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悪口なんて損に決まっている

 大口悪口抑制法案


 ネットだから何を言っても良い訳ではない。

 有名人だからアンチが湧くのは、しょうがないだろうと物分りのいい事を許すつもりはない。


 少なからず、何も知らずに好き勝手に言われた結果、追い詰められる人もいる。


 そんな要因を少しでも減らすべきであろう。



「ブサイク」「下手くそ」「素人以下」「無能」「顔だけ」「面白くない」「代表作もない」「俺のほうがマシ」等々芸能人やスポーツ選手に対して、失礼な書き込みや批判を個人、団体にしたものが対象となる。


 その対象の中からランダムに選出し、批判した職業で、1年働き働き罵倒した人や団体以上の成績、成果をだし、その成果分の謝罪金を支払う。

 なお売り込み等は、自分でしなければならず、純粋にその職業で稼いだもので支払う事とする。


 成果をあげる事ができなければ、記者団の前で謝罪文をよみ、謝罪会見を二時間行い、何故悪意のある事をしたのか、自分で出来なかった要因は何なのか等を、発表し、誠意ある対応として地域での強制奉仕活動を半年間続けるものとする。


 謝罪会見後に、また同じ事をした者に関しては、支払った謝罪金の3割ましの徴収が行われる。


 謝罪金は当人への見舞金及びその職業の普及活動に当てられるものとする。





「いやぁ、数少ない味方かもしれないネットの人達すら敵に回すつもりとは流石総理ですね」

「天が味方するよ」

「ナイスジョークですね」


 野党の人達すら思っても言わない... いやポロっと言うかも知れないけれど、数少ない味方とか、わりと酷い発言だと思う。


 後天が味方なんて傲慢な考えをナイスジョークと言うなら、少しは笑って欲しいのだけれども、まるで本当にそう思っているみたいじゃないだろうか。


「冗談はさておき、これ何の意味があるんですか? ただ表現の自由とやらで不評を買うだけかと思いますよ」


 こちらが憮然としていても、気にすることなく意味を聞いてきた。


「経済効果の一環だよ」

「一環ですかこれが?」

「CMで起用されるのは、企業にとってマイナスイメージをもたれないようにタレントを起用する、タレントのマイナスイメージのせいでモノが売れないなんて言うのは避けるべきであろう事案だ」

「その下がるリスクを抑えるという事ですか」

「そういう事、CMと言ったけれど、好きなものに大きな悪意だけの声でケチをつけられたら購買意欲も下がるし、制作側は、リスクを回避するために作らない、制作しないまでいくと業界全体で冷え込んでしまう」


 適当なタレントを、打ち込んだスマホの画面では、当たり前のように、身勝手に批判するコメントが散見される。


 批判して日頃の自分への鬱憤を下げる事が、目的になっている、大してお金を使わずに解消できる状況が蔓延している。


 どうせならばお金を消費して、居酒屋でも行って適当に批判して、その場かぎりの戯言として遺恨を残さずにやって欲しい。


 経済活動的にも、人道的にも、そっちの方が大分マシと言うものだ。


 だから道筋をつけるのだ。


 お金を消費していないつもりでも、人材を傷をつけて消費して、様々な業界を食い散らかしていると考えるならば、この法案にだって意味はつけられる。


「批判して喜ぶなんてどこの政治家だよと思う気持ちが少しばかりあるのは否定しないけどね」

「ナイスジョーク」


 秘書は半笑いでそう答えた。


 そういう笑いではないのだけれど、いやこれも表現の自由かもしれない。




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