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異世界チート道具回収凸

その王国が滅びるまで

作者: 浪花 夕方

 終

「あーあ、これから俺はどうなっちまうんだろ。俺もコイツラも可哀想が過ぎるだろ」

「そんなことを言わない。結果的には、あなたは一つの世界と人々を救った英雄なのだから」


 序

 普段知覚できない人智を超えた存在を神と言う。

 度々人前に現れては人々を導き、救い、信仰される存在だ。

 便宜上神としておく。その神が住まうとされる世界において、とある事件が発生した。

『人には容易く扱えぬ代物、危険なもの、人には渡してはならないものが盗まれ、更には何処かにばら撒かれてしまった』

 神が人に渡す物を『ギフト』とする。

 異世界に転生した人間がよく言う『神様から貰ったチート武器』だとかがギフトだ。

 そのばら撒かれてしまった危険な『違法ギフト』を回収するために一部の天使や人間は日々頑張っていた。

 神は全知全能であるがいつどこで何をしても許されるわけではない。その全知全能は然るべきときにのみ使われるものだから、例え一刻を争う事態だったとしても、下のものの為にも『違法ギフト』を神自身が回収することは、全く持ってあり得ないことなのだ。

 懸命なる人海戦術により、幸いにも何処かにいった違法ギフトは5割がた回収され、1割補足され、4割、まだ見つかっていない。


 起

「はー、怠……ったく!こんなことならサボってでも家にとっとと帰っておくべきだった!」

「おや、私との任務は嫌でしたか?」

「そこまで言ってねーよ。でも早く帰って風呂には入りたいと思ってる」


 幌馬車(馬ではなく駱駝のような生物が牽く)に揺られながら、一組の旅人はぼやいていた。

 一見すると若い女二人のようである。


 長い栗毛の髪は毛艶もよくさらさらとしており、日々手入れを欠かさずされていると分かる。顔立ちは童顔であるが、気の強そうな瞳、その瞼の上にはピンクのアイシャドウが煌めいている。赤いスカートに流行のピンタックのついた白いブラウスと上等な服を身に纏っているので、もしかしたらどこかの裕福な家のお嬢様のように思えるが、発言は粗暴で富裕層の特有の品性は感じられない。

 それどころか、富裕層の女性ですらない。

 彼は至って真面目に、己の趣味で女装をしている男性であった。


 もう一人は一度も目を開けている様子が見られない。

 しかし整った(かんばせ)をしているとはわかる。

 かわいいというよりは美しい、美麗、耽美……というべきだろう。

 色白で華奢、黒髪は低めの位置でシニヨンスタイルにされている。

 露出のほとんど無い修道服のような簡素な白いワンピースを着ていた。もう一人と違い化粧もしている様子は見られない。隣に並ぶとお嬢様とその召使いのように見えるほど、豪華さの差は歴然としている。

 化粧はされていないが清潔感があり、背筋もしっかりしている。受け答えも生真面目でしっかりしている分、まともな大人な印象がこちらの方が強い。


 女__ユリアは薄くほほえみながら男__アンリ(自称)の声を聴いていて、アンリはぶつくさと文句をいいながら、前方の風景を注視していた。


 この二人、この世界の人間ではない。異世界より違法ギフトを捜索・回収しにやってきた、正真正銘の天の使いであった。


「わざわざ国境付近から車乗り継いで、それらしい話は何も聞けず、もうすぐ次の街に着くわけだが」

「そうですね、次の街はそこそこ大きい街らしいですから久々にお店でまともな食事ができますね」


 違う、そうじゃない。そう言いたいのをアンリは奥歯を噛んで堪えた。ちゃんと話の主題をストレートに言わなかった自分の失敗だし、まあ退屈を紛らわせられればいいのでこのまま雑談でもいい。


「……おうそうだな。」

「アンリさんはお肉料理が気になります?」

「いや、俺はどっちかというと甘いものの方だな」

「私は一度でいいから『漫画肉』を食べてみたいんですが、中々お目にかかる機会が無いんですよねぇ……。実在してそうなのに中々出会えない、存在は知っていても食べる機会のない、ある意味レアですよレア!」

「そうかよ」


 目が見えないのに漫画、そしてその漫画的表現たる漫画肉について何故か知っているユリアは熱く語る。

 ツッコミを入れるのも面倒だ。アンリは軽く聞き流しながら、前方をまっすぐ見据える。

 豊かな麦穂の垂れる広大な畑を横目に、高めの建物が姿を見せていた。


「アンリさんももし見かけたら教えて下さいね、すぐに駆けつけますから」

「次の街が見えてきたな。どこも似たような景色で、草原は見飽きたところだ」


 国境付近から王都に行くまでの道はどこも同じような景色ばかりであった。豊かな自然の続く景色は最初こそ風光明媚で心を奪われるかのような美しさであったが、3日も過ぎれば慣れてしまった。今ではもう退屈しのぎにもならない。


