運命なんてクソ喰らえっ!
なんとなく思いついたので書いてしまいました。
初投稿です。
まだ一話しかないですが、レスポンス次第でどうしようか考えます。
「ぐぬぬぬぬ」
俺は唸る。唸るしかねえ。誰得よこの状況は。
「えい!やあ!とお!」
「きゃー!こっち来ないでえ!」
「ククク、この私の魔眼の前に‥っていきなりグハアッ!」
「ぐー。すぴー‥」
あー、イラつく。頭沸騰しそう。
「おめえらっ!もういいからすっこんでろ!てかディーナは戦闘中に寝るなっつってんだろいつも!」
かったりいけど、状況を説明する。俺の前には超巨大なグリズリー。何食えば野生でこんなに大きくなるん?ってぐらい無意味にデカイ。まあこんなの俺にかかれば瞬殺だけどな。この森で野営しようと火を起こして飯でも食おうか、としたところで突然襲ってきたのでもちろん俺がお相手を引き受けた。
んで、この熊と対峙した途端に後ろから別モンスターの群れが現れた。一角ウサギ(レベル10相当のアルミラージではなく、レベル1相当のただの一角ウサギな)の群れのお引越しと偶然鉢合わせたってところだろう。
その結果いわゆるバックアタックを見事食らってしまったと。そんでうちのパーティ(個人的にはこう呼ぶのに抵抗があるが)の後衛どもがパニックに陥っているのが現状である。
「えい!やあ!とお!」
おたまを顔の前でぶんぶん振っているのは、いかにも家庭的でお人好しって顔した女。エイナって名前。いや一角ウサギって体高20センチとかだろ。そんなとこで振り回しても当たるわけねえだろ。てか攻撃したいなら目を瞑るな。相変わらず役に立たねえ。
「きゃー!こっち来ないでえ!」
金髪のツインテールを振り乱してウサギから逃げているのは、いかにも高飛車って感じの顔した女。ビーナって名前。ちなみにこの見た目の癖してお嬢様でも幼馴染でもない。いやお前のレベルなら逃げる必要ねえだろ。いい加減トラウマ治せ。相変わらず役に立たねえ。
「ククク、この私の魔眼の前に‥っていきなりグハアッ!」
クソテンプレな邪気眼厨二ゼリフを吐きながら、ウサギの後ろ蹴りを顎に盛大に食らったのは、全身にルーン文字が刻まれた鎧に身を包んだ一見聖騎士っぽい女。シイナって名前。ちなみに眼帯もしてないしオッドアイでもない。じゃあ魔眼ってどこ?ていうかそれだけ立派な鎧着といて唯一の弱点な首から上の攻撃警戒しろって。相変わらず役に立たねえ。
「ぐー。すぴー‥」
‥(怒)。エルフの癖してピンク髪なうえ肉付きの妙にいい、一角ウサギのツノにつつかれようと気にせず熟睡する女。ディーナって名前。とある事情で緊張すると寝てしまう呪いにかけられている。そんな奴が冒険者やるなよ死ぬぞってツッコミはともかく。本当はエルフ族でも有数の精霊魔法の使い手なのだが。相変わらず役に立たねえ。
「てかバックアタックっても逃げれないわけじゃなえんだから、俺を残してどっか遠いとこ逃げてろ。いるだけ邪魔なんだよ!」
うん、お前らがいると範囲魔法使えないからね。消えてくれるとありがたい。
「えー!やだよー!私だってカッツと一緒に戦いたいもん!」
「てか寝てるディーナ置いてかないでしょ!」
「ククク、聖騎士たる我に撤退の文字など無いっ!」
「むにゃむにゃ、いやーん。むにゃむにゃ」
一斉に反旗を翻す女ども。てか寝言で抗議すんなて。
クソうぜえ。いつもいつも役立たずの癖してわがままばっか言いやがって。もう許さん。イラっとした。
「王尊剣っ!」
俺は右手に持ったバスタードソード一閃、正面のグリズリーを真っ二つにしてやった。怒りの一撃。グリズリーにはとばっちり以外の何物でもなかろうが。
そして左手に赤黒い炎を燃やしながら振り返る。
「カイザー!フレイムっ!」
炎の上級範囲魔法を一角ウサギの群れにぶち込む。いうまでも無いが、女どもごと焼き払う。無論レベル1モンスターなんぞ一瞬で蒸発。そして―――
「きゃうーん!」
「あっつーい!」
「こ、これはっ‥すごいいいっ!」
「むにゃああああああんっ!」
熱風に煽られて吹っ飛ぶ女ども。お約束通りに服だけ燃えていい感じに見えそうで見えない感じになっている。てか鎧が脱げるのなんで?シーナなんかあなたと合体しそうなエフェクトしてたけども。
まあ、そんなこんなで戦闘は終了。後には焼けていい感じの広場ができた森と、半裸の女たちが残った。
「もう、ひどいよ!カッツのばか!」
「なんなのよこの俺様キャラ!ムカつく!」
「フフフ、さすがは我が半身‥。凄まじい黒の波動であったわ‥」
「やだあ!起きたら服脱げてるー!カッツのエッチ!」
頬を多少赤らめ、俺の周りに集まってくる肌色軍団。
「ふはは!お前ら着替えないだろ!全員俺に寄れ。まとめて面倒みてやっからよお!」
仁王立ちしてそう言い放つ俺。そうだ俺は頼りになる男なのだ!俺に身を任せろ!
