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19波_攻略開始と魔力

 召喚してすぐ籠家さんは、武器を持ったパペット6体ごとに、何も持っていないパペットを5体つけて、そのまま順番に探索に向かうように指示を出してた。まだ半分以上残ってるんだけど、ダンジョンの中を表示する画面はいくつにも分かれてる。

 僕はもうとっくにその内容は追いかけられなくなってるんだけど、籠家さんは


「という訳だから、鈴木君。わたげの前にパペットを召喚して、とりあえずこの部屋の中でランニングとウォーキングさせておこうか」

「えっ!?」

「? ……もしかして、魔力がもう残り少ないか?」

「いえっ、それは、大丈夫なんですけど……」


 見てなかった。画面どころか、まだ次々と突入を続けているパペットの方すら見てなかった。え、いいの?

 あわあわと画面と籠家さんを見比べていると、籠家さんも僕が何を気にしてるのか気付いたみたいだ。ちらっと画面に目を向けて、並んでるパペット達を振り返った。


「お前ら。ここは2級のダンジョンだが、私の指揮が必要か?」


 それに対する反応は……首を横に振ったり、手をひらひら振ったりだった。え、これってつまり。


「まぁそういう事だ。少なくとも5級までなら何もしなくても大丈夫な程度には鍛えてある」

「わぁ……」


 5級。5級って確か、カラーズ? の中でも、結構実力のある人達でないと難しいダンジョン、だったような気がするんだけど……。

 でも、パペットがたくさん召喚出来れば、その分だけたくさん覚えられるっていうのは分かった。でもそっか。歩き方から教えないといけないんだ。


「疲れないように歩くのも、大変でした……」

「そうだな。ついでに言うと、何も学習してないパペットを下手に走らせると、ダメージが積み重なって自滅する」

「えっ」

「まぁ、その指導役も兼ねて2級攻略にしては多めに召喚したから、とりあえず今出来る範囲の数を召喚すればいい」

「あ、はい……そっか、「この歩き方はダメ」っていうのを覚える経験になるんですね……」

「そういう事だな」


 わたげも特別だけど、パペットも十分特別じゃないかなぁ……。

 魔力は使えば使う程多くなる。だから、ここは思い切って一気に召喚……は、わたげを召喚する為には怖いから、ちょっと抑え気味で……。


「【サモン:パペット×30(サーティ)】!」


 魔法陣が出て、ずらっと並んだパペットが出てくる。……何も動かないなぁ。でも、挨拶とかどうやって教えたらいいんだろう?


「よ、よろしく……?」


 とりあえず、身動き1つしないパペットに対して声を掛けてみるけど、反応はない。うーん、わたげや籠家さんのパペットと比べちゃうな。もちろん、僕が教えればそうでも無いんだろうけど……。


「鈴木君」

「はいっ!」

「……。とりあえず、指導員役……コーチみたいな役は控えてる方に任せるから、ついて行って指示を聞くように命令を」

「あ、はい。えっと、今から先輩が色々教えてくれるので、ついていって色々覚えて下さい!」

「呼ばれてるぞ、「先輩」」


 30体のパペットにそう指示を出すと、籠家さんが素振りをしたり画面を見たりしていたパペットに声を掛けてくれた。その内、11体で1セット、パーティ? になっていたパペットが2組こっちに来て、僕のパペット達を引率して行ってくれた。声は無いけど。


「で、鈴木君はこっち」

「わっ」


 そのまま僕もついて行きかけて、籠家さんに肩を押さえられた。そのままくるんと回される。そこにはいつどうやって出したのか、大きなクッションが乗せられた椅子があった。

 クッションは濃い青色で、金色の糸で魔法陣が描いてあった。すごい綺麗だけど、いいのかな?


「ここからわたげも召喚するんだろ。パペットはそうでもないが、他の召喚獣はスキルを使ったりしてもごっそり召喚主の魔力を持って行くから、回復しとかないときついぞ」

「え、はい……。でも、休憩するだけでそんなに魔力は回復しないんじゃ」


 恐る恐る座ってみると、クッションはふわふわだった。すごい。こんなふわふわで分厚いクッションは初めてだ。養護院のベッドより柔らかいかも……。

 あ、もしかして。


「このクッション、魔力が回復しやすくなるんですか? ……なんてそんなわけが」

「そうだぞ」

「えっ」


 思い付きをそのまま口に出してみて、すぐに否定した。魔力のやりくりは大変だ、って聞いているから、そんな夢みたいなアイテムがあったら、皆使ってるに決まってる。

 ……と、思ったら、何か、そうだぞ、って聞こえた、ような。


「元は「瞑想の敷布」っていうアイテムで、その上に座ってじっとしている限り魔力の回復力が上がる。まぁ肝心なのは魔法陣の形と素材だから、他の部分は加工しても問題ないんだけどな」

「えっ……?」

「あぁ、それを使っても魔力は鍛えられる。消費して回復すると魔力は増えるが、その回復方法は問わないんだ」

「えっ…………?」


 あの。

 それって、割と、すごいものなんじゃ。

 というかそれだと、このクッションに座ってほっとして元気が出てきた気がするのは、気のせいじゃなくて魔力が回復してるって事……!?


「…………どの、くらいの、お値段か、とか、聞いても……?」

「真っ先に気にするのがそこか……まぁ、普通のルートで買おうと思ったら1枚10万円からで、使えば使う程痛みが加速する消耗品ではあるが」

「ひぇ」


 じゅうまんえん。

 じゅうまんえんのしょうもうひん。


「つ……使えません……!」

「気にするな。どうせ余ってる」

「ひぇ……っ!」


 木透さんが籠家さんの事を、しつこいぐらいすごい人だって言ってたのが分かった。

 これ、籠家さんは絶対にすごい人だ!


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