「おかげで目が疲れましたよ。違いを探す方が難しいくらいです。」

「ずっと目を閉じてるのに目が疲れるのかよ」


 アンリは言った直後に後悔した、思わず反射的に答えてしまったが、普通にユリアにとってはいい気分のしない話だろう。


「目を開けなくても見えるものは見えますので。目を閉じていても見たくないものは見えてしまうというのも厄介ですよ」


 何事もない調子でユリアは返す。

 ユリアは別に怒ってもないし、気にしてもないがアンリはそうでもないらしい。目が閉じられているぶん表情が読みにくいので、その感情が本当に怒っていないのか否かわからないのである。


「それは……悪かったな」

「お気になさらず。これもまた宿命ですので」


 かつてのユリアは神ではないが、宗教ではあった。生まれながらにして盲人であったが、彼女の信者によって、彼女は目を閉じていても視界を得る事が可能になった。

 文字や絵、色などはわからないが、物の形や思念を見ることができた。彼女が見えているのは『魂』だと言われている。


「国全体に緑葉満ち、水などの資源も豊富で、まさに理想郷ですね」

「理想郷というより楽園じゃないか?」

「楽園と理想郷の決定的な違いは、そこに人の意図が介在するかどうか、だと思います。楽園は永遠性、理想郷は社会性。楽園は完成された場所、理想郷は移ろいゆくもの、もっと言えば人の手が加えられていないのが楽園で、人の手が入っているのなら理想郷です」

「長くてわかりにくい」

「統治者がいる→理想郷/統治者がいない→楽園」

「これがこの国の王様の理想ねぇ……」

「この国の国境の城壁の先はここまで豊かとは言い切れない有様のようですから、数十年で小国をここまで成長させたのは余程の凄腕と見るか」

「違法ギフトによるものか、ね。」

「このあたりは小国乱立で大きな勢力は居らず、それをここ数年で大陸5本の指に入る大国にまでのしあげた。小さな国を統合し大きくなったという話です。きっとなにか特殊な軍事兵器かもしれませんね」


 街に入ったのは昼過ぎのことであった。

 石畳の敷かれたこの街はそれなりに歴史があるらしい。

 街の大通りは祝賀ムードで、美しく飾り付けられており、この街の幼子は胸に花飾りを着けて、無邪気に走り回っていた。

 アンリが宿を借りる手続きをしている間、謎の肉の串焼きを売る露天商のおじさんにユリアは串焼きを片手に切り出す。


「何かのお祭りですか?」

「ああ、今日は結婚式があるんだってよ」

「へぇー、それはまた豪勢ですね。ほぼ毎日やってるんですか?」

「希望者はな。この時期は花嫁の月だから特に多いね」

「花嫁の月?」

「この国の女王陛下が結婚したのが今月。子供を授かったのが半年後だから半年後もまた特に多くなるな。ま、陛下のように幸せになれますようにっていうゲン担ぎだ」

「人気なんですね、女王陛下」

「そりゃまぁな。嫌いなヤツもいるだろうが少なくとも俺は好きだ。陛下のおかげで俺は暮らしていけてる」

「あ、おかわりください」

「はいよ」

「そろそろ行くぞユリア」

「あ、アンリさん!聞いてくださいよ!このお店の串焼きが美味しいんですよ!お肉がちょっと硬めで歯ごたえがあるんですが、噛めば噛むほどいいお出汁が出て、味の濃い辛いタレがちょうどいい感じに薄まってそれはそれは美味しくて__」


「次の城下町行きの便は明日の昼だから、できるだけ情報を集めたい。二手に別れよう」

「そうですね。ここで戦闘が起こることはまず無いでしょうし構いませんよ」

「なんかあったらこれを使え。スイッチを押したら俺の端末に連絡が入る。」


 アンリがユリアに渡した機械はポケットに入る大きさのGPS装置だ。緊急連絡用のスイッチが一つだけ付いている。盲目なユリアでも扱える簡単な造りのものだ。

 ユリアはそれを受け取りポケットの中にしまった。


「じゃあ日が暮れたら合流するからな、絶対それは落とすんじゃねーぞ」


 夜。

 宿の一階はパブになっていて、宿泊客はそこで食事をとることができた。客席はそれなりに埋まっていて、宿泊客よりも地元民の方が多い。

 二人も食事をしながら成果を報告し合う事となった。

 肉団子の入ったショートパスタの様な料理に舌鼓を打ちつつ、アンリから話し出す。


「この国の歴史だな。この国は他と比べてそこまで歴史は長くない。精々二〜三百年だな。元は別の王国の砦として作られた城と街で、その王国が滅んでからは独立。城のある王都を中心に近隣の小国を吸収して大きくなってる。基本的に直径の女王が統治していて、現在は女王エリザベートが統治している」

