表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/100

24波_事実確認と食い違い

 マジックバックは、2級の中で難しいダンジョンから出る事もあるんだそうだけど、一番確実なのは「ミミック」っていうモンスターを倒す事らしい。宝箱のフリをして奇襲をかけてくる、結構強いモンスターなんだって。

 そんな話をしてくれている間も、籠家さんは入口の方を見ていたんだけど。マントの中に手が隠れて見えない、のはいつもの事だけど、何となく、空気がずっとぴりぴりしてる気がする。

 僕はまだマジックバックを拾ってないし、マジックバックは持ってるとそれなりに魔力を使うみたいだから、わたげを召喚するのに魔力を節約しなきゃいけない僕は、丈夫な荷車を使ってる。後ろから持ち手を押す形の。


「これも、ギルドから貸してもらってるんですよね……」

「そうだな。まぁ、大体は先輩からマジックバックを借りて使うんだが」

「魔力は鍛えられるのかも知れませんけど、僕、もうちょっと体も鍛えたいですし」


 ……籠家さん、見た目より力があるみたいなんだよね。ベッドも組み立て式とはいえ、材料が入った箱を軽々と2階の部屋に運んでたから。「魔力で強化できるからな」って言ってたけど、それでもある程度は鍛えてないとダメだろうし。

 そんな訳で、クリアストーンを真ん中に、ドロップアイテムをいっぱい乗せた荷車を押して、いつもと同じように扉から外に出たんだけど。

 何故かそこにはいつもと違って、たくさんの探索者の人が並んでた。それも、自分で戦うのかな? っていう、すごい鎧や剣を持った人たちが。


「よう! うちの新人が泣きついてきたんだが、何しやがった!」

「正当防衛だが?」


 その真ん中で、扉の正面にいた、すごく大きな男の人が、大きな声で怒鳴……ってはいない、のかな。大きな声で聞いてきたけど、籠家さんは普通に返していた。僕は飛び上がりそうになったんだけど。


「あぁ!? そうなのか!?」

「い、いえっ! あの魔女が不意打ちしてきたんです!」

「こっちがダンジョンを攻略しようと準備してるところに踏み込んできて!」


 思ったより話が通じる人だったのか、籠家さんが正直に答えると、すごい迫力の人は自分の後ろを振り返った。

 そこから聞こえてきたのは……自信は無いけど、たぶん、ダンジョンの扉をすごく叩いて、怒鳴って来た人、だと、思う。


「だ、そうだが!?」

「弟子の為に3級のダンジョンを攻略してたら、扉を殴り壊す勢いで連打した上に恫喝してきた挙句押し入ってきたから撃退しただけだぞ。疑うなら端沼支部に確認を取れ。今日のはあそこで難易度を聞いてから来てる」

「ほう!!」

「う、嘘を言うな!」

「私達が攻略しようとしたところに、そっちが来たんじゃない!」

「難易度を測定して踏み込んだ時には誰もいなかったし、お前らが踏み込もうとして失敗した時にはクリアストーンが見えていたぞ。でなきゃこのタイミングで外に出てこれないだろうが」

「……それはそうだな!」


 ぐるん、ぐるんと勢いよく首を籠家さんとその人達に、交互に向けていた迫力のある人は、籠家さんの言葉に大きく頷いた。迫力がすごいだけで、話は通じる人だったみたいだ。

 けど、ほっとする僕とは違って、籠家さんのぴりぴりした感じは無くならない。というか、だんだん強くなってきてる気がする。……もうダンジョンの外に出たから、召喚獣も呼べないし、スキルがあっても使えない筈なんだけどな?


「まっ、魔女なら3級程度、このぐらいの時間で攻略出来るだろ!?」

「無茶を言うな。流石に無理だしそもそもこのダンジョンは弟子が攻略したんだ。私はそれを後ろで見てただけだが」

「うん? そう言えば、弟子? お前とうとう弟子を取ったのか!!」

「木透さんの強い押しでな。後、私がガイドして手に入れた初心者石での召喚がパペットだったんだ」

「そうなのか!?」

「ひえっ。……あっ、えっと、はい。籠家さんには、お世話になってます……」

「なるほど! まぁ気を落とすな!」


 ぐるん、と勢いよくごつい顔が僕の方に向いたから、驚いた。けど、お世話になってるのは確かなので、素直に答える。

 それにしても、気を落とすなってどういう……あ、もしかして、最初の召喚がパペットだったから? 実際はわたげだけど、そういう事になってるし、今も籠家さんがそう説明してたし……パペットの扱いが酷いなぁ。

 まぁでも、ちゃんと教えてくれる人が居ないと、パペットは、まぁその、本当に「人形」だしなぁ……。


「嘘だ! パペットだけで3級ダンジョンが攻略出来る訳がない!」

「魔女ならともかく新米がそんなの行ける訳ないだろ!?」

「嘘つき! うーそーつーきー!」

「えっ……」


 と思って遠い目をしていたら、何故か僕が散々に言われていた。……言われてるんだよね? たぶん。

 というか、怒鳴って入ってこようとしたことといい、あの人達は何がしたいんだろう……?


「いい加減にしろ」

「なっ、何だよ!?」

「私はいい。だが、弟子の事を悪く言うなら、決闘に持ち込んでも構わないんだぞ。どうせそこの脳筋は最初からそのつもりだろうしな。今なら言い値で買ってやる」

「えっ」

「はっはっはー! まぁバレているなら仕方ない! お前ら、自分が正しいというなら、決闘で勝利しろ!」

「えっ?」


 何でだろう? と、何を考えているのか全然分からない間に、なんだか話がもっと分からない方向に進んでいった。

 えっ。決闘って何?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