1波_挑む難関の内容確認
※10話ぐらいまでは説明が続きます
※説明とか目が滑るんだよ! という方は更新を待った後、一気読みもしくは飛ばして読んで下さい
「げ」
という第一声が出たのは、自分の部屋から出る為の唯一のドアが、見慣れた物からかけ離れたデザインに変わっていたからだ。
星の並びが何とかかんとかでスピリチュアルな人達がお祭り騒ぎだったのまでは好きにすればいいと思うが、その勢いで神を召喚する儀式をしないで欲しいと、扉の変化を見つけるたびに思う。
あと、そのお祭り騒ぎが楽しそうだからって、よく分からない神の方も気軽に応えて召喚されないで欲しいとも思う。本当に。
「えーと、レベル測定器……簡易型しかない。仕方ない……」
それで。儀式で本当に神が来ちゃってテンションが上がるのはともかく。よりにもよって「ダンジョンの実装をお願いします」とか、もう、バカ。本当にバカ。うっかり口に出した奴もそれを本気で叶える神の方も。
そんな、世界が変わるきっかけとしてはあまりにもアレでアレな理由で、この世界にはダンジョンが実装されたのが、3年前の事だ。
「……3級以上計測不能。知ってた」
幸いだったのは、ノリで召喚に応えてほいほいとダンジョンを実装しちゃった神が比較的真面目で、面倒見の良い神様だった事だろうか。育成ゲーが好きな性格だったともいえる気がする。あとは、人間の扱いに慣れていた事。
だから何とか、この扉の変化……ダンジョンが出現する範囲は一部の地域に限られているし、放置したからと言って中からモンスターの類が溢れ出したりはしてこない。ついでに、ダンジョンで得た力で犯罪をする人もいない。
何故ならダンジョンを実装した神様は育成ゲーが好き。つまり、人間が直接踏み込んで挑戦するのではなく、ダンジョンの中にだけ召喚できる使い魔に指示を出して探索させるスタイルだったからだ。
「まぁでも、部屋から出れないとご飯も食べれない。仕方ない。臨時収入だと思おう」
だから、そのダンジョンが出現する一部の地域さえ避ければ、今までと同じ生活は出来る訳だけど……残念ながら、私、籠家鐘鈴は諸事情により、この地域で暮らしながらダンジョンを攻略せざるを得ない。
……なので、もちろんモチベーションなんてものは最底辺を這っている訳で。
「……面倒だけど」
やる気のない私は、今日も探索アールピージーっていうか、ウェーブを送り込あうタイプのタワーディフェンスだよなぁ……というダンジョン探索を、ほとんど手癖と惰性でやっている。