「ただし、最近は体調が思わしくなく、二人の姫君が跡継ぎ争いをしている。と」

「ああ。第一王女ヴァネッサと第二王女ウィステリア。ヴァネッサは魔法に長け、数々の武勲がある。なにより国民からも覚えがいい。人気が高いから順当に行けばヴァネッサが女王だろうな」

「第一王女によってさらに近隣の小国を統合、拡大。ここ数年での急成長はそれが原因でしょうね」

「紛らわしいよな。ヴァネッサについてこっちで調べてみたが、転生者では無さそうだ。天性のチート野郎だな」

「野郎ではなく女郎では?あ、おかわりください!」

「まだ食うのかよ……」

「だって美味しいんですもん。肉団子は香辛料でスパイシーな風味があるんですが、ソースは果物と野菜、ビネガーでできていて甘酸っぱい。後味爽やかで胃もたれもしないし手が止まらないですね!」

「話戻すが、ウィステリアは目立った功績はないものの反ヴァネッサ派に祭り上げられた感じだな。目立った功績も無いが失敗も無い。革新派のヴァネッサと違い穏健派が多い。それにウィステリアは後ろ盾がある」

「血筋ですか」

「ウィステリアは隣の大国からの同盟の証としてやってきた現王配の娘だ。国際政治的にはウィステリアを女王にしたほうが安牌だろうな」

「それはまた面倒そうな話ですねー」

「ユリアは何かわかったか」

「これは私の主観なんですが、この国の人間、薄いんですよね」

「は?何が?」

「気配が薄い。生命力が薄いんですよ。個人差もありますが歳を重ねるだけ薄い人間が多い。昼間、大通りで結婚式を挙げている夫婦がいましたが、旦那さんらしい人は見えもしませんでした。多分今晩死にますね」

「縁起でもないこと言うなよ……可哀想だろ」

「いつ不幸が訪れるかわからないですからね、まあご愁傷様とだけ言っておきます」

「で、相変わらず情報がゼロに近いんだが」

「探せと言われましても形も大きさもわからないのでは探しようもありませんよね……あ」


 不意にユリアの口が固まる。ユリアが何を思い行動するのかはこの場にいる人間は誰も理解できないのは知っての通りだが、それでもアンリは急に固まるユリアを少しは心配して声をかける。


「どうした?」

「あそこに人が居ません?カウンター席の右から3番目。」


 視線の先を辿る。カウンター席はほぼ満席で、酒を飲んだらしい男たちが大声で話し合っている。その右から3番目には、隣の喧騒など意に介さずカウンターに突っ伏して寝ているらしい中年男性がいた。手には酒のなみなみ注がれたグラスがあり、傍らにはボトルが倒れている。

 酔いつぶれたのだろう、と判断できる。周りもそう思っているようで、彼に対してなんの反応もない。……ユリア以外は。


「ああ、あのオッサンよく寝てるな。酔い潰れたんじゃねーの?」

「生命反応が消えました。死んでます」

「ハァ!?」


 アンリの大声で店の中が少し静まり返る。眠るように死んでる中年男性以外何事かとこちらを見ている。


「どうしたんだ嬢ちゃんたち」

「そこにいるやつ、死んでないか……?」


 アンリが指を指した先の寝ていると思われた人間に側の客が声をかける。


「……おい、しっかりしろ、おい……駄目だ、死んでる」

「またか。とりあえず医者呼べ医者!」

「……また?良くあるのでしょうか」

「ああ。ここ一年流行りだした。病ではないんだがな、病気よりも突然死……寿命で死ぬ事が多くなったんだよ。人の死期なんざどうしようもないことではあるんだがな。安らかに死ねるだけマシだな」


