表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優者な勇者?  作者: ユエ
4/32

4

はい、あと片付け完了~。詳細?あんな気持ち悪いのを言葉で表現しろって言うのかい?私には無理だよ!その代わりに家の中を漁ってるところを教えてあげようではないか


はっきり言おう!村長さんの家以外に碌なものはなかったね。欠けてる剣とか、錆びてる剣とか、こん棒とか、何のために家を作ったの?ってくらい何もなかったよ!


村長宅はね、人間を捕まえて色々剝ぎ取ったりしたんだろうね。破れた服とか、血の付いた靴とか、骨っぽいのもあったんだけど~。それは良いとして、金貨とか、銀貨とか、銅貨とか、宝石類なんてのもあったかな~。あれらは食べれないから勝手に溜まっていったんだろうね。ちょっと歯形が付いてるのもあったけど気にしな~い。収入はこれくらいかな。他にも訳の分からないものがあったから一応回収したけど、またギルドに持っていって買い取り出来たらしてもらおうかな。


老後の貯蓄にはまだまだだろうから、これからも頑張って稼がないとね~。とりあえず何が稼げるかを調べないといけないよね。前の街は笑いものになってたからそれどころじゃなかったし。次の街ではちゃんと調べようかな。字が読めるかはわからないけどね!


何はともあれ行ってみないと何とも言えないし、見てみないと読めるかどうかもわからないもんね!ってそういえばギルド登録ってどうやってしたんだっけ?パニック状態だったから覚えてないわ~・・・・説明すら聞いてなかったしなぁ・・・・・・まぁとりあえず次の街を目指そう~!!



まっち~まっち~どっこ~かな~♪あら、美味しそうな果物発見~リンゴっぽい感じだね。これは頂いて行かねば!フンフフ~ン♪あら~今度はアケビみたいなのがあるわ~!美味しいのよね。ん?ザクロ?・・・まぁ良いわ。この辺は果物が多いわね。柿?スターフルーツっぽいのがあるわね。あれはドラゴンフルーツ?マンゴー?・・・・・・・・・・・・・・・・・・木に小さなスイカっぽいものまで・・・・・・・・この世界って絶対におかしいと思います!!


果物を集めながら結構歩いたから日が暮れそうね。果物集めで時間を使いすぎたかもしれないわね。まぁ良いわ、寝る準備をしてご飯食べて寝ちゃいましょう。


最近色々な物を際限無く鞄に入れまくってるけど、この鞄大丈夫なのかしら?今までは中に入れといた物が腐って出てくることも無いし、いくら入れても重さ変わらないしで気にしてなかったけど。これって魔法か何かなのかしら?もしかしてこの世界には魔法が存在する?もし存在してたら私も使いたいわ!


小さい頃に中二病を発症してから今でも憧れる魔法。正義の味方をする気は全くもって無いけど使えるなら使いたいわよねぇ。魔法少女は無理だから、普通に魔女になりたいわ。ヒッヒッヒとか言いながら大鍋をかき混ぜてるようなやつ!魔法の薬作って行商人に売りつけて、森でひっそり暮らすって素敵じゃない?憧れるわ~


その為にもお金と知識よね!それから深い森を探さなきゃね。誰も手出しの出来ない森の中、あ~何て素敵なのかしら。


その為にも、さっさと寝てしまいましょう。











その日のエレンさん


冒険者を始めて結構な経験を積んできた私は、とある依頼を受けて森の中にいた何とか依頼をこなし村へと帰る途中ガウルに鉢合わせしてしまった。ガウルとは鋭い牙と爪を持ち嗅覚のとても鋭い魔物だ。動物で言うと犬やオオカミに近いだろうか。牙や爪、毛皮の素材が取れれば儲けものなのだが、今の私には倒せないから逃げる!


