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38波_必要経費と金銭感覚

 その後普段着を何セットか貰って、口座からの引き落としって形でお金を払う事になった。……なんか、夢の中でも聞いた事のない金額だったけど、今の僕は普通に支払えるらしい。そうなの……?


「それはそうよね。鈴ちゃんのペースで、鈴ちゃんと一緒にダンジョンを攻略してるんでしょう?」

「あっ」

「あと鈴ちゃんの事だから、ご飯とか今までの服とか家具とかその他諸々、全部鈴ちゃんが持ってたんじゃない? 師匠と弟子なら鈴ちゃんの家に住んでるんでしょうし」

「あ……」


 そうだった。そう言えばそうだった。僕、籠家さんと同じペースでダンジョンを攻略してたんだった。木透さんにも言われたっけ。ダンジョンを攻略するのが早いし、攻略する数も多いって。

 それに、ダンジョンのドロップ品も、ほとんど全部売ってるから……あ、うん。僕が使える物が出ないだけで、木透さんが「これはレアなやつですよ!」って言うアイテムはそこそこ混ざってたなぁ……4級のダンジョンの攻略を始めてから……。

 そっかぁ……知らなかったなぁ……。


「ねぇ鈴ちゃん。あなたがお金に疎いのはもう手遅れだけど、その感覚にこの子を巻き込むのはどうかと思うわ?」

「この魔力だぞ。どうせこの数十倍ぐらいはすぐ稼げるようになる。下手に普通を教えてから金銭感覚が壊れるより、最初からこんなもんだと思ってた方がマシだな」

「……大人としては、非常識に突き進むその方針を否定しなきゃいけないのに、一切否定できないわね……」


 なんだかとても酷い会話を聞いちゃった気がする。だよね? だって特別なアイテムを入れておく、特別な入れ物は、全部高かった筈なんだ。で、僕のこの服は、全部それと同じって事だから……うん。高い、ね?

 でも、でも流石に、普通に生活してたり、ダンジョンを攻略してる途中で、服がズタボロになっちゃうのは……それはとても困るから、ここで普段着も含めた装備を買うのは、絶対に必要な事なんだけど……。


「はわ……はわわ……」

「鈴木君」

「ひゃいっ!」

「……すまないが、怖い話をするぞ?」

「ひぇ……」

「その装備と服には、魔力耐性という加工がされているんだが……これは、収める相手の魔力が多くなればなるほど、高くなるんだ」

「ぴぇ……」

「そして、鈴木君の魔力は恐らく、まだまだ増える」


 怖い話だった。何となく分かってたけど、本当に怖い話だった。泣いていいかな?

 門崎さんが「子供を脅してるんじゃないわよ!」って籠家さんを怒ってるけど、でも今のは、本当の事な上に絶対そうなるから、怖い話になるんだよね……。


「だから、今のうちにこれぐらいの支払いには慣れておいた方がいいぞ。大人になったら、冠婚葬祭に合わせた礼服とかも用意しなきゃいけないんだから」

「ひぇぇ……」

「そんなもの鈴ちゃんもまだでしょ!」

「簡略な方の奴だが、私は一式持ってる。というか、シエルに作ってもらったはずだが」


 あ、門崎さんが視線を逸らした。……忘れてたのかな?

 でも、そっかぁ……礼服とか、全部こういうのになるんだなぁ。って事は、当然、お値段の方も……。……やっぱり怖い話だった。泣いていい?

 強い人になればなるほど、すごいお値段の装備や道具を使ってるのは知ってたけど、あれってこういう事だったのかな……。強い人は強い装備を使える、じゃなくて、強い装備でないと使えない、だったのかな……。なんかそんな気がしてきた……。


「……もしかして、だから強い人ほど、保険に高いお金を払ってたり……?」

「どうしてそうなったのかはともかく、まぁそうだな。うっかり装備が全部壊れて自分も死にかけ、なんて事になったら、少々貯金があってもあっという間だろうし」

「ひぇ……」

「そのままでもこの先、少なくともおばあちゃんになるまではのんびり暮らせるだけの貯金がある鈴ちゃんが何を言ってるの?」

「ひぇ……?」

「保険の必要性について確認されたから、普通はそうなるという一例を答えただけだ」


 うん。

 やっぱり籠家さん、ブラックのままでいるっていうのやめない?


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