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12波_ボス戦準備と特殊召喚

 パペットでのダンジョン攻略に関しては他にも色々小ネタというか、コツはある。けど、どうせ「初心者石」を手に入れて次の召喚獣を喚び出せたらパペットは荷物持ちになるだろうし、教えても腐るのが目に見えている。なら、教えなくても問題ないだろう。

 実際そこからは調子よく探索を進めることが出来ていた。1つだけ宝箱も見つけられて、それは召喚獣用の傷薬、いわゆるポーションだった。ただし。


「パペットなら再召喚した方が早いからな……」

「あー……」


 という事で、他の素材と同じく回収。薄緑色の液体が入った瓶を物珍しそうに見ている鈴木君だが、たぶんすぐ見慣れるというか、ハズレとしてみる事になるんだよなぁ。まぁ今は楽しそうだからいいか。

 途中で休憩を挟んだりしながら、それでも2時間ぐらい探索を続けていればいい加減奥の方まで探索できる。と、言う事は。


「あれ?」


 アイテムを回収して戻って来るパペットと、看板を持ったパペットについていくパペット集団に頑張って指示を出していた鈴木君が怪訝な声を上げた。視線はパペット集団が映し出されている映像に向いている。

 そこにはいよいよ背が高くなって、パペットの頭の上まで伸びた草の一部が、門のように高い位置で結ばれている部分が映し出されていた。ちなみに看板を持ったパペットはその手前に行って、『さてこれは何でしょう!』と看板に書いている。説明しろ。


「いわゆる、この先ボス部屋、の目印だ。ボス部屋の先にはクリアストーンがあるし、ボス部屋の構造次第では部屋の中からクリアストーンが確認できる。だから、引き返すならここが最後って事だ」

「あ。分かりやすい目印ってボス部屋だったんですね。……どうしましょう?」

「それを考えるのが探索者だな」


 看板の文字が『主ちょっとはクイズ風に溜めて下さいよー』になっているのをスルーして鈴木君にそう返す。

 まぁ実際やるとしたら、召喚獣を引き返させて回復させるとか、一部召喚獣の能力や消耗品のアイテムでボスの事を調べたりとかだな。ここまでの探索時間が長ければ、この攻略準備室で一旦探索者が仮眠を入れることもある。

 とはいえ、ここまでの探索は順調極まるから2時間ほどしか経ってないし、パペットにもダメージらしいダメージは入っていない。だからやるとしても、パペットの追加召喚か……。


「……えっと、あの、籠家さん」

「何だ」

「ボスってやっぱり、強いんでしょうか?」

「まぁ、ボスだからな。少なくともそのダンジョンの中では一番強いぞ。……一部例外はいるが、それはもっと難易度が上のダンジョンの場合だし」

「あ、相手にも一部例外っているんですね」

「探索者の一部例外は考えなくていいからな?」


 そう確認を取ってもじもじしている鈴木君。何だ。言いたい事はちゃんと言葉にしないと分からないぞ。


「あの……」

「ん?」

「強い、相手が待ってるなら……その、援護というか、強い人に力を借りるのは、ありですか……?」

「……。時と場合によるが、まぁ、ここまでの探索は実質1人でやってきたし、ボス戦の助太刀ぐらいは大丈夫だろう」


 そう答えると、ぱぁっと顔を輝かせる鈴木君。あーもー。調子が狂う。

 だがまぁ実際、今の状態でボス戦の準備として出来る事はパペットの追加召喚か、他の誰かに応援を頼むぐらいだ。

 お願いします! と頭を下げる鈴木君。ちゃんと口に出したので、暫定師匠としてはちゃんとせざるを得ない。


「――【サモン:パペット:エクステンド:パーティ×1】」

「え?」


 私が杖を映像に向けて召喚すると、鈴木君が驚いたような声を上げた。少し大きな魔法陣が現れ、光り、光が集まって控えめに弾け、最初のパペットと同じくその場に出現したのは。


「……またやかましいのが来たな」

「えっ!? え、武器、パペットが装備!?」


 両手剣、斧、盾、短剣、弓、杖をそれぞれ装備した、6体のパペットだった。召喚されるなり、シャキーン! とばかり戦隊もののようなポーズを取る姿を見て、再召喚するべきかという考えがよぎる。

 それを見て鈴木君は驚いているが、ちゃんと講義は聞いていたらしいな。そう。パペットの強みはコストの低さ。それを生かすには、装備はつけない方がいい。何せ、倒されたら装備は良くてその場に放置だし、最悪一緒に壊れるからな。

 とはいえ装備にも色々あるし、私のこれは結構裏技というか、普通はやらない事をやってるからな。今ここで教えるつもりは無いが。


「まぁ、戦力としては見ての通りだ。1級ならまず後れを取らないだろう。……で、鈴木君自身はどうするんだ?」

「あ、えっ、あの……」

「探索者の召喚獣の能力や装備は大体秘密だから、あまり聞かない方がいいぞ」

「えー……いえ、はい……」


 一応釘をさしておくと、疑問符は消えてない感じがするものの、鈴木君は大人しく引き下がった。そして、自分自身のパペットを追加召喚する。ほう、20体か。思い切ったな。

 ……これで、累計召喚数は50体を越えたと思うんだが、息が乱れた様子すらないか。ここまでくるといくらパペットと言えど、結構な魔力消費の筈なんだが。そろそろ超大器晩成型のスライムや、派生ツリーと条件が死ぬほど広いゴブリンより消費してる筈だぞ。


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