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もう少し頑張って総理

「酒もタバコもね俺らにとっちゃ薬なの分かる? 薬の値段上がったら怒るでしょ、それと同じ だからいいんじゃない」


 居酒屋の酔っ払ったおじさん達にインタビューしたら、そりゃあそうなりますよねぇ。


 数件回っても似たり寄ったりのインタビューの結果に苦笑いするしかなかった。


 健康志向のお店付近や高級住宅街で奥様方にインタビューして、ちらほらと否定的な意見が聞けたぐらいだ。


 あとオフィス街でも、ちらほら否定的な意見を聞けたけれど、中間というよりは賛成寄りの意見が多かった。


 娯楽関係を緩めて、分かりやすい人気とりの構図ではあるんだけれど、分煙に禁煙、度重なる健康のためと言う増税による晩酌の高騰に、辟易していた層には、魅力的に映ったようだ。


 これでまとめると、放送すると面白くないし、話題性もないし、総理の株を上げたと怒られかねない。


 過激的な意見をネットから拾って、繋ぎ合わせるとして、何か違う切り口を用意しなければならない、世間がダメなら世界にしろってこの業界じゃあ一番言われているから。


 後は、総理にダメ出し的な要素を入れれば、それなりに放送できるモノになるでしょう。




「今日番組では、総理が掲げようとしている酒とタバコの税について、番組が独自に切り込んでいきたいと思います、解説のグチさんこれはどうなんでしょうか、単に酒やタバコが安く出来ると我々は、思っていいんでしょうか?」

「酒やタバコが好きな人からしたら、中々の案だって喜ぶでしょうし、まぁ柔軟なといったら変かもしれませんが、ある種の考えの一つではあると思います」

「最近ビールとか高くなって晩酌へった、タバコもう一本吸いたいけど我慢みたいな時代ですから、世のお父さん禁煙、禁酒どうしようかなと大騒ぎですよね」

「欧米諸国からしたらあり得ないですよ、先進国では周りへの健康被害とか考慮して、税金高くして、依存度を下げようとしているのに、日本は何をやっているんだって話ですよ」

「確かに、これ迄税率をあげる際の大義名分が健康の為でしたからね、医療費の削減等掲げられていたのが、これが成立すると逆行してしまう」

「えぇ、値段によって禁酒していた人や禁煙していた人が気軽に買えるようになったからまた手を出して、病気になる、医療費が増える」

「確かにそうですね、それについて総理は、タバコ税、酒税あげても年々増えていますよね、税金ではなく別の対策を考える時期だと考えています と答えているんです、まぁ一理ありますよね」

「いや、それもおかしな話ですよ、別の対策を考慮してから、その対策が案になった時点で、やるべきだったのではと思います」

「なるほど、酒造メーカーやタバコ業界はまぁ歓迎している部分も多いですが、簡単に税率下げる事は出来ないが、上げられる事によっての消費者離れの歯止めになる事を期待したいと言う意見もありました」

「確かに酒造メーカーなんかは、そうだと思いますが、個人的には、制限が出来たからこそ、クオリティーの高い物が、できている気がするので、クオリティーの高さが、値段になって、この値段でも欲しいと言う側面もあると思うんですよ」

「なるほど、ただやっぱり、お酒やタバコもう少し安かったらもう一本とか言いやすくなる、健康の面と家計、なんかバランスが難しいですね」

「難しいとは思いますが、健康を度外視せずに、総理は政治家として、まだまだ若いんですから、意固地にならず、きちんと世界の今のところ基準を見習って、、もう少しそこら辺で柔軟性を出して頑張って欲しいですね」

「この政策がどうなっていくのか、酒の晩酌は増えるのか注目していきたいと思います」





 アナウンサーが次のニュースで動物の赤ちゃんの可愛さについて語っている。


 秘書的には可愛いとかの一言も何もない、庇護欲とか愛護とか芽生えないタイプなのだろうか、それともデパートの高級和菓子を、炭酸飲料の組み合わせが許せないタイプなのだろうか、相変わらず眉間に皺を寄せている。


「もう少し頑張りましょうと言われましたね」

「小学生の通信簿で見たけれど、あれって頑張ってあれの場合どうすればいいのかね?」

「努力するか諦めるぐらいじゃないですか」

「評価をしてくれる人を変えると言う手段もあると大人になってから知ったよ」

「なるほど、世界的には今回は、好意的にとられていないと言う事ですね」

「うん、世間的には思った通り抜け中々好意的だったと言う事だ」


 そう解釈して、書類を渡して目を閉じる。


 税率のあり方を、政府が決めないなんて馬鹿げている、役割の放棄だ、そういう批判ではなく、世界から乗り遅れているなんて、ありきたりな批判をするぐらいだ。


 自己批判はいくらでも出来るのに、他人から肯定的に捉えられ、あるいは否定的にとられる。


「もう少し頑張りましょうってなんなんだろうか」

「総理の事かと」


 秘書は眉間に皺寄せ、書類を見るなりため息をいつも通りについていた。

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