「職業」を持ったパペットでしたよね? もしかして同一個体のままなんですか?」

「そうみたいよ? 衣装を変えるような物じゃないかしら」

「わーそれはもうどうやって勝てばいいのか分からない奴じゃないですか! いいですよ籠家さん! もっとやっちゃってください!」


 木透さんが元気だなぁ。(目逸らし)

 そんな感じだったから、逆転どころか勝ち目すら見えないまま、籠家さんのパペットを1体も倒せないまま、審判によって秋妖さんと反町さんは敗退が宣言されていた。つまり、召喚獣を全部召喚して、全部倒されたって事だ。

 御前試合は、そうは言っても試合だし、神様の前で、神様が審判をする。だから、召喚獣が1体残らず倒されたところで、その後への影響はない。……自爆した召喚獣は除く、けど。

 でも、これで籠家さんと、光武さんの一騎打ちの状態になった。流石にこの状態でこのまま降参っていうのはしない、と思う。したら籠家さんとしては楽かも知れないけど、消化不良感がすごいし……。


「ここで退いたら、少なくとも現状トップパーティは名乗れなくなるわね」

「名乗れなくなってしまえばいいんですよ! もっとも私としては、籠家さんに盛大に負けた上で名乗れなくなってくれた方がすっきりしますけど!」

「良い感じにタガが外れているけれど、外に出る時は気を付けなさい?」

「今の私は酔っぱらってる状態に近いとは自覚してます!」

「自覚しているならいいわ」


 いいのかなぁ……?

 まぁともかく、門崎さんが言った通りだ。少なくとも光武さん側に、降参って手は無い。何しろパーティリーダーだし、シード権で総合決勝戦に出てるんだから。ここで降参したら、少なくともシード権は無くなると思う。

 ドラゴン5体。それは、わたげっていう宝石竜、まだまだ成長途中だけど、十分に最強と言われる理由を知っている僕からすれば、それこそお伽噺のような話なんだけど。少なくとも、ここに集まってる人達は、ドラゴンを見に来てる部分があるだろうし。

 だって、毎年、と言っても3年ぐらいだけど、御前試合の総合決勝戦は「出来レース」、というか、お決まりの決着がついてた筈で。それは、光武さんと光武さんのパーティメンバーが戦って、光武さんが勝つ(・・・・・・・)という形だった筈なんだから。


『思ったよりもやるんだね。パペットなのに』


 だから少なくとも、最初に籠家さんに吹き飛ばされた召喚獣ぐらいは、あっさり倒してしまえるだけの召喚獣がいる筈……と思っていたら、光武さんの声が聞こえた。

 余裕のある声。何も焦る事なんて無いって声。目の前で起きた事は、当たり前、ではないけど、自分にはかかわりも影響もない事だって声だ。


『とはいえ、流石にパペットじゃなぁ。華も迫力も足りないから……ごめんね?』

「頭湧いてんのかしら」

「精神科に突っ込むべきでしょうかね?」


 ……その、あまりにも上から目線というか、籠家さんの勝利を疑っていない門崎さんと木透さんからは、それを聞いた瞬間に結構酷い言葉が出てたけど。それはまぁ、そっとしておくとして。


『でもせめて、何でパペットがダメかって言うのは教えてあげるよ。だってパペットは、体力が無いんだ。確かに数がいて連携が出来るかも知れないけど、それでも範囲攻撃が当たったら全滅するだろう? それに難易度の高いダンジョンにはダメージ床って言うのがあって』

『御託は良いからさっさと召喚しろ。このヘタレ』


 ……あー、うん……。

 そうだね。籠家さんも、正直僕だと見た事が無いぐらいに怒ってるんだった。


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