感傷
そんな訳で俺は攻略対象である赤髪によって入学式前に注目を集め、そのまま振り分けられた教室に来てクラスメイト達に遠巻きにされながら、今ではボッチで空を見て現実逃避をしているのである。
周りではこちらを見てヒソヒソと話す男子生徒や、仲良さそうに肩を組んで話してる男子生徒がいる。
その中で俺は一人でお行儀良く椅子に座ってその光景を窓越しに見ながらいいなぁとため息をついた。
前世の記憶を思い出さなければこんなことを思いをしなかったのだろうか。
笑い声が耳に響く。
仲良さそうに話している生徒をかつての自分に置き換えて見てしまう。
くだらない話をして馬鹿みたいに一緒に笑った友人の顔を思い浮かべては、もう会えないことを今更ながらに理解して泣きたくなった。
そしてきっと、もう二度とこんな風に馬鹿騒ぎは出来ないのだ。
耐えきれない涙が零れ落ちそうになって、慌てて顔を伏せた。
(泣くな!泣くな泣くな!入学早々一人で感傷にふけって泣き出すとか恥ずかしいやつだな!)
ふー、と深く息を吐いて涙を引っ込めていると、横から声が掛かった。
「なぁなぁ、大丈夫か?もしかして、具合でも悪かったりする?」
それが、俺の友達となるスカイとの出会いだった。