総理大臣のメンタル
「総理、解散して国民に信を問うべきなのではないですか?」
「解散するつもりはありません、議員個別に責任をとり、各党が処罰する、これ以上何を望むのですか?」
「政治の信頼性が失われている、特に与党議員は不祥事の温床ともいえる、政治もダメ、経済も上向かない、それなのに襟を正そうとうもしない、そして目先のごまかしで若いだけで選ばれた総理大臣ではなく、今一度きちんとした選挙で、信を問うべきなのでは」
「それなら、今の国会議員が全員辞職して、二度と立候補しないなら、解散して選挙を行えば、信頼性はある程度取り戻せると思いますが、皆さん老いているので、それをやる気ないでしょ、皆さんのあわよくば与党としてやれるかもみたいな心構えでは、信頼を得られないのではないですか?」
「総理今の発言は、我々に対する侮辱ですか?」
「どの部分が侮辱なのかは分かりませんが、失われた信頼が我々与野党で取り組む事で回復させるか、ゼロから積み上げての出発かだと言う事です、今の段階で嬉々としてそこの話をするより、これからどう取り組むかの方が遥かに大事だと言う事です、それに野党の皆様がたとて今回不祥事を起こしていて、与党だけ責めるなら、今解散しても信頼性はまたすぐ吹き飛びますよ、私は任期中失われた信頼を取り除くためいくつか法案を早急に提出し、早急に理念だけでも撒いて行きたいと思います以上です」
いやぁ、本当に面の皮が厚い。
野党代表の青筋さん(仮)、野党の大御所いなくなって我が世の春なのかも知れないけれど、あそこまで面の皮が厚いとは思わなかった。
不祥事をなかった事にして、こっちに責任を押し付けてくるんだから。
フカフカの高級椅子に座っていると、就任したばかりの田舎の若手総理大臣の補佐にと、つけられた秘書が乱雑な紙をまとめ、そのなかの草案に眉をぐっとひそめた。
うん、キツメの顔立ちの女性なだけあってその顔凄くいい。
まぁ声に出したらセクハラとも言われかねないので声に出すことはないけど。
「総理、本当にこんな案を出すんですか?」
「もちろん、馬鹿馬鹿しいかもしれないけど、馬鹿な総理大臣を求められているんだからこれぐらいの方が、ちょうどいい」
彼女が手にししていた紙には、通常は実現など無理な案が記載されていた。
総理大臣のメンタル保護法案
総理大臣というものは、精神という目には見えづらく分かりづらいものが疲弊しやすいはずだ。精神が体調や思考へと、色んな面で悪影響、支障が出てくる。
そんな状態で良い政治などできはしない。
そこで総理のメンタルを守るため、総理への公の場での罵詈雑言を公開することを禁止する。
マスメディアやSNSや紙媒体での公表や公開も禁止する。
これに反したものは、寺や神社などで説教をひと月受け、お布施を個人の場合一万円以下、団体や企業の場合30万円以下で支払うものとする。
尚、一度説教を受け、なおもつづけたものに関しては、説教に加え三時間の写経、写本を3年続けることを義務とし、それができなければ、選挙での投票、立候補及び応援演説はできない。
但し、この法案を発令させる場合、総理は3年後までに総理自身が総理を辞めるか、解散総選挙どちらか野党が求めるものに応じなければならない。
「こういった案が通らないと、身が持ちそうもない」
「通る迄に色々言われそうですけど」
「胃薬と睡眠薬用意しておいて、当面それで乗り切るから」
さしあたって、青筋さん(仮)は余計に煩くしそうだ。