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ふぁ~あ、よく寝た。多少の不安はあったけどグッスリ眠れて良かったわ。虫や蛇なんかの恐怖はあったけどそんなの気にしてたら何にもできないしね!あはは~ん
さ~て、寝床を片付けて朝食食べよ。昨日のトカゲ豚の肉もあるから朝から焼き肉よ~!でも、30代には朝から焼き肉は厳しいわ・・・ん~、やっぱり干し肉齧りながら歩くか
そろそろ昼くらいかしら、ちょっと遠くに街が見えてきたけど・・・今更ながら、この世界の言葉話せないけど、どうしよう・・・・身振り手振りでなんとかなるかしら?もし言葉が世界共通だったりしたら、私怪しいやつよね・・・
よし!言葉が通じなかったら逃げよう。そして森でひっそりと暮らしていこう!
そうと決まれば準備体操をしてから近づくか。少し道から離れてまずはラジオ体操から~ちゃ~んちゃ~んちゃちゃちゃちゃちゃ~んちゃ~んちゃちゃちゃちゃって歌う必要なくね?まぁ急に走り出せるようにしっかり体操しておこう
うっし!いくぞ!
気合を入れて歩き出したけど、段々と近づいてくるよ!いや、私が近づいているんだけど。どうしよう急に不安になってきたわ・・・いきなり捕まるとかないわよね?そう言えば服装がどうとかで怪しまれて取り調べとか・・・・言葉が話せないからそのまま投獄とか・・・・
あ、門の所に人がいるわ。あれは門番かしら?あの人に話しかけて通じなければ逃げよう!それが良い!そうしよう!
大丈夫、きっと逃げれるわ。話しかけて返事の言語がわからなければ一目散に逃げるのよ!
「あ、あの、すみません」
勇気を持って話しかけたけど、門番の人の返事は不機嫌そうに低い声で
「ああぁん?」
なけなしの勇気を出した私はこれには耐えられず
「ひ~~~、ごめんなさい~~~~!!」
予定通り踵を返し逃げ・・・・・・・・られなかった・・・・・・
「ちょっと待て!」
逃げるようと走り出そうとしたら手首をつかまれ逃げれなかったんだけど、私ったら半狂乱に陥っちゃって
「ぎゃ~~!いや~~!怖い~~!助けて~~!」
「俺が悪かったから落ち着け!別に取って食おうってわけじゃねぇから!」
と、まぁこんな感じで大騒ぎして周りに野次馬の群れを作っているのにも気づかず泣き喚いてしまい、晴れて私はこの町の有名人となりました!なんて不名誉なんでしょう・・・
道を歩けば笑われてるって泣けるよね!
そんな中、道のわからない私は勇気を振り絞り出店のお姉さんに道を聞くことにしたわけです
「すみません」
「あら、門の所で泣いてたお嬢ちゃんね。どうかしたの?」
「その事は忘れてください・・・」
「うふふ、それで?」
「毛皮とかを買い取ってくれる場所とかってないですかね?」
「それなら、この先に冒険者ギルドがあるからそこで買い取ってもらったらどうかしら?」
「歩いていれば直ぐにわかりますかね?」
「ええ、二階建ての建物だからわかりやすいと思うわ」
「そうですか、ありがとうございました」
「いえいえ、頑張ってね」
お礼を言って歩き出したけど、最後の頑張ってってのが気になったのよね・・・・何かあるのかしら?
まぁ良いか、それで歩いて来たんだけど。お姉さん!二階建ての建物が2つあります!どっちですか~~~
と、とりあえず右の建物に入ってみましょうかね・・・・
扉を潜って見回すとカウンターを発見したので行ってみると
「商業ギルドへようこそ。初めての方ですね、どんな御用ですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・商業ギルド・・・・・・・・・・・・・・・
私は冒険者ギルドへ行きたかったのに・・・・話しかけられた以上無言で引き返すのは気が引けるから一応聞いてみるか
「あの。ここで毛皮とかの買い取りって出来ますか?」
「可能ですよ。ギルドへ登録されますと色々とサービスなんかもありますがどうされますか?」
「あ、いえ、商売をするわけではないので止めておきます」
「そうですか、ではこちらへどうぞ」
そう言って奥へ連れていかれ買い取りを済ませギルドを後にしたんだけど、疲れた・・・あのお姉さんよく喋るからちょっと苦手かも・・・それともあれが普通なのかしら・・・・
買い取ってもらえなかった物もあるから一応冒険者ギルドにも行ってみようかな
もう一つの建物に入ったはいいけど、一瞬で後悔しましたね!入った瞬間注目の的、いやこれは針の筵と言うのかしら?どっちでも良いけど、入って周りの人がこっちを見たかと思うと・・・・
「お、門の所で泣いてた姉ちゃんじゃねぇか」
「こんな所に泣き虫嬢ちゃんがなんのようだ?」
等々大爆笑の中俯きながらカウンターへ向かったわけですね。かなり恥ずかしかったですよ!また泣きそうになったもんね!カウンターのお姉さんも半笑いだったしね!いっその事笑ってください。いや、それもちょっと嫌だけど・・・・う~む複雑・・・
とりあえず、説明を聞いたら国境越えや街の出入りに便利そうだから冒険者ギルドに登録して、奥へ通され別の担当の人に買い取りしてもらってギルドを後にした。とてもじゃないけど、いつまでもいる度胸なんてないわ!
とにかく、色々売って良いお金になったと思うから必要な物を色々買って街を出よう!これ以上笑われるのは耐えられない・・・・あれかな最終目標はある程度稼いだら森の中で一人まったりと老後を過ごすって事にするかな。よ~し、世界を巡って老後に過ごす場所を探そう!
街を回って食器やら調味料やら食材やら衣服なんかを色々と買いあさり急いで街をあとにした。だって町中で笑われてるんだからいたたまれないじゃん!
宿に泊まらないのかって?そんな事したら次の日も笑われるじゃないか!そんなことが出来る人がいたら、私はその人のことを勇者と呼ぼうではないか!
今日は森の中に入って色々取ったり動物狩ったりして寝床を探すかな
その頃、冒険者ギルドでは
昼間の騒ぎの話で盛り上がっている者がいる中、その会話はされていた
「そういや、近くに出たって言うゴラゴスはどうだったんだ?」
「それがな、範囲を広げて探ってみたんだがいなかったんだよ」
「何だよ良い稼ぎになると思ってたのによう」
「まぁなぁ混合パーティでもなかなかの収入にはなりそうだしな。でも、お前じゃ無理じゃねぇか?」
そんな話を男たちが笑いながらしていると、従業員の女性がやってきて驚くべきことを口にした
「それなら倒されたと思うわよ。昼間に素材を売りに来てた子がいたから」
「先越されちまったのか。やったのはどこのやつらなんだ?」
「さぁ女の子が一人で来てたし、新規登録して急いで出ていったわよ」
女性の言葉に一瞬沈黙が流れたが、すぐに笑いが起こる
「どうせ誰かの使いか何かだろ」
「そりゃそうだ、じゃないと新規の女一人で狩れるもんじゃねぇもんな」
「そうだと良いわね」
そう言って女性は仕事へと戻っていった