 承

 朝。昨日人が死んでいるにも関わらず、ユリアは一階で呑気に朝食を食べていた。他の客はいない。

 アンリはユリアを見つけたはいいが何を言うべきか言葉を失っていた。


「おはようございます、アンリさん」

「おはようユリア。よくそこで飯食えるよな。一応そこ死体があったところの隣だぞ」


 ユリアが座っていたのはカウンター席、右から4番目。昨日の死者の隣の席だ。目の前にはスープとパンケーキに焼いたハム、目玉焼きが乗った立派な朝食が置いてある。


「場所に何かあったのかと思いましたが、やはり何もありませんね」

「死因は毒でもなんでもないんだろ。俺たちには関係無い」


 アンリもユリアの隣に腰掛ける。勿論ユリアの左側だ。

 店主は苦笑いをして、ユリアと同じスープをサーブした。


「パンケーキには何を乗せる?」

「甘いやつ」


 アンリはスープを啜りながら、今日の予定を立てていた。

 身支度を終わらせたら宿を出て、また馬車に乗って今度は城下町まで行く。明日の夜には到着するだろう。

 また絵に描いたような豊かな土地が続いているだけだろうし見張る必要はないだろうが……

 そこまで考えてパンケーキが出される。

 少し歪な円形のパンケーキ。この国の朝食としては一般的なものだ。既に何度か食べている。生地には摩り下ろした芋が入っておりもっちりしており、見た目の割に腹にたまる。

 どこでも味付けはセルフサービスで、ユリアのようにがっつりした食事系のおかずを乗せる事もあればジャムやカットしたフルーツを乗せることもある。

 より一般的であるのはクリームだ。

 ホイップクリームのようなクリームではなくクロテッドクリームが近い。硬めで少し癖の強い乳の香りのする、甘いクリームを掬い、パンケーキに塗っていく。アンリはこのクリームとジャムを乗せたパンケーキをよく選ぶ。


「アンリさん、少し疲れが出てませんか?」

「あ?ああ、そうだな、疲れてんのかもな……なんか怠い。明日は城下町だし今日はちょっと移動中寝るわ」

「そうですか。」


 食後、部屋で準備しているとユリアがやってきた。


「違法ギフトを見つけました」

「はぁ!?」


 アンリはこれまでの付き合いからある程度はユリアの突拍子のない言動には耐性があった。しかし驚くものには驚く。何があったら一晩で見つけられるというのか。


「違法ギフトを見つけました」

「いや、聞こえなかったんじゃなくてな……!まず説明!」


「結論から言えば、違法ギフトはこの国、その象徴たる城です」

「どこからそんな超展開に発展するんだよ……」

「まず、おかしいと思っている点があります。土地の変化の無さ。どこに行っても同じような土地になるのはおかしいと思いませんか?」

「確かに今まで見てきた土地はどこも豊かな土地だったな。農法チートを疑うくらいには」

「私が見たところどこも同じなんです。土地に流れる生命力はどこも均一化されているんですよ。あり得ない。国一つまるごとですよ?しかも場所によっては別の国だった土地もあります。たった数年で他と見分けがつかないほど生態系が変わるものですか?」

「普通ならありえないな」

「恐らく、ギフトとしての性能はそこです。生命力の操作。そしてその代償はそこに住まう者たちの寿命」

「まさか昨日の突然死も……」

「私達もこの土地にいる限りは吸われ続けます。現にアンリさんも今は疲れが出ているでしょう?生命力を吸われているんですよ」

「……なんで昨日から今日の一晩でわかった?そこまでわかるなら来た初日でわかりそうだが」

「この街は石畳で舗装されてて気の流れが見えやすいんですよね。起きてみて、自分も周囲も軒並み若干薄くなっているんですもん……。一昨日もそれ以前も吸われてたんでしょうけど、吸われている量が微微すぎて気付けなかったんですかね」

「……で、城がギフトと断定したのは?」

「独立時点で城があるじゃないですか。しかも独立した時点ではまだ土地もそんなに大きくない。土地に対して人がたくさん居たから一人に対して吸う量も少なくて済んでいたと考えられます。それに、国一つの生態系をコントロール出来るほどの力と装置ですよ?それなりに大きいと考える方が自然です」

「……城なんて俺たちで回収できるわけねーだろ!!」


『そう、城……城!?』


 アンリはスマートフォンでこの異世界に放り込んだ張本人、上司の雪緒に連絡を入れる。ユリアはタッチパネルは扱えないため、必然的にアンリがするしか無かった。

 このスマートフォン、異世界でも電波が届く、のではなく、異世界でも仲間と上司間にのみ掛けることができる特別製だ。人目に触れなければ割と自由に使える。


「まだ断定はできないがな。でも一番可能性は高いってよ」

『分かった。上に掛け合ってみる。念の為、その城が本当にギフトかどうかそっちでも調べてみて。返事が来たらまた連絡するわ』

「それが判れば苦労しねーよ」


 通話を切ってスマートフォンをしまう。


「じゃあ、そろそろ王都に行くか」


 今までとは比べ物にならない速さの赤毛の馬の馬車に乗り、二人は王都まで向かう。車の部分も馬車というより新幹線のようなフォルムをしている。当然ながら、揺れも凄い。横よりも縦に体が浮く。座席が柔らかいクッション状でなければお尻が痛々しい事になっていたかもしれない。


