1. 坊主じゃないです
私は昔から中性的な顔立ちでよく男の子と間違えられていた。小学生の頃は近所のガキ大将とよくつるんで親や先生に叱られていた所謂問題児だった。まあ大学生になった身としては遠い過去の出来事である。
「ひぇ...」
「答えろ坊主!」
こんな状況で「実は女なんですけど...。」とは言い出しづらい。
なぜこんなことになっているのかというと、遡ること数時間前。
「はあー、このまま自分はどうなってしまうんだろう...。」
自分は今、バイトの帰り道に突然地面に穴が開き見知らぬ場所にいる。
「ここは...どこ...?」
そういえば最近よく見るアニメや漫画であるような展開だ。もし本当にそんなことが起こったら一体どうなるんだろうか?いや、そんなことはありえないか……。でももしかすると……。
そんなことを考えているとふとある考えが頭に浮かんできた。
「まさか、異世界召喚!?」
異世界転移? それならば今のこの状況にも説明がつく。だが何か力が湧いてくるだとかそんな変化は見られない。ということはやはりこれは夢なのか……。自分の体を確認するように触ってみる。手も足もあるし、ちゃんとした感覚がある。やっぱり現実みたいだ。だとしたらここはどこなんだろう。見渡す限り森が広がっているだけだけど……。
「そうだ!スマホがあれば位置情報を見てここがどこかわかるかも!」
そう思って鞄の中を探りスマホを探す。あった!よかった電源入るかな? 電源ボタンに触れると画面が表示される。よかったついた!電波状況も悪くないみたいだしこれなら……。あれ?圏外になってる……。
どうしてだろうと思って地図アプリを開いてみたけどやっぱりダメだ。現在地が表示されないし、周りの地形もよくわからない。そもそもマップ上には何も表示されていない。GPSが壊れたのかと思ったけどそういうわけでもないようだ。
「このままここにいても何も手がかりがない。森を抜ければ村か町があるはずだ行ってみよう。」悩んでいてもしょうがない、ここが異世界ならもしかしたら危険な動物や人拐いがいるかもしれない。日が暮れる前に進もう。こうして私の知らない世界への一歩を踏み出したのであった。
森の中をしばらく進むと開けた場所に出た。そこには小さな泉があり、その周りには色とりどりの花々が咲き誇っていた。そしてその中心には古びて朽ち果てそうな小屋があった。
「こんな所に小屋が...。」
「誰だ貴様は。」後ろを振り向くと剣を持った大男が立っていた。しかもその剣先は自分の喉元すれすれに向けられていた。
「ひぇ......」
「誰だと聞いてる答えろ坊主」
「坊主...?」
「俺の目の前には貴様しかいないだろうが」
待って!!私、花の女子大生なんですけど!?てか今の状況どういうこと!? 混乱していると男は再び口を開いた。
「早く俺の質問に答えろ、今すぐ叩き切ってもいいんだぞ」
さっさと質問に答えないと殺される!?人生最大のピンチである。私は震えながらなんとか声を出した。
「自分は春。ハル・ナミカワです。」
「ナミカワ...聞かんファミリーネームだな。」
ですよねー、あからさまに日本の名字ですから。
しかし男はこちらの反応など気にせず続ける。あぁ、きっとこのあと尋問されて拷問されたりするんだろうな……。そう思っていたのだが男の口から発せられた言葉は全く予想していなかったものだった。
―――お前、
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人生はじめての投稿です。至らぬ点しかありません。
何卒よろしくお願いします。((φ( ̄ー ̄ )
ヒーロー全然出番がなくてすみません。