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平凡勇者の世直し漫遊記  作者: ワタリガニのように
第1章 平凡な〇歳児の冒険者
31/55

ep:キュラ編 第一話 メイド爆誕!

皆様、新年明けましておめでとうございます。

今年も、『平凡勇者』をよろしくお願いします。

という訳で三ヶ日企画。第一弾です。

新年最初の話が主人公以外のエピソード。しかも本編での会話は数行のみ……。


※ 正月三ヶ日企画します。1日~3日まで0時に投稿します。

ep:キュラ編 第一話 メイド爆誕!





「……では、お休みなさいませ、聖女様……。」


「――ええ、ありがとう。後、明日からはわたくしたちの事は名前で呼んで頂戴。」


「あとー、敬語もふよーだよ。同僚だからねー」


「……分かりました。サクラさん、ツバキさん、ギル坊ちゃまをお願いします。」


「ええ、こちらこそ、お願いするわ、キュラさん……。」


 聖女様にお坊ちゃまを預けた私は、ざわつく心を落ち着かせるように静かに扉を閉じた。





     #####





 私の名前はキュラ。ピッチピチの18才。職業、使用人メイド。長所、ポジティブでアグレッシブなところ。そして、独身おひとりさま。……そろそろ結婚したい。何処かに良い人いないかな?


 生まれは領都から遠く離れた小さな農村だ。何故そんなに離れた村娘の私が、領主のメイドになれたかと言われれば、運が良かったというしかない。


 その年の作物の不作で、行き詰った私の家は、あっさりと奴隷商人に売り渡したのだ。――私を。


 嘆き悲しんでもどうしようもない。貧困層の娘は皆、同じ運命を辿る。そう、よくあるつまらないハナシ……。


 一応、奴隷と言っても、命すら保証されない犯罪奴隷とは違い、王法により最低限度の生活と幾ばくかの自由が認められている自由奴隷だ。


 でも、抜け道はいくらでもあるのが世の中の常。エグイでっせ、男どもの欲望は……。


 私も運が悪ければ、ヒヒ爺の慰み者になって、飽きたらポイ捨てされる運命が待っているかもしれない。


 ……自分を誤魔化しても仕方がない。十中八九はそうなる運命なんだ。――女って悲しいよね。


 所が女神様の奇跡か、貴族様の気紛れか、私は若くてカッコいい領主様に買われたのだ。


 品定めの為の部屋で、領主様にお買い上げされた時、私は半分ドキドキ、半分ドッキドキ♥でテンションが変になっていた。


 まさか、玉の輿? でなくても綺麗なドレスや美味しい食べ物がわたしのモノに……。


「君には、私の妻の話し相手と、これから生まれてくる子の世話をしてもらう。」


 ――よくよく考えてみれば、あの美形の領主様が、私の様なガリガリスレンダーの身体に興味を持つ訳なかったのだ。がっくり。


 だがしかし、静かに微笑む領主様。思わず見惚れてしまう位絵になります。


 ――じゃなくって。いいんですか? 私、村娘ですよ? きょうようなんて『何それ、おいしいの?』ってレベルですよ?





     #####





 そんなこんなで、ご主人様にドナドナされ、やってきました領主の館。


 おっきいな、庭も広々、あっ、花壇の向こうに池がある。アッチには温室かな? かな? 中の植物がガラスを透して見える。お高そうな瀟洒な飾りつけの玄関の脇には、おっきな一角獅子の青銅像が、まるでこちらを威嚇するように佇んでいる。


 ――スゴイ。お金持ちだ。流石は貴族様。


 テンション高く、キョロキョロしてたら、年配の女性に怒られた……。女中頭のヘンチィさんだった。


 ションボリと項垂れ裏口を入り、ヘンチィさんにドナドナされて厨房へ。


 ――そこで私は運命と出会った。


 厨房の端で食事をしていた俺様系イケメンを発見。


 地味な使用人の服を土で汚していたけれど、そのような些末なもので、彼の美しさを損なうことは出来なかった。


 立ち止まった私に気付いたのか、イケメンがこちらに視線を向ける。


 強い意志のこもった瞳に射抜かれた瞬間、私の身体を稲妻が走った。こ、こ、この展開は……。


 彼は大きく口を開けると、『げヴぉあ~っ』と、…………短く、儚い運命であった。


 この厨房を預かる料理長は、真ん丸な人だった。性格も身体的特徴も……。パナットさんと名乗っていた。


 ゲンナリと、厨房を抜け、館の奥へ。執事室と書かれたラスボスの部屋へ通された。――いや、なんとなくノリで言ってしまったのよ。失敬失敬。


 執事室にいた男性は、ご主人様より少し年上だった。意外に若い。イメージとしてロマンスグレイなオジサマを意識してたから、少し驚いた。いい意味で……。


 今度は、運命があるのだろうか? ワクワク。


 執事の雰囲気を言葉で表すと、『冷徹』だろうか? 銀のサラサラの髪に眼鏡。何の感情をものせないアメジストの瞳。――ああ、蔑んだ瞳で『……失せろ、ゴミが。』と罵られたいっ!!!


 ――おや? 執事さん。目と口を真ん丸に開いて、どうしたんです? あら嫌だ、感情駄々洩れですよ? ――え? 合格?


 こうして私は、ラインハルト男爵家の奴隷からメイドにジョブチェンジしたのだった。


望外の初評価に浮かれて、途中で筆が止まってたepシリーズ(やるつもりなのか?)を書き上げました。ですので次回の予定は未定です。


キュラ「気長に待っててくれると嬉しいな。」


↑悪気はないので物を投げないでやって下さい。

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