「凄いですねー、この速さ……赤兎馬ですかね」

「それより胃が気持ち悪い!酔い止めとか持ってないか!?」

「吐くなら窓開けて、地面にするんだそうです」

「あっ」

「ほら、窓開けますから、気を確かに」


【※この異世界では特別に許されていますが真似しないでください】


「大丈夫ですか?」

「吐くもん全部出したから気持ち悪いだけだな」

「そもそもどうしてこの馬車にしたんです?あのロバなのかラクダなのか微妙な馬車でいいじゃないですか」

「時間短縮したかった。この馬車なら王都まで街から一時間で済むから……数無いし一台借り切ることになるから高いけど……おぇ、早く調査したかっ……」

「ほら窓の外見ましょう!」


 窓の外はもう既に城が見える距離まで迫っていた。


「どうやら城で確定しているみたいですよ、アンリさん」


 ユリアの目には、城に向かって魂のようなものが吸収されているように見えていた。

 城の真下あたりにまっすぐとエネルギーが集まり、太い管のような、或いは木の根のように幾重も枝分かれした命の束が城を中心に国全土に向けて放たれているように思える。


「お前がそう言うのなら……信じるぞ」


 転

 《当該ギフトの記録 該当数5 うち回収数3 効果は『城主を護る最強の盾』。内蔵された人工知能により国中の生命力の統制をし、国そのものを防衛する。しかし城の維持等防衛機能に多大な生命力を必要とするため、違法ギフトの対象となった。》


 王都の夕暮れ時。人のいないあばら家の中、アンリは雪緒に連絡していた。ユリアは宿を借りに外に出ているため居ない。


『とりあえず、この内蔵された人工知能を無力化したいのよ。これのスイッチが入ったままだと回収すらできないから。できれば壊さず回収したいけど、どうにもならなかったら人工知能以外の部分は破壊していいって。』

「分かった。やってみる」

『あ!あくまでも破壊は最終手段であってできる限り隠密非破壊だから!嬉々として壊そうとしないで!』

「誰に向かって言って……ユリアか」

『前回も不必要に壊した前科があるから止められるなら止めてね』

「おいおい、まさかの今回俺がユリアと組まされた理由それかよ」

『もちろん、目が見えない彼女の補佐役でも嘘じゃないのよ?それよりあからさまに不要な破壊行動が目立つだけで!手っ取り早く進むけどそれ以上に破壊工作が目立つだけだから!』

「勘弁してくれ、ユリアなんて何考えてんだかわからない地雷、俺でも止められない。むしろ今のうちにユリア回収して別のやつ行かせる方が得策だと俺は思ってる」

『やる気もあるし実力もある、だから(いつやらかすか心配だから帰ってこいなんて)言えないのよね……まああとは任せていい?じゃあ健闘を祈るわ。また何かあったら早く連絡頂戴。心の準備しておくから』

「オイ逃げんな逃げんな……って切れてるし」


 ここで雪緒は後悔することになる。彼女は後にこう語る。

 このときアンリも呼び戻しておくべきだったと__


「ただいま戻りました、連絡はありましたか?」

「おう、丁度今終わった」


 かくかくしかじかで、と話し始め、人工知能を無力化するにはどうすれば、と話を終えたときユリアはにっこりと笑って告げた。


「単純な話です。国を滅ぼせばいいんです」


 アンリは言葉をなんとか飲み込もうと噛み砕いて、噛み砕いて、ようやく発言を受け入れる。何言ってるんだ、とか、その思考がわからない、とか、やっぱりこんなの俺の手に負えるわけねぇよ、とか、そんな言いたいことが全て濃縮され、やっとの思いで絞り出せたのはたった一文字の言葉であった。


「ハァ!?」


「国中の生命力を根こそぎ吸収しているなら、その供給源を根絶すればいい。国土を減らすんです。他国に攻めてきてもらうとすると、いざ他国が国土を奪っても所有者が他国の王になるたけでおそらく根本的解決にはなりません。しかも一月以上時間がかかるでしょうし。なので、私達が明日から国を滅ぼし人工知能の新しい主になってスイッチを切ればいいんですよ」

「お前正気か?」

「でもそれ以外で思いつきます?スピーディーで効果的な方法が」


 ユリアは漫画だったらムスッとか怪訝な顔している効果音が付きそうなほどあからさまに拗ね始めた。

 先程言われた言葉もあって、アンリは必死に頭を動かして反論しようとした。


「いや、今の保有者騙すとか、なんか他にもあるだろ」

「同じじゃないですか!それに今の保有者誰か分かってるんです?どの道避けては通れないならトライしてみましょうよ!」


 アンリは生命力を吸われ、さらにユリアの相手と言うこともありかなり疲れていた。ここで拗ねられると面倒になったとも言える。だから、ついつい言ってしまったのだ。


「あー、もう分かった!じゃあ国を滅ぼす方面で進めよう!」


 ユリアは途端に機嫌が良くなった。今までの拗ねた態度は確信犯かと思ってしまうような急変ぶりである。


「じゃあ、今日の宿でご飯を食べながら色々作戦を立てましょう。今日の宿はですね、腸詰めが美味しくて有名なんですって。朝ごはんにパンに挟んでホットドッグみたいにして食べるのが人気なんだとか。種類が沢山あるらしくて、ハーブ入りとか、あと血のソーセージとかもあるらしいですよ!」