と、その言葉で、場の空気が変わった。
エイナはこめかみに指を当てて困ったような顔。
ビーナは腕組みして嘲笑うような表情。
シイナは邪悪な片頬笑いを浮かべ呆れたのポーズ。
ディーナは蠱惑的な、情けない少年を鼻で笑うように。
「「「「何いってるのよ、役立たずの癖に」」」」
全員一致でそう言いながら、全員一致で一点を指さした。
そう―――俺の股間に。
「こーんな美女四人が全員裸なのに、相変わらず役立たずよね‥」
「てか失礼よ。この私が!こんな格好してるのに!何の反応も無いなんて!」
「ククク、まだのようだな‥貴様の真の覚醒は‥」
「うふふ、カッツってば、元気になってもいないのにそのセリフは100年早いぞっと」
ぐ、ぐはあっっっっっっ!!!!!!
「ち、ちげえよっ!服を魔法で直してやるから集まれっていってんだよ!てかその話題やめろよっ!本当はこうじゃ無いんだよっ!事情知ってるだろーが!」
血の涙を流すっ!俺っ!泣
そう、俺たち全員、実は一人一人別の呪いをかけられている。
エイナは元は単なる村娘A。かけられた呪いは『誰かのために戦わないといけない』呪い。
ビーナは元は上級魔導士B。かけられた呪いは『過去一度でもダメージを受けた相手が怖くて仕方なくなる』呪い。
シイナは元は聖騎士C。かけられた呪いは『邪気眼厨二病な喋り方しかできなくなる』呪い。(こええ)
ディーナは元は上級聖霊魔術師D。かけられた呪いは『緊張を少しでも感じると寝てしまう』呪い。
そして―――そして俺は。
『運命の女以外、俺の大切なナニが一切元気にならない』という、呪いだった。辛すぎるっ!
そして、呪いをかけたクソ術者によると、その運命の女はこの四人の中にいるらしい。じゃあ何で今勃たねえかっていうと、それは『完全に二人とも本気の両思い』にならないとダメ、だかららしい。
呪いをかけられ、そう宣告されてから、俺たち五人は協力して呪いを解こうと誓い合って、こうして旅をしている。俺にとっては生殺しハーレムパーティだ。よだれが出るほどいい女揃いで、みんなそれなりに俺に気があるのに、結局何もできてない。元来女好きでエロに目がない俺の心は燃えたぎっているのに、息子だけはみなぎらないのだ!
「あー、そういうことか。」
「ふ、ふんっ!勘違いして悪かったわねっ!」
「我の聖なる鎧は傷ついておらぬがな‥高貴すぎて一人では着られぬ‥」(プレートアーマーって介助なしじゃ普通着れない)
「あらっ。じゃあお姉さんに似合う、かわいいのお願いねっ」
素直に集まってくるABCD。服が薄くて熱気に包まれた彼女たちは、まだしばらく暑いのか、少し頬が上気して汗ばんでいた。俺の鼻を甘酸っぱい女たちの匂いがくすぐる。うおおお、生殺しすぎるっ!
でも、まあ、素直にしてるとかわいいよな、こいつらも。
俺はフッと笑った。俺たち五人はみんな違う形で役に立たない。違う形でわがままで、お互い依存し合う運命共同体だ。こいつらと旅してもう一年が過ぎた。こいつらがいてくれないと、一人でも欠けると、俺の呪いは治らない。そんな気がしている。
俺は魔法で服を着せてやる。その間ビーナが魔法でテントを四つ作っていた。うん?四つ?
「さて、恒例のチョイスたーいむっ!」
作り終わったビーナが俺に不敵な笑みを浮かべた。よく見るとテントにはそれぞれA、B、C、Dと書いてある。
「「「「今日は誰と試しますか?!」」」」
「私‥頑張る!」
「しょ、しょうがないわねっ!あんたがどうしてもっていうんなら‥」
「ククク、我と共に最果ての極地へ行こうぞ!」
「あらん。またお姉さんがあ、優しく教えてア・ゲ・ル」
‥‥‥。
つまり『運命の女』となら、できる。
この中の誰かであることは間違いなく、『お互いに本気になった時』、俺のムスコスは復活する。
こいつらは毎晩、思い思いに俺を誘惑し、『運命』を確かめに来るのである。
「れ、レピュテーションっ!」
飛行魔法。俺は闇夜に向けて飛び立った。
この四体のサキュバスどもから逃げるために。
どんな厳しいレスも今のところ受け付け予定ですので、よろしくお願いします。