このまま村には帰れないから何とかまかなきゃ。誰か近くにいるなら助けて~~~~


それから、どれだけ追いかけっこをしただろう。本当だったらもう襲われててもおかしくないのにおかしいわ。これは遊ばれてるのかもしれないわね。


そろそろ私の体力が限界に近づいてきてるわ・・・・どんなに叫んでも誰も来てくれないし、私もうだめかもしれないわ・・・・・


そんな時だった、目の前に女の子がいたの。藁にも縋る思いで助けを求めたら、その子は一撃でガウルを始末してしまった。


呆然と見ていたらガウルの尻尾を木に結んで肩に担いで行ってしまった。


お礼も言ってない事を思い出して追いかけた、しかし、お礼を言っても、名前を聞いても、何も言ってくれない。私が名乗らず図々しく話しかけるのがいけなかったんだろうか。名乗ってみてもダメだった。せっかく強い人を見つけたんだから村で困っている事を依頼として受けて欲しくてついて行った。


ただ歩いているだけだったのに、急に歩きながらガサゴソとし始めたので何かと思って見ていると、さっき倒したガウルが変わった鞄の中に消えていった・・・いったいあれは何なのだろう。入りきるはずのない獲物が入ってしまうなんて信じられないものを見てしまった・・・しかも、その鞄の中から干し肉を取り出して齧り始めた。彼女はいったい何をしようとしているのだろうか。


いくら話しかけてもダメで諦めかけていた時、ゴルーガの集落が見えてきた。そうか、彼女は何処かで村の依頼を受けてこの集落を潰しに来てくれたのか!これで村も救われるかもしれない!


私は離れた場所で観ていることにした、私が行っても足手まといだからだ。


彼女は何の準備もせず、まるで気軽に村を訪ねるように近づいて行った。見張りの奴らが武器を手に襲い掛かると彼女は一撃でのしてしまった。


すごい!けど、倒れてる奴に話しかけてる?それどころじゃないでしょ!仲間が沢山出てきたじゃない!どうするのよ、一人であの数は辛いはずよ!私も助けに行かないと・・・でも、私が行ったからってとてもじゃないけど勝てない・・・・・どうする・・・どうしたら・・・・


私が葛藤している間、彼女は話しかけながら相手をのしていく。何で話かけてるのかしら?魔物には話しかけても無駄なのに。そもそも言葉なんて通じないし友好的な魔物なんていないんだから問答無用でやってしまうしかないのに、何故かしら?


全ての魔物を倒した彼女は集落の中へ入って行った


意味が分からない、しかも魔物は気絶してたりで生きているし・・・・これ、どうするの?


それからどれくらいそこにいたかはわからないけれど、彼女が数人の人を連れて出てきた。そして彼女は私と目が合うと笑って連れてきた人たちに話しかけた。な、なに?何か嫌な予感が・・・


彼女は笑顔で手を振って見送っている。え?送ってあげないの?何って人なの!あんなに弱っている人たちを護衛もせずに帰すなんて!


「あの、助けてくれた女性があなたが村まで連れて行ってくれると言っていたので、よろしくお願いします」


「「よろしくお願いします」」


「え?え?え?」


「あ、あの、違うのですか?」


「村まで連れて行ってくれないのですか?」


「あ、いいえ。ちゃんと村までお連れしますよ。安心してください」


「良かった。宜しくお願いします」


みんな安心した顔でお礼を言ってきた。あの人この人達を私に押し付けたわね!なんて人なのかしら!彼女を睨んだら、さっさと集落の中に戻っていった。とりあえずここは危険だから、この人達を村まで連れて行かないと!それからは魔物に遭遇することなく村へと帰ることが出来た。


とにかく村長宅へ行き事情の説明をし、この人達を休ませる事にしよう。



起きてきた人たちに話を聞いた。色々と不思議な人だと言うのだけは理解できた。彼女の名前を聞いたかと聞けば聞いていないと言われた。特徴を言ってギルドに報告だけはしておこう。


それにしても、何とも不思議な気分だ。助けてもらった感謝と、完全に無視された怒りと、彼女の行動の驚きと、魔物の集落を潰してくれた感謝と、被害者を無責任に人に押し付けた怒り。この複雑な感情をどう解消したらいいのかわからぬまま、私はこの先すごしていくのだろうか・・・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