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17波_偽装と師弟関係の開始

「とうとう……っ! とうとう! 籠家さんが弟子を……っ!」

「パペットの戦い方は特殊極まるから、他の召喚獣を喚べるようになるまでだからな?」

「それでも快挙ですよ! あの! 押しても引いても罠にかけても他人と関わろうとしなかった籠家さんが!」

「おい待てなんだ罠って」

「いやーしかし鈴木君も初手パペットとは思いませんでした。私の勘ではこう、スーパーでスペシャルで超レアな召喚獣が来そうな気がしたんですが……まぁでも、何とかなりますよ! 何せ籠家さんが師匠なので!」

「あ、あはは……」


 怖い。木透さんの勘が怖い。確かにわたげはそんな感じだから。ちなみにパペットは、特に召喚したてだと見分けるのはまず無理って事で、攻略準備室を出る前に「次に召喚した時は、その次に召喚するパペットと逆の手を動かして」と言っておくだけで別個体として登録が通った。まさか、手を上げて、と指示を出して、その手が違ったら別個体判定だとは思わなかったけど。

 ごめんなさい、同じパペットなんです……という事を言う訳にも行かないし、これが、罪悪感……。


「げ」

「?」


 すごく、それはそれは嬉しそうな木透さんに見送られて、僕と籠家さんは端沼支部を後にした。

 籠家さんの家は端沼支部のすぐ近くだったみたいで、僕がそんな事を考えている間に到着したらしい。それはいいんだけど、何故か籠家さんは、ぽつんと建っている一軒家の前で立ち止まった。

 なんだろう、と思って、その家を見るけど、特に変わったところはない、ような……?


「……そうか。そうだ。結界石が切れてたんだった……」

「え、あの……?」

「私の家の玄関は、あんな派手な模様じゃない」

「えっ?」


 改めて玄関扉を見ると、確かにこう、なんかすごく豪華な感じの扉だった。でも、籠家さんの家の扉は、あんなに派手じゃないらしい。けど、周りに他の家は無いから、住所を間違えたって訳でもなさそうなんだけど……。


「……住所を間違った訳でもなければ、誰かが勝手に模様替えした訳でもないからな? 玄関扉がダンジョンになってるだけだからな?」

「あっ」


 そっか。それで結界石なんだ。あれがないと、家の扉や、形と大きさ次第で窓までダンジョンになるって聞いたことが……。

 …………えっ。


「……あの、籠家さん」

「なんだ」

「玄関がダンジョンになってたら、どうやって家に入ったら……?」

「決まってるだろ」


 はー。とため息をついた籠家さんは、玄関の脇にある箱に近づいて、そこの鍵を開けた。確かあれは、宅配ボックスだ。荷物が届けられたらあそこに入れられて、届ける人と受け取る人にしか開けられない鍵がかけられる。

 そこから籠家さんが取り出したのは、ちょっと大きなお皿ぐらいの、透明で四角い板だった。あれは知ってる。結界石だ。あれを専用の置き場に置いたら、その周りにはダンジョンが出てこなくなる。

 そしてそれを、絶対にそんな大きさの結界石が入る訳が無いポケットに入れて。


「攻略するしかない」

「わぁ」

「出来なきゃ端沼支部に戻って部屋を借りるしかないな」

「えっ」


 そう答えてくれた。……結界石って大事だなぁ。

 そして籠家さんは、結界石をしまったポケットから、今度も絶対入らない大きさの何かを取り出した。これは、さっき僕も使った、ダンジョンの測定器だ。大きな温度計みたいなそれをダンジョンになった扉に向ける籠家さん。


「2級か。昼ご飯は食べられそうだな」

「え?」


 ……ちなみに今は、まだ一応午前中だけど、そろそろお昼ご飯を食べても怒られないんじゃないかな……っていうぐらいの時間。さっき僕は1級のダンジョンを攻略するのに、朝一番からここまでかかったんだけど……。


「ちょうどいい。パペットでダンジョンを攻略する時の基本戦術を見せる。色々工夫したり出来る事が増えていったとしても、パペットによる攻略方法は大して変わらないし」

「あっ、はい!」


 って、そうか。僕じゃなくて籠家さんが攻略するなら、そんなに時間はかからないんだ。

 ……わたげを召喚して、一緒に見学できるかな?


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