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42波_特別な席と本戦開始

 本戦観覧チケット、っていうのは、文字通り、本戦を見る為の、会場の中に入って席に座る為のチケットだ。一般席はすごい倍率だったらしいけど、本戦出場者は1人につき3人まで、このチケットを贈る事が出来るらしい。

 で。籠家さんがチケットを贈ったのは、僕、木透さん、門崎さんだった。ただこのチケット、お金を上乗せする事で、貴賓席っていう特別な席にいけるチケットに変えられるんだって。

 野球ドームの、一般席とボックス席みたいなものみたい。野球ドームと違って、色々便利みたいだけど。……うん。人にもみくちゃにされるのも嫌だけど、いつでもトイレに行けるっていうのは、断り切れなかったよ……。


「ところで、お弟子君が良かったらその木透さんって人も貴賓席に呼べるわよ? どうする?」

「へっ!? いえ、あの、だって、高いんじゃ……!?」

「大丈夫よー。お金を出すのは私と鈴ちゃんだし、2人分合わせても鈴木君のその服一式の方が高いから」


 ……思わず息が止まっちゃったけど、うん、まぁ、そうだね……やっぱり高いよね、この服、というか、装備……。

 と、ともかくそういう事で、年末までをお休みにした木透さんと合流して、貴賓席に行くことになった。


「絶対大物になると思ってましたが思った以上に出世の勢いがすごくてお姉さんはびっくりしています! 新しい装備似合ってますよ鈴木君!」

「わ、わぁ、えっと、ありがとうございます……」

「あら、あなたが「木透さん」かしら? 初めまして。門崎シエルよ」

「ひえっ!? 「シエルズメイド」の社長様ですか!? えっまさか鈴木君もしかして今回招待された貴賓席ってもしかしなくても社長様のあれですか!?」

「……ど、同席というか、同室です……」

「ひえっっ!!」


 ……いつも通りな感じだった木透さんが、門崎さんを前にした途端にそんな感じになっちゃったから、やっぱりすごい人なんだなぁ。そしてそんな門崎さんと、何か、こう、普通の友達みたいに接してた籠家さんって一体。

 思った以上に木透さんがカチコチになっちゃったけど、とりあえず貴賓席に行ってみて……うん? 間違ってどこか、とっても高級なホテルとかにでも来ちゃったのかな?


「ここで合ってるわよ。ほら、そっちの壁を見てなさい」

「わ、あ……!?」

「えっ!? この壁一面が全部高画質モニターなんですか!?」

「大迫力でしょう?」


 門崎さんは慣れた感じで笑ってるけど、僕と木透さんは驚きっぱなしだよ……。やっぱり、一般席の方が良かったかなぁ……。でもトイレはなぁ……。

 ちなみに門崎さんによれば、本戦出場者は待機部屋があるものの、自分が贈った観覧チケットを貴賓室(ボックス室)にして見に来た人がいたら、その部屋を待機部屋にする事も出来るらしい。

 ……だけど、結局ここでも籠家さんは来なかった。流石に、もう本戦が始まるって時まで忙しい、って事は、無い筈……だよね?


「……。はめられたか、鈴ちゃんが面倒くさがったか、どっちかしら」

「えっ」

「たぶん嵌められた方なんじゃないかなーという心当たりがあったりします。ここに来るついでに色々聞いて来ましたけど、待機部屋の1つが鍵が壊れたままになってて、外からしか開けられないらしいんです」

「素晴らしい情報収集能力だわ。うちで雇いたいぐらい。……という事は、差し入れも無理どころか、この部屋から出ない方がいいわね。まぁ出なくても問題ない部屋ではあるのだけど」

「えっ」


 あれ? なんだか急に、話がとても物騒な方に進んだような?

 鍵が壊れた待機部屋。はめられた。来ない籠家さん。

 ……えっ!? つまり、籠家さんがその、中から開けられない……自分で外に出られない待機部屋に閉じ込められてるって事!?


「えっ、それは、えっと、流石に、助けに行った方が……」

「それは大丈夫ね。私達は、私達のみの安全を確保する事で鈴ちゃんを応援する方がいいわよ」

「そうですね! それにいくらなんでも本戦出場者が出てこないとなったら問題になりますし……たぶん、本戦で戦うだけなら出来ると思います。なんかこう、色々逆恨みの気配がしましたから!」

「さかうらみ」


 ……。

 …………。

 もしかして、籠家さんに負けた人達が「パペットなんかに!」って、妨害してるって事、かな……?


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