六話
「彼は昨日の夜に通り魔に襲われて死にかけていた。そこに僕が通りかかったから助けた。人として当然の事だろう?」「鬼だけどなー」「偽善はちょっと黙ってて」「ごめんなさい」
「僕の契約時の能力は不死身だったからそのまま契約したんだ。たったこれだけの話さ」
「やましいことはないようね」
「お前は一体何を疑っているんだ…」
これだけの事。たったこれだけのことで俺は不死身になったのだ
「ねぇところで偽善。学校は?」
アルルはこちらを振り返って可愛らしく首を傾げている。
「もうちょっと早く教えてくれればなぁ!」
「聞かれなかったから。」
かわいいなぁこんちきしょう
「あれ?遥は?」
「さっき出てったよ」
とりあえず明日の弁当は抜きだ
「ほら、偽善の分も用意しておいたから。急ぐよ!」
驚くほど早く準備をしたことはほっといて
俺は遥の持っている俺の鞄をぶんどって学校にダッシュで向かった。遥もアルルも追いかけてくる。
「アルルはついてくる必要あるのか?」
家で待っていてもいい気がするのだが
「いいのいいの。偽善に悪い虫がつかないように守らないとね」
後ろからいまにも死にそうな声がしてきたと思ったら遥が話しかけてきた。
「偽善。ハァ、ちょ、ちょっと待って」
だいぶ息が切れている。まだ走り出して50メートル程度なのに…
「しょうがない、ちょっと手を貸せ。」
「えっ!う、うん。」
何か一瞬顔が赤くなった気がしたが気のせいかな?
「行くぞ!踏ん張れよ!」
遥の手を引いて走り出した。重い、重すぎる。
「今何か失礼なこと考えなかった?」
イイエソンナメッソウモゴザイマセン。
「まぁまぁ、助けてあげたんだからいいだろ?そんなことより急がないと入学式に遅れるぞ。」
「わかってるよ!わかってる上で!怒ってるの!」
文句を言いながらも付いてくるのか。小姑さんか何かなのかこいつ。
事前に連絡されていた組み分け前のクラスに入る。
教室に入るとやっぱり殆どの人が集まっていた。教室といっても仮のものなのでクラスメイトという訳ではならしい。この中にもやはりもう妖と契約している奴はいないようだ。注目の的になっている。アルルが。
「え?え?外国人?すごい!金髪の外国人なんて初めて見たかも!」
クラスの中でこちらに視線を向けていた奴ががやたらと高いテンションで話しかけてきた。
「すごい!すごい!私の住んでたとこ田舎だったから外国人なんていなかったの!ねぇねぇ!あなた名前は?」
アルルはだいぶ引いている。引きながら「ア、アルルです」とちゃんと返している。優しさが滲み出てる。いい子だなぁ。そんなことを考えていると目の前の女に声をかけられた。
「あなたはこの子の彼氏?」
「ぶっ飛ばされたいの?」
なぜアルスが怒るのか。
「彼氏とかじゃなくて僕の契約者だよ」
え?とでも言いたげな顔になっている当たり前だな。
「えー!すっごーい!契約してるなんて!あ、私の名前は|逆木 思安》!」
周りを見渡すと他の奴らも自己紹介祭りだ。やれどこの中学だの、やれどんな能力が欲しいだの。周りを見渡していると、ガラリと音を立てて前のドアから人が入ってきた。見た感じ、21、2歳ぐらいに見える。
その女性は
「この仮のクラスの担当になりました。スリーサイズは上から86.65.84。年齢は、まぁ、いいだろう」
女性としては年齢を聞いてほしくないらしい。
そのまま先生?は教壇に立って自己紹介を始めた。