 それから幾日、幾週間が過ぎ、雲ひとつない青空が広がる日。

 彼らは王城に姿を現した。


 結

 女王と王配の即位20周年を祝う為の絢爛豪華なパーティが始まった。

 各地より貴族たちが挨拶に集まり、城下では人々が昼間から酒やご馳走に舌鼓をうっている頃だろう。

 舞踏会の行われる会場内で、一際目を引くのが金髪の中性的な顔立ちの令嬢である。


 __果たしてあの様な令嬢が居ただろうか?誰かがヒソヒソと答える。__新しく拡張した辺境の新参者であろう。場違いね


 それにしても着ているドレスの仕立ては見事である。

 ふんだんにあしらわれた白いレースは何処で手に入れたのか、真っ白で、精密で、職人技としては最高品質であることが一目で分かった。首元まで覆うようなドレスは時期も人気も外れているが、彼女にはよく似合っていると思われた。


 人混みの多くは彼女を遠巻きにしながら、会場の奥、2人の姫君の元に集まる。

 第1王女、武力のヴァネッサ姫。

 第2王女、策略のウィステリア姫。

 それぞれの派閥に別れて取り巻きを形成する。


 ヴァネッサ陣営に控えるのは王国きっての有名人、古の勇者の末裔にして剣術の天才にして王国騎士団長、サヤカ・ローゼン。

 ウィステリア陣営に控えるのは実力と戦略でのし上がってきた副団長、アーセル。


 2人の姫と、その懐刀たち。

 女王が王配を連れて出揃った時、波乱が起こる。

 華やかなパーティは今や混沌と狂乱に陥れられたのだった。具体的には、異世界からきた神の使いによって。


「今からこの領土を我が国の領土と宣言するッ!!!!」


 会場に響く声の後に、破裂音があちこちで複数回轟いた。

 どうやら城内のあちこちが爆破されているようだ。

 城内警備の兵士たちが臨戦態勢をとり、方々に散る。

 招待客たちは件のご令嬢、いや、反逆者の捕物を見物するために隅に引っ込み、兵士の後ろで文字通り高みの見物を決め込んでいた。


「無礼者!!ここを何処と心得る!サヤカ!早くこの者を始末せよ!」


 サヤカが抜刀すると黄色い歓声が上がる。高位貴族であってもファンが多いらしい。


「残念!予めここには仕掛けがあるのですよ!」


 指を1度鳴らすと、会場内のあちこちから白い煙幕が上がる。天井、料理の乗ったテーブルの下、花瓶、あるいは床下から、あっという間に視界がホワイトアウトする量の睡眠作用のある毒ガスが撒かれた。

 少しでも吸い込めばたちまち眠ってしまう程強い毒だ。今のうちに逃げ出そうと悠々と入口に向かう。


 観客たちは次々と睡魔に耐えきれず、眠りについた――のだが。


「とりゃー!!」


 サヤカが剣を凪ぐ。簡単な事だった。毒ガスの煙幕が霧散した。

 王族やその護衛達は眠ってすらいない。どうやらあの周りは結界のようなものが張られているようだ。


「ざぁーんねんだったね!サヤカに毒の類は効かない!!」

「人間やめてるの?化け物ですか」

「化け物なんて、そんなのサヤカより上には上がいるんだよなぁー、サヤカすら倒せないキミにそんな事言う資格ないからね」


 じゃあ、と1呼吸置いてサヤカは構える。今までのおちゃらけたような砕けた態度は消え、凍てついた空気に変わる。肌を刺す殺気、腐ってもサヤカは王侯に使える騎士団長なのだ!


「サヨナラ、お馬鹿なお嬢さん」


 剣を振り下ろすその瞬間、指を鳴らせば。


「なっ――消えた!?」


 サヤカの前にいたその女は、跡形もなく消えていた。


「瞬間移動……?最初からこれが狙いだったの?」


 ウィステリアが小さく呟く。その首には腕がまわり、逃げ出させないようにされている。

 ウィステリアの背後には金髪のテロリスト。

 ウィステリアは人質にされていた。


「予定変更ってことですよ……頼みますよ、アンリさん、ユリアさん」


 3人目の回収人、シャーリーはウィステリアを盾にしつつ、予定変更の信号をアンリに送った。シャーリーは回収人の中でも超能力、テレポーテーションの能力を持った稀有な人物である。今回増援としてこっそりアンリたちが呼び寄せたのだ。もちろん雪緒に許可は取っていない。


