いつもの日常
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・・・ピチチ。
朝、小鳥の囀りが囁くなか私は目覚めた。東雲莉愛15歳、高校生。これが私。
心地よい布団の温もりの余韻に浸りながら、私はゆっくりと布団から起き、学校の制服に着替えた。・・・今日も何事もなく終わりますように、そう心の中で誓いながら。
着替え終わり自分の部屋を出て一階の居間へ向かうと、朝御飯が用意してあった。しかし、いつもの通りそこには誰もいない。両親は共働きで朝はいつも一人、それがいつもの当たり前の日常だった。いつものように椅子に腰を掛けテーブルの上のご飯に手を伸ばした私は、ふと違和感に気付いた。
「・・・おはよう、莉愛。」
いつの間にか向かいの椅子に座っていたそれは、私に話しかけるとひょいと指で私のおかずを摘まみ自分の口へと運び、あっという間に平らげてしまった。
「あっ、私のおかず・・・。」
気付いたときには時既に遅し、私には白米と味噌汁しか残されていなかった。
「やっぱり莉愛の母さんの飯は旨いな。」
ケラケラと悪気なく目の前の少年は笑った。彼は私の幼馴染みで名前は、神河海人という。頭の回転が早く、私が1考えている間に10行動するような判断力と行動力がある。
そんな彼にはいつも敵わなくて、いつも私はやるせない気持ちを抱えていた。「いつか奴をギャフンと言わせる」それが幼い頃からの私の願いだ。
私は残されたご飯を食べながら彼、海人に訪ねた。
「・・・今日は何の用?」
海人は、待ってましたと言わんばかりに目を輝かせて口を開いた。
「莉愛、俺にお前の力を貸してくれないか?」
その言葉は少し予想外だった。いつもなら私の意見など聞かずに勝手に奴隷の様にこき使う癖に・・・。私は訝しげに海人を見つめると、彼は私をじっと見つめ返してきた。顔だけは芸能人並みに整っている彼に見つめられると、胸がドキドキと高鳴ってしまう。不可抗力とは言え、私だけがこんな気持ちになるなんて、と悔しさでいっぱいになる。
なんとか気持ちを落ち着けた私は、先程の言葉の真意を海人に聞いてみた。
「実は、今開発中のゲームの実験を手伝ってもらいたいんだ。」
彼の言葉を聞いた私は即座にこう言い返した。
「お断りだ!」と。






