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20波_魔力回復とドロップ品

「実はそのクッションというか布は、3級以上のダンジョンなら割と出てくるんだ」


 はー。と息を1つ吐いて、籠家さんはそう言った。


「ただ3級のダンジョンを攻略出来る探索者なら、魔力の回復速度は既にそこそこ鍛えられてる。それに同じタイミングで魔力の上限が上がる装備も出てくるから、大体はそっちを選ぶんだ。上限が上がれば回復速度も上がるから」

「そうなんですか!?」

「そうなんだよ。ただ、最初からその布に頼り切りだと別の問題が起こったから、初心者には厳しい値段をギルドがつけてるだけだ。実際は千円ぐらいで叩き売ってもいいくらいに出てくる」

「せんえん」


 とりあえずわたげを召喚して教えてもらった話だと、あんまりずっと自分の力以外で魔力を回復させていると、「魔力が回復する感覚」が無いと落ち着かなくなってしまう事があるみたいだ。

 そうなった人はほとんどずっとダンジョンから出てこないし、むやみやたらと魔力を消費する戦い方をする。ただ、この、めい……めいそーのしきふ、を始め、道具で回復できる魔力は少ないらしい。

 すると、「魔力が回復する感覚」も少なくなる。そうなった人は、どうなるか、っていうと。


「他人から魔力を奪うようになるんだ」

「え……。で、でも、どうやって」

「……鈴木君は、スキルって知ってるか?」

「あ、はい。わたげも持ってるやつですよね」

「まぁそうなんだが……実はな。探索者もスキルを獲得する事があるんだ」

「……え!?」

「あるんだ。召喚獣の影響とも、魔力の量が一定値を越えたら神から与えられるとも言われてるが、原因は分かってないけど。大体は4級のダンジョンをクリアできるようになったあたりで」

「わぁ……」

「で。魔力を大量に消費する戦い方を続けていると、いくら魔力を回復しても足りない。するとその場合、高確率で魔力を周りから奪うスキルが手に入る。……もちろん召喚獣と同じで、スキルだって使える場所が限られてる訳なんだが」


 と、いう事らしかった。わぁ……それは、怖いなぁ……。


「まぁだから、初心者には手の出しにくい値段になってる訳だ。それにずっと使い過ぎるっていうのも、それこそ1週間とか1ヵ月とか使いっぱなし、ぐらいの話だし。そもそも私が見てるんだから、その辺の加減はちゃんとする」

「は、はい。よろしくお願いします」


 1週間とか1ヵ月も使いっぱなし。それは、ダンジョンの攻略がそれぐらいかかるって事、かな? それとも、次から次にダンジョンを攻略しにいってるとかかな……?

 でも、それを初心者がやるからダメなんだよね。……初心者なのに、そんな数のダンジョンを攻略するのは……ちょっと僕には分からないなぁ。


「と、終わったか」

「えっ」


 うーん? と寝ているわたげを撫でながら考えていると、籠家さんが、10個以上に分かれている画面を振り返った。顔を上げると、その内の1つにクリアストーンを抱え、こっちに向かって手を振っている武器を持ったパペット達が映っている。

 時計を見たら、攻略を始める時はお昼にはちょっと早い時間だったのが、お昼丁度ぐらいになってた。うわぁ。

 途中から籠家さんのパペット達の動きは見てなかったけど、そのまま他の画面を見ても、たぶん1体もパペットが減ってない。何も持ってなかった筈のパペットが色々な物を抱えてるから、あれはたぶん、ドロップアイテムなんだと思う。


「鍛えると、パペットってここまで強くなるんですね……」

「かなりかかったけどな。それに、途中で道を戻る時間は結構馬鹿にならないぞ」

「あっ」


 そっか。パペットはたくさんの体がある。だから、最初のダンジョンで僕もやったように、2つの道を同時に探索できる。

 でも普通の召喚獣は、探索者1人につき1体だ。だから分かれ道を1つずつ探索しなきゃいけない。もちろんそこで戦闘があって、怪我をしたりすれば治さないといけないし、パペットが抱えてるドロップアイテムだって、絶対持ち切れる訳がない。


「……あれ? でも籠家さん、あれだけのアイテム、どうやって持って帰るんですか?」


 そう。絶対持ち切れる訳がない。クリアストーンは絶対持って帰るとして、ダンジョンの外に召喚獣を出す事は出来ない。だから探索者が自分で持って帰らないといけない筈なんだけど……あんな量、持てないよね?

 そう思って聞いたら、あぁ、と籠家さんは頷いて、マントを持ち上げてベルトを見せてくれた。あ、マントにポケットがあるのかと思ったら、ポケットみたいな場所に小さい鞄があるんだ。


「マジックバックといって、見た目は小さいがちょっとした倉庫ぐらい物が入る鞄がある。ドロップ品だから、鈴木君もその内手に入れられると思うが、便利だぞ」

「そんな便利な物があるんですね……!」

「流石にこれだけはダンジョンの外でも使えるからな。まぁ外と言っても、ダンジョン特区、もとい、育扉市の中限定なんだが」

「あー……」


 そっか……便利は便利だけど、流石にそれは、ドロップアイテムを運ぶためだけなんだなぁ。


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