「誰を人質にしているのか、分かってるの」

「ウィステリア王女殿下、静かにして貰えますか?貴方も場合によっては怪我してしまうかもしれないんですよ、大人しくして頂きたい」


 ウィステリアはこの状況の中で唯一――笑っていた。


「私はこの国に選ばれたのよ」


 銃声が一発、シャーリーの背後から聞こえた。


 一方その頃、アンリたちは城の中でも隠し通路を通って目的地まで向かっていた。


「この先はどっちだ?」

「右へ。シャーリーさんは上手く引き付けていてくれてますかね」

「ウィステリアを人質に取ったらしい、あと数時間がリミットだろうな」

「こちらの体力も厳しくなって来ましたね、やっぱり朝ごはんもっとおかわりすればよかったかもしれないです」

「シャーリーの為にも早く見つけないとな」


 2人が歩いている通路は暖炉の中から下に梯子をおり、たどり着いた地下道である。王宮の隠し通路は多くは侵入者から逃げるための道が殆どで、これもその1つかと思われた。

 地下はいくつも道が分かれていて、迷路のようになっていた。

 進めば進む度体力がじわじわと減っていく。

 この城の持ち主以外は、おそらく全員居るだけで急速に寿命が縮んでいる事だろう。これは城が弱体化したからだ。


 城の弱体化。この城は生きている。普段は大人数から国を守るために命を吸っているが、その大多数の領土を削ったことにより命を吸う行為を城内限定にしたのだ。


 子供の頃、こんな遊びをした事ないだろうか。

 地面に線を引いて、『ここからここまでが私の領地』、と。実際はただの地面であって領地ではないのだが、宣言することでそういう役割を持たせることは可能である。

 大人でも、空き地にある『私有地につき進入禁止』の立て札を見て、わざわざ入ろうとは思わないだろう。

 つまりアンリたちは数週間かけて城以外を特殊な線で囲い、『この地は私の領土である』と宣言することでやや強引なこじつけではあるが、国土を城の影響から引き離したのだ。


 ここで作戦変更。

 本来なら最初の爆発で招待客たち含め全ての人間が城から避難するのが1番やりやすいのだが、サヤカが思ったよりしぶとく、(おそらくサヤカは城によって身体能力が強化されている)また観客たちも寝てしまったため、せめて1箇所で固まってもらうことにする。

 探索しやすくするためだ。

 その為にウィステリアには人質になってもらった。

 単純に、あの場で人質になってくれそうな適度に弱い権力者は体の弱った女王か、ウィステリアか、寝ている観客、あるいはその全員くらいなもので、護衛の多さの関係でシャーリーがすぐに後ろを取れたのがウィステリアだった。

 シャーリーのお陰で2人はたいして妨害もなく城内を探索している訳である。


 そしてそんな2人の行く手を阻むのは、人間ではなかった。


「赤外線センサーにマシンガン、ですか。触れたら原形残りませんね」

「まさか赤外線ゴーグルが役に立つ日が来るなんてな」


 この城は持ち主を守る絶対の盾。故に侵入者の対策もしてあると言うことだろうか。

 剣と魔法の使われるこの世界において、少なくともあと百年しないと開発されることはないだろうテクノロジーがそこかしこに点在していた。

 アンリたちは赤外線センサーに触れないよう器用な身のこなしで移動する。ユリアもアンリも回収人なので、これくらいならなんとか対応可能だ。


「忍者屋敷ですかねー、落とし穴に動く壁トラップ、銃殺トラップにブービートラップまで揃ってますよ」

「殺す気満々だな、よっぽど近寄られたくないらしい」

「壊さないんですか?」

「できる限り隠密に動きたいんだよ俺は」


 アンリたちが罠をなんとか掻い潜り、やってきたのは光のこない地下の中でも最も明るい部屋だった。


「ここみたいですね」


 そこだけは異様であった。薄く光る1メートル四方程の八面体の緑の石が宙を浮き、数々の機械がよく分からない配列で部屋の隅々を覆っていた。

 ユリアの目では、生命力が人間の脈のように部屋の隅々まで行き渡っていて、この部屋から信号の様なもので城や各地に生命が巡っている、心臓であり脳であると確信するものであったのだ。


