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夢追い非凡の異世界改造記  作者: 七草八千代
8/13

姉弟 2

誤字脱字、ご感想、ご報告、ご評価等頂ければ幸いです。


 「ひぃっ!! ぃやあぁぁぁ~」


 (痛い!! 痛い!! 痛いたぃたぃたぃぃぃ、おっ、お尻がっぁ!! ッう-----!!)


 小さい雪綱(エイリアス)、大きい雪綱も、鋭いあまりの痛みに再び、両目いっぱいの涙を大きな瞳に浮かべ、ジタバタと手足をバタつかせ、姉の膝の上から逃れようと必死に身をくねらせた。


 「お姉様! もう許してあげてください。それに、手に冷気を纏わせてまで、お仕置きしないでください」


 姉の手には、青白い霧の様な物体を纏い、エイリアスのお尻を規則正しく、ペシペシと叩き続けている。

 すでに、エイリアスの真っ白いお尻は朱に染まるも、姉は無言で左右に割れた真っ白なキャンパス(エイリアスのお尻)の上に朱色の手形を作り続けている。

 朱色の手形は、何度も何度も叩かれた事により輪郭がぼやけ円の様にも見える。


 エイレンシアの抗議により少し冷静さを取り戻したのか、エイリアシアは十五も年の離れた、幼い弟のお尻を叩くのを止める。


 「ひゃぁ!!」


 いきなり赤く腫れ、熱を帯びたお尻に冷たい冷気を纏った姉の手が当たり、その冷たさに痛みを忘れ、思わず可愛らしい悲鳴を上げる。


 「そう言えば、お姉様は、昔、私に『魔力放出の修練を付けてあげる』と言って私に十キロ近い石を私に投擲されたことがありましたが、今思えばアレは私に対するお仕置きだったのでは……?」


 「ふふふふふ、私たちの一族にとって、魔力放出と魔力制御は、魔術や天懍(てんりん)以上に大切な基礎根幹技術。でも、どんな技術も修練し、鍛え、努力し、身に修めなければ意味は無いわ。その為には、厳しい修練が必要よ。だから、お仕置きは二の次……つまり、お仕置き兼修練と言ったところね」


 「……お姉様!! やっぱり、お仕置きが含まれているじゃないですか!? せめて、お仕置きよりも先に修練を言ってくださいお姉様ぁ~! それに、お姉様は、あの時……確か……ええ、そうです。お姉様は何の魔力も巡らせず、纏う事も無く、純粋な膂力のみで十キロ近い石を私に投擲されました。それも、お姉様の細く美しい腕であれほどの重量物を、あの速度で……正直、恐怖よりも見惚れてしまいました。だって、お姉様……踊る様に投擲されるんですもの……」


 「まぁ、うれしい事を言ってくれるわね。うふふふふ、大丈夫よ、エイレンシア。速筋が遅筋に変化するまで修練を積めばいいの。そうすれば、あなたも、秒間三度くらいは、投擲可能になるわよ。でも、ちゃんと延長魔術か回復魔術ないし回復術式。あとは……魔力巡りは必須よ。ああ、でも、修練中の魔力の使用は禁止よ。理由は分かるわね?」


 「はい、わかります、お姉様。ですがお姉様? せっかくのご講義の最中に申し訳ありませんが……その、もうそろそろエイリアスのお尻を解放してあげてください」


 「そうね、もうお仕置きはいいかしらエイリアス?」


 エイリアシアは、名残惜しそうに数度エイリアスのお尻を撫でそっと手を放し、ようやくエイリアスのお尻を解放した。


 (うぅぅぅ~助かった……あと少しで、お尻が千切れるところだった。あぁぁ……この年になってお尻ペンペンなんて……もうお嫁にいけない……ははははは……)

 

 姉の手がようやくエイリアス(雪綱)のお尻から離れると、姉の膝の上から逃れようと手足をバタつかせ身をよじるも弱々しい。既に体力を使い果たし……虫の息なのだ。


 「ふふふふふ、そうね。それに、そろそろ、あの子が朝食を知らせに……」


 『コンコンコン』っと、エイリアシアが最後まで言い切る前に、部屋の扉がノックされた。


 「失礼いたします。お嬢様。フィルミナとニイリナです」


 「どうぞ」


 エイリアシアの許可を受けて部屋の扉が開く。

 扉が開くと二人のメイドが一礼をして部屋の中に入ってきた。

 一人は薄緑色のまとめた髪を後頭部の辺りでキャップの中に入れた動きやすい格好に、楕円形の縁の眼鏡を掛け性格を表すような厳しそうな眼をしている。

 もう一人は、耳元より少し下の辺りまで伸ばした橙色のボブカットに、新人なのか少し自信なさげな態度に感情の起伏の乏しい印象を受ける、ほっそりをとした目をしている。

 メイド達の瞳の色は、二人とも色の濃さの違いこそあれ、紫色をしていた。

 メイド達の着ているメイド服は、濃紺の足元まで伸びた裾の長い、あまり飾り気の無いワンピース状のロングドレスに、フリルの無いエプロンドレス装着し着付け、頭にはホワイトブリムを付けており、ヴィクトリア朝のメイド服に似ている。


 「おはようございます。お嬢様。エイレンシアお嬢様。朝食のご用意が整ました」


 (……お嬢様? ……二十歳前後の女性はお嬢様とは言えな……い。ん~~言えるのか? ……ん~駄目だ分からない……でも、やっぱり……)


 「……お姉様はお嬢様とは言えへんのんよ」


 「!?」


 「……」


 「……」


 「……」


 「……お姉様はお嬢様なんよぉ……」


 ニッコリ


 上目遣いに私は姉を見上げる。

 そんな私に姉はニッコリっと満面の笑みを浮かべながら無言で私を見つめる。


 (あぁあぁぁああ……)


 私は心の中で頭を頭を抱えのた打ち回る。


 自らの愚かしさに……


明日の九時頃にも投稿しますので、よろしければお読みください。

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