SHAADOOW CAALL
そいつは地を震わすように豪快に嗤う。
私がうずくまり、小さく膝を抱えていても全く気にしていない。
まるでその姿を愉しんでいるように、そいつは叫ぶ。
「さぁ、願え!!
俺はお前の味方なんだぞ!」
でも私はうずくまったまま、黙ってそいつの言葉を聴いている。
「お前の代わりにあっちに行ってやるぞ!
そして、全部始末してやる!!」
私の肩を優しく抱く感触。
でも私は瞳すら動かさない。
「全部だ。なんでもできる。
両手を血に染めて、
足元を肉屑で汚して、
千の悲鳴を捻り伏せ、
千の心臓を抉り出し、
海の果てまで紅で染め上げ、
空の果てまで赤を散らして、
お前が大嫌いだった全てを壊し、お前が大嫌いだった全てを潰し、
屍体の上に玉座を置いてやる」
暗闇を切り裂くような声。
染み付いている血の匂い。
きっと出来るんだろう。本当に。
私が願えば、きっとやってのける。
罪を犯し、
自由を侵し、
希望を脅かし、
明日を食らうんだろう。
平然と、いつものように、
まるで呼吸をするように。
「お前が願えばな」
私は顔を上げる。
「いつでも願えばな」
腰を上げ、空を見上げる。
「俺はお前なんだから」
足元で呟く声はいつまでも消えない。
いつだって私の傍にいる。
今までも。
これからも。