「どうやって回収するか分かるか」

「とりあえずこの宝石が生命力を集めるコアなのは理解しました。この部屋はこの石から生命力を各地に送るポンプの役割をしているようです。」

「これを制御している人工知能はどこにありそうだ?」

「この部屋そのもの、だと思います。この部屋の機能さえ、止まってしまえば後は上が何とかしてくれるでしょう。任務終了ですね」


「それを私が許すと思いますか」


 アンリたちの周りに檻が降りてくる。

 振り返った先にはウィステリアが薄ら笑みを浮かべて立っていた。


「あなたのお仲間は先程始末させて頂きましたよ」

「ウィステリア王女、あなたがこの城の持ち主でしたか」

「ええ、まさかこんないきなり私以外で異世界転生者が来るなんて思いもしなかったわ」

「貴女は一体いつからこの世界に?」

「5年は前かしら。暗殺者に殺されかけた時に、前世、日本人だったことを思い出したのよ」

「私たちは、違法なチートアイテムとしてこの城の人工知能を回収しに来ました。貴女はこの城の所有権をお持ちなら今すぐ捨ててください」

「状況分かってるの?あなた達は籠の鳥なのよ!仲間も1人消えて、これから自分たちも殺されるかもしれないのになに呑気なこと言ってんだか!」


 銃声が部屋に響く。アンリがユリアの後ろからウィステリアを撃った音だ。しかし銃弾は直前で現れたガラス壁に弾かれ、あらぬ方へ飛んで行った。


「ほらね、無駄なのよ」


 牢を囲むように銃器が現れる。逃げ場はない。

 嘲笑うウィステリアに対して、ユリアは懐から1つスイッチの着いた機械を取り出して見せた。


「このスイッチは何か分かりますか」

「何よ、それ」

「これは爆弾のスイッチです。これを押したら私たちがあちこちに仕掛けた爆弾で城ごとここを破壊します」

「あんたごと死ぬっての?」

「私たちが死んでも他に回収人はいますので。」


 淡々と告げるユリアにウィステリアは内心恐怖を感じていた。得体の知れない恐怖だ。理解できないことこそ1番の恐怖だ。こんなの知らない。死の恐怖を持たない人間なんて。


「狂ってる」

「あなたに比べたら可愛いものでしょう?この城は国全員を殺してもあなたと城だけは守る仕組みですから。全世界を征服しようものなら、急速に文明は滅ぶでしょうね」

「ハッタリよ、やってみなさいよ、この銃が怖くないのならね」


 ユリアはニコリと笑う。銃などまるで気にせず。


「銃が、死が怖いものですか。残念、私には生憎と見えないものですので」


 いとも容易くスイッチが押された。

 アンリの端末から警告アラームが鳴り、そしてシャーリーが檻の外に現れた。


「後ろの宝石です!」


 ユリアが吠える。すかさずシャーリーはもう一度移動した。


「まさか!そんな、」


 宙に浮く八面体を抱え、シャーリーはもう一度視界から消えた。

 それと同時に部屋は暗くなり、上階から崩れるような音が響いた。


 地下にいた3人は知らないが、このタイミングで城の修復機能が無くなったことにより城の一部が完全に崩れたのだった。幸いな事に怪我人や巻き込まれた人間は居ない。


 ユリアは牢の檻をワイヤーのようなもので切って破壊し、ウィステリアの前に立つ。ウィステリアを守ってくれる盾はもう無い。


(めっ)ですよ」


 ウィステリアの腹を思いっきり殴る。ウィステリアはそのまま崩れ落ち、ユリアの胸に倒れ込んだ。ユリアはウィステリアを抱きとめ、俵担ぎにした。アンリにはこの一連の流れが見える間もなく、まさに呆気なく終わったのだった。


 終

「あーあ、これから俺はどうなっちまうんだろ。俺もコイツラも可哀想が過ぎるだろ」

「そんなことを言わない。結果的には、あなたは一つの世界と人々を救った英雄なのだから」

「なんつーか、お前が美味しい場面全部持っていったからなあ、俺が居なくても良かった感が残るんだよ」

「そんな事ありませんよ、GPSがなければ爆弾のハッタリなんて思いつきもしませんでしたし、シャーリーさんを呼んで頂けなければ詰みましたし」

「シャーリーほんとありがとう」

「いえいえ、困った時には助け合いの精神ですからね。GPSの緊急信号で位置がわかったからすぐ助けに入れました。じゃあ、私はこれで帰るので、あとの仕事は任せましたよ」


 地上に脱出した3人は当然ながら堂々と外に出歩くことは出来ない。シャーリーに迎えに来てもらい、ようやく肩の荷が降りた。


 これからこの城の加護を失ったこの国は、未曾有の災害だとか、戦争だとか、そういったものに常に脅かされることになるだろう。

 それらから国を守りたいと本気で思える人間が沢山いるのなら、あの城がなくとも、10年経っても100年経っても残り続けられるのではないかと思う。


 崩壊した城を眺めつつ、兵士や人々の大騒ぎしている声を背景に、アンリは気が進まないながらも雪緒に報告をするのであった。

久しぶりのリハビリとして異世界凸シリーズ2作品目になりました。

裏テーマとしてユリアさんの飯テロ表現があるのですが、無事飯テロ出来ているか楽しみです。

作品を楽しんで頂ければ幸いの至り。


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