通行人A=主人公
俺の立場は他人から見るとドラマでいう「通行人A」みたいな立場だ。
でも皆、「主人公」にもなれるし、「通行人A」にもなれる。
俺だって「俺」っていうドラマの中の主人公だ。俺の友達から見ると俺は「主人公の友達」で、親から見ると「主人公の子供」だ。
つまりは、「通行人A」にも語られないだけでそいつの物語があるってわけだ。
この考えは俺の過大評価かもしれない。だがぶっちゃけそれでもいいと思う。
そうでもしていかないとこんな世界じゃ生きてけねーじゃん?
仕方ないよ。無茶苦茶でも俺は前を向くしかできない馬鹿だ。
俺は俺を信じていたいんだ。
糞みたいな人生でもそれは俺という唯一の存在だから。
それは嫌いな奴も好きな奴も平等にある事だから。
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朝はいい。
1日が始まる。昨日の俺は死んで、今日の俺が生まれる。
24時間限定の俺ー…といってもそのうちの何時間は過ぎたけど、よろしくな。
いつも通りの朝食。あ、今日は食パンちょっと焦げてんじゃん。焦げを隠すようにバターを塗る。よし、隠れた。
いつも通りの食卓。そう、いつも通り…。空いた席は隠せないなぁ。
歯を磨いて、制服に着替えて、友人との待ち合わせ時間5分前になって。
「いってにます」
そう言って静かに響くのはいつも通りだ。
いつも通り、友人とたわいない会話をしてたら学校について。
いつも通り、クラスで友人と馬鹿なことやって。
いつも通り、好きな子と話せて内心喜んで。
いつも通り、部活やって。
いつも通り、そう遠くない道を1人で帰って。
いつも通り、いつも通り。
「ただいま」の返事もなく、いつも通り。
慣れたんだ、俺。
親は朝早くからに仕事いって、夜遅くに帰ってくる。俺も将来そんなサラリーマンになるのかな。
姉の部屋からは何いってるかよくわからない音楽が聴こえる。それに混じって、泣き声を殺したような声。
いつから俺の姉はこんな事になったんだろう。1日で顔を合わさないのが普通になっている。合わす日の方が貴重で、合わしても喋らない。いつも腕の傷が気になるけど、聞けずにすれ違うだけ。
俺はこんな姉を見たせいか、逆に前を向けたのだろうか。
昔の姉はこんなんじゃなかった。
「なぁ、出てこいよ、ねーちゃん…」
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俺は姉に伝えたいんだ。
姉みたいな人にも、たくさん。
だから俺はそれを伝える仕事に就きたい。
それでも近い将来像は親みたいな普通のサラリーマンだった。
俺はどうしたらいいんだろう?
『通行人Aでも主人公になれる』
この事をどうしたら伝えれるのだろう?
by.マヨ
「メガネをかけたあの日から」の弟の話になっております。最初はそんなつもりはなかったのですが、文を考えていくうちにそうなりました。マヨあるあるです←
ですがお姉ちゃんの話無しでも大丈夫と思います!
ここまで読んでくださりありがとうございました!