5話 冒険者たちとの出会い
自分の力の危険性に気付いてから数日がたった。1日のサイクルはほぼ同じで、ポーションづくりをながめたり、たまに錬金術のものと思われる勉強をしていたり、そして夜になりアリカが眠るとレベル上げを行った。
「おーい!」
アリカが交流をもつ冒険者がきた。メンバーの構成は男3女2であり、そのうちの女性の1人がアリカに駆け寄り、抱きついてその頭に頬ずりを始めた。
「すりすり~。」
「いきなり抱きつくな、このバカ。」
とリーダーらしき男性が言いながら、その女性をアリカから手こずりながら引き剥がす。
「ア~リ~カ~ちゃぁぁあああん…」
と名残惜しそうにしている。アリカ自身は嫌がっているわけではないのだろう、苦笑している。リーダーの男性の方を向き、
「お久しぶりです。エドワードさん。」
と手を差し出す。どうやらリーダーの男性はエドワードというようだ。エドワードはアリカの手をとり、
「久しぶり、元気そうでよかった。何も問題なかったかい?」
アリカのことをそれなりに気にしている。彼以外の4人も同じような表情をしてアリカを見ている。アリカが、
「はい!大丈夫です!!」
と返すと1人1人安心している。アリカが言ったとおりいい人達だ。それからしばらくアリカが彼らと再会を喜びあい、
「今回の分のポーションです。」
と今日まで作っていた分をもってくると、
「じゃあ、こっちもお礼。」
とさまざまな日用品を持ってきた。その中の衣服類をもって先ほどの女性ともう1人の女性が、
「アリカちゃんに似合いそうな服とかがいっぱいあったんだー!」
とアリカに歩み寄る。アリカもその服などに興味があるみたいだ。今度はエドワードも止めず、小屋を出ていった。するとその場で女性2人がアリカを着替えさせ始めた。慌てて私も外に出る。すると外にいたエドワードたちが注目し、
「君はここのウッドパペットかい?」
と聞いてくる。とりあえず頷くと、
「アリカちゃんもウッドパペットを作れるようになったのか。」
と言う。小屋の中に一緒にいたのに今気付いたので、ウッドパペットの外見はさまざまなものなのかもしれない。
「もう入っていいよ!」
とやや興奮した声が聞こえてくる。私達が小屋の中に入ると、
「じゃじゃーん!!」
とアリカが物陰から出てくる。彼女の髪と瞳にあわせた、青いワンピースに緑のブローチを身に纏って。
男性陣は、あまりの似合い具合に声を出せない。すると、じっと見つめられるのが耐えきれなくなったのか、女性2人の後ろへと隠れてしまった。
「ちょっと!じろじろ見すぎ!」
まさかさっきとは逆に、怒られてしまうとは。エドワードも悪いと思ったのか、
「すまない。」
「ちゃんとアリカちゃんに、言いなさい!」
「ご、ごめんよ。アリカちゃん。」
1度目は女性越しに謝り、その女性に叱られ、アリカの方を覗きこみ目線をあわせて謝ることで、やっと許された。
アリカは私の方へきて、
「似合ってるかな?」
と言う。エドワードの二の舞にならぬようすぐに頷いてみせる。
「このウッドパペット器用だよなぁ。」
エドワードが感心したように言うと、
「あんたが鈍いのよ!」
と頭をはたかれていた。
「でも確かに、応答できるウッドパペットって珍しいですよね?」
あまり話していなかった方の女性が言うが、彼らはそこまでそのことを気にかけずアリカと話している。
「お昼ご飯一緒にたべましょ?」
昼食どきになり、よくしゃべる方の女性がバスケットを手に持ちながら言う。
「一緒にだべようとおもってサンドイッチ用意してきたの。」
誰も異論はなく、全員で小屋の外に出る。まるでピクニックだな。その様子は、本当の兄弟姉妹のようでアリカも楽しんでいる。
昼食を食べ終え、最近の出来事なんかを話して、しばらく過ごしていた。
「それじゃ、そろそろ帰るよ。」
エドワードがそう言うと、アリカは少し寂しそうな顔をするが、すぐに笑顔となり、
「うん、またきてね!」
と見送る。アリカは彼らがくれた服を名残惜しそうに撫でて、気持ちを入れ替え、いつものように夕食の準備を始める。
そして少し騒がしい1